あらすじ
問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度――補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!
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Posted by ブクログ
初めての柚木裕子さん。
硬派なイメージがあり、楽しめるか不安だったけれどとても読みやすかった。
補導委託を始めた南部鉄器工房の人達の話。
親達は自分のような苦労を子供にして欲しくないが故に、子供の意見を聞き入れず気持ちを押し付けてしまう。
自分も気を付けないといけないと改めて考えさせられた。
親子と言えど他人。話さないと伝わらない。
とても面白く、一気に読んでしまいました。
Posted by ブクログ
老舗の南部鉄器の職人たちが、非行に走ってしまった少年の補導委託を受ける話。
いろんな出来事を通じてそれぞれの人間の思いが交錯し、成長していく姿はとても読みごたえがありました。特に印象的だったのは、父親という立場で登場する孝雄と達也の存在です。それぞれ境遇や経験が異なりますが、実は自分が思う愛情を持って子どもに接します。しかし世の中それだけでは不十分で、コミュニケーションをじっくりと取ったり子どもの思いを汲み取ったりすることが大切だと再確認しました。
Posted by ブクログ
久しぶりのガッツリ長編小説
劇的な事件が起こるわけではないけれど、それぞれの登場人物の中にモヤモヤや葛藤があって、生きていくってそういうことだよなぁ〜と思った
渦中にいると見えないことは多いし、◯◯のためは善意による束縛だったりする
最後はじんわり泣けて、絡まってもつれた糸が解けるような結末
一番成長?したのは悟だったかもなぁ〜
Posted by ブクログ
読みやすかった
父親(孝雄)の人生が語られるまで長かった
(もう誰にもあんな辛い思いはしてほしくない)
孝雄は冷害で、大切な家族を失った。
孝雄が補導委託を引き受ける
君は、自分を見つめ直さなければならない。それには、ひとりの時間が必要だ。自分がなにをしたいのか、なにが好きで嫌いなのか。そしてなにを怖がっているのか、じっくり考えてごらん。きっと、自分が知らない自分が見えてくるよ
苦労はしても、後悔のない人生を送りなさい。それは、自分のためでもあり、また、自分の大事な人のためでもある
人にはそれぞれ事情はありけどさ、家族はできる限り一緒にいるほうがいいんだよ。ひとりじゃ乗り越えられないことでも、味方がいればなんとかなる。世の中、蒼いうもんさ