あらすじ
第一王女カナニーアは幼い頃から可憐な妹と比べられて生きてきた。そんなある日、大国ローゼンから『国王の妃候補を求める』という通達が送られてくる。モロデイ国は新たな繋がりを得る機会だと、候補に美しい妹を選び、妹もまたその決定を喜んだ。しかし、出発直前、妹は行くことを拒否。しかも、カナニーアの婚約者は「あなたが行けばいいのに」と冷たい視線を向けてくる。そうして、話し合いの末、カナニーアが妹の身代わりとして妃の選考会に参加することに。「誰かの一番になれる日が来るのかしら……」と諦観する彼女だったが、待っていたのは明るい未来で――!? 幸薄王女の大逆転サクセスストーリー、開幕! ※電子版は単行本をもとに編集しています。
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面白かったです。
賢い第一王女が、蔑ろにされてたけど、居なくなって、初めて分かる人達。
第二王女は、王女の自覚が無いと。
ローデン国でも、王女としての矜持と、賢さを遺憾無く発揮し、王太子の心を射止める。
素敵な王女と王太子に、乾杯。
幸せになるのはいいのですが
異世界恋愛アドベンチャーです。1巻完結です。
逆転物の皮をかぶっていますが, 実は最序盤から主人公の価値は認識されているのでそこからのカタルシスを求める人は多分別の作品のほうがいいです。
この作品の長所は「ヒロインとヒーローがちゃんと恋愛している」というところでしょう。恋愛ものとしての味は酸味5割, 甘味3割, 辛味1割, 苦味1割です。要は相手の気持ちがつかめなくてドギマギという時間が長い感じ。
ヒロインは聡明な王女。……少なくとも設定上は。常識があり, 思いやりのある行動をとれるので違和感なく受け入れられやすいでしょう。傷つきやすい性格。運動神経以外の能力が高く, 周りを驚かせることもしばしばというよくある展開。
ヒーローは軍事的に重要な生物「飛狼竜」を乗りこなす騎士様。快活な少年のような言葉遣いをします。もちろんスペック高め。きちんと主人公をまっすぐに想ってくれます。
しかし恋愛ものを求めている人にこの作品をおすすめするかは別問題です。恋愛自体はまあ大丈夫なのですがその他の部分に致命的なほころびが散見されるのです。
例えばストーリーラインとなる「他国からの妃候補を迎える旅」に関して。主人公やその他の妃候補はその旅程を全く知らなかったわけですが, それにも関わらずとある謀略の舞台に選ばれてしまうという大失態が発生します。この時点で突っ込みどころ満載です。
いくら周辺国の希望と言えど最低限の礼儀すら整っていないその募集にわざわざ「飛狼竜」を動員するほどの外交的なプラスがあるのか甚だ疑問ですし, そのせいで「飛狼竜」を狙う悪しきものに利用されるという悲惨なことに。
賓客である王族たちすら知らなかったその旅程を黒幕はなぜか知っており, 護衛であるはずの竜騎士たちは察知すらできずまんまと実行を許してしまう。という冷静に考えてありえないくらいの奇跡的な謀略を彼らは成し遂げていますが, その結末が「最強の竜騎士が単騎, 土壇場の活躍により殲滅しました」で片づけられてしまうという何とも不釣り合いな展開。
一番大事なストーリーラインですらこのように惨憺たる有様で, ディテールのおかしな部分まで丁寧に解説しようとするとそれだけで1冊本が書けそうです。
小説という文字に特化したメディアにおいてそういう設定を煮詰めるのは非常に重要なのです。読者の没入感に影響します。やっぱり総合的に見てただのおままごとだと感じてしまいました。