【感想・ネタバレ】アテネ 最期の輝きのレビュー

あらすじ

紀元前338年、ギリシャ敗戦! その後「民主政」はどうなった?
教科書に載らない歴史の真実を明かす、第一人者によるアテネ「亡国」のドラマ。

紀元前338年、アネテやテーベを中心とするギリシア連合軍は、フィリポス2世とアレクサンドロス率いるマケドニア軍に歴史的な大敗を喫した。アテネが誇る民主政はしかし、それを契機にかつてない平和と繁栄を謳歌する――。デモステネスら政治家たちの闘いの跡を追いつつ、アレクサンドロス躍進の陰で「黄昏」と呼ばれたアテネの実像を明らかにする、第一人者による画期の書!

[目次]
はじめに
序章 「黄昏のアテネ」に迫る
1 「黄昏のアテネ」とデモステネス
2 「政治家」と「政治グループ」
第1章 決戦へ
1 デモステネスの生きた時代
2 デモステネスの前半生
3 反マケドニアの政治家として
4 「宿敵」アイスキネスとの対立
第2章 敗戦――マケドニアの覇権
1 戦後処理
2 デモステネスの活躍
3 アレクサンドロスの時代の幕開け
4 マケドニアの傘の下で
第3章 対決――「冠の裁判」
1 裁判が始まるまで
2 「弁論家の戦い」
第4章 平穏――嵐の前の静けさ
1 デモステネスの隣人たち
2 アテネ民主政の姿
3 動乱の前ぶれ
第5章 擾乱――ハルパロス事件
1 ハルパロス事件とは
2 事件当時のアテネの情勢
3 ハルパロス裁判
4 裁判の背後の人間模様
第6章 終幕――デモステネスとアテネ民主政の最期
1 民主政アテネの最後の闘い
2 愛国者たちのそれぞれの最期
終章
1 デモステネスの遺したもの
2 「黄昏」の民主政
史料について
主要参考文献
関連年表
あとがき
学術文庫版へのあとがき

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Posted by ブクログ

ネタバレ

紀元前338年、アテネを中心とするギリシア連合軍はフィリッポス2世率いるマケドニア軍に歴史的大敗を喫した。
しかし、アテネが誇る民主政はそれを契機にかつて無い平和と繁栄を謳歌する…。

デモステネスを中心にカイロネイアの敗戦からの繁栄とラミア戦争での民主政の終焉まで。読みやすくて良い。
ギリシアの歴史はカイロネイアの敗戦からはアレクサンドロス大王の話になり、アテネを中心としたポリスの話はあまり出てこなくなるので、こういう本は嬉しい。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

 ペロポネソス戦争後のギリシアというと、B.C.338年、フィリポス二世率いるマケドニア軍にカイロネイアの戦いで敗れ、その後のアレクサンダー大王の東征もありで、すっかり脇役の存在になってしまったとの印象を持っていた。
 しかし、カイロネイアの敗戦後、アテネはフィリポス二世から極めて寛大に扱われたため、B.C.323年のラミア戦争(アレクサンドロス王死去後のギリシア・マケドニア間の戦争)勃発まで、前例のない「平和」と「繁栄」の時代であったという。そして著者は、この時代の代表的な政治家・弁論家であるデモステネスを主人公に、アテネ民主政の実態を描き出していく。

 だいたいこのデモステネスという人物を知らなかったが、プルタルコスの『英雄伝』にも取り上げられているほどの人らしい。そして、キケロからは「完全無欠の弁論家」と評され、また、急進的反マケドニア派の代表的人物の一人であったとのこと。そんな彼を中心にして、この時代のアテネの政治家たちの闘いを通して、アテネ政治の実像を明らかにしていく。資料の制約はあるとしても、この時代は比較的資料が残っている方らしい。そのようにして残された、例えば裁判における弁論等からいろいろな事実を明らかにしていく著者の手際は鮮やかで、読んでいてスリリングな印象を持つほどだ。
 あまり馴染みのない時代についての著作ではあるが、歴史における事実や評価をどのように捉えていくか考える上で、とても参考になる本だと思う。

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2024年07月11日

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