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Posted by ブクログ
南部鉄器の職人である父・孝雄が、悟に内緒で非行少年の補導委託を引き受けて来た。やってきた少年春斗は、両親の望むように生きてきて躓いている。春斗をめぐるやりとりを通じて、ぎくしゃくしている孝雄と悟の関係も変化していく。
南部鉄器の愉快な職人仲間たち、居酒屋を営む悟の妹由美との関わりを通じて、少しずつ春斗が自分の気持ちに正直になり、自分の思いを両親にも伝えられるようになっていく成長ぶりがハートウォーミングだった。春斗の父も孝雄もそれぞれに背負ってる背景があって、息子とうまく接しられないでいる。そこを対話によって理解しあっていく、ハッピーエンドな話。それぞれの成長や変化が葛藤とともに描かれていてとてもよい。
Posted by ブクログ
親子の関係というものを考えさせられた。私は親方のような昭和の頑固親父が苦手で、悟目線で読んでいたが、最後はそれぞれの親子がちゃんと向き合い理解し合うことが出来て良かったと思った。「選択肢のない人生は辛い」「親は子供の応援者ではなく味方になるべき」という言葉が響いた。
Posted by ブクログ
南部鉄器の安定感のあるずっしりした佇まいそのままの、重量のある物語だった。補導委託という言葉の意味をその責任の重さ大切さを読み進めながらひしひしと感じた。やってきた春斗という16歳の少年と関わることで、春斗はもちろん引き受けた南部鉄器工房の人達も変わっていく。工房の孝雄、悟のギクシャクした親子関係が解けていき温かいものがかよっていく様子が良かった。
Posted by ブクログ
岩手(東北)の、かつての農村の厳しさというものをあまり意識できていなかった、ということは思った。最終的に皆ほんとうに良い人たちで、良いお話だ・・・と感じた(かつ、読みやすく、面白かった)。
その一方で、個人的にはあまり物語に感情移入しにくいところもあり。
Posted by ブクログ
ミステリーが多い柚月作品だが 今回は補導委託を話にからめながらの「家族小説」
岩手の盛岡で南部鉄器を作る 悟
工場を営む父 孝雄は無口で不愛想な南部鉄器職人
仕事一筋で家族への関心も口出しもしない父に 悟は反発を覚えていた
そんな父が突然「補導委託」を引き受け 非行少年の春斗を住まわすことになる。
戸惑う悟 いつもとは違う顔を見せる孝雄
そして 預かった少年春斗
「補導委託」を通して 父の見えなかった想いに少しずつ触れ 変わっていく悟
家族だからこそ 見えない想い・やるせない期待や気持ちが拗れて ぎくしゃくした親子関係になっていく
皆 大なり小なり自分と重なるところがあると思う
頭の片隅に自身を感じながら 一気に読んだ1冊です。
盛岡の景色や南部鉄器の職人さんの仕事ぶりの描写は さすが 出身地の作家さんだから説得力がある。
おすすめです。