あらすじ
「お母さんは、私の幸せなんて望んでいない」
父を亡くし、編入した華族女学校の卒業式した海棠妃奈子は、
見合いを逃れる術(すべ)を探していた。
無能な娘は母の勧める良縁──子供までいる三十も年上の中年男に嫁ぐしかないという。
絶望した妃奈子は大叔母の
「女官になってみたらどうや」という言葉に救われ、
宮中女官採用試験を受ける。
晴れて母から離れ、宮殿勤めの日々がはじまる。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
すごく面白かったです!!古いものを守ることは大切であるけれどそれは時に窮屈で閉塞感を感じることもあり、新しいものを取り入れたり見方を変えることが必要になることもある。けれど新しいものを取り入れて進むためにもまず古きを知り、良さは守りつつ新しきを取り入れる両者の加減が必要。
妃奈子の家庭環境と宮中での新生活は閉塞的という点では共通していますが、宮中での妃奈子は自身を苦しめていた「賢しら」であることを少しずつ強みとして自身の中へと落とし込み、 職業婦人として花開く。また、外国育ちで国内情勢に疎いものの、巴里で感じた美しさを支える犠牲に涼宮の志を重ねて異なる環境から共通する未来の若者への願いを察知する。等々、妃奈子を取り巻く環境の変化に伴う心情変化だけでなく、たくさんの教訓のようなものが詰まったお話だなと感じて興味深かったです(•ᵕᴗᵕ•)
妃奈子に道を示してくれた叔母様が素敵な方でほっこりしました( ´艸`)
きっかけはあれどチャンスを掴んでモノにしたのは彼女自身の功績であり、我が強そうに見えて情に厚く時と場合に応じて立場を弁える姿もとても好ましかったです!続きも楽しみですヾ(*´∀`*)ノ
Posted by ブクログ
近代の帝室宮殿やら宮中女官については全く知らない人間だったので、その世界に触れられるだけで楽しめる作品だった。
フィクションなので、御一新やら幕政時代の話は出てきても、その先の歴史は日本そのままではないようだが。
如何せん、詳しくなくて判断のつけようがない。
それはさておき。
海外暮らしが長くて特に英語が得意、一方で日本の風土に馴染めなかった主人公が、母親から勧められた縁談を断るために宮中女官として働くという物語。
運命的な出会いをした高辻氏とのもどかしい恋模様も見所。
この母親がね、逃げ切ったと思ったら最後の最後にラスボスのように登場してきてうんざりしましたね。
帯にばっちり「毒母」書かれちゃう人ですから。
外国に染まらなかった主人公の妹は溺愛して、主人公の幸せは願わないという母親にあるまじきキャラなんですが、最後に対峙する頃には主人公も成長してますから。
彼女が日本で息苦しかった根本原因である母親に、ちゃんとやりあえたのはよかったと思う。
それまでの道のりは険しかったけれども。
帝室宮殿に入ってからも、気苦労が絶えなかったからなあ、彼女。
それでも、毎度実家にいるよりまし言っているあたりが、うわー。
帝室宮殿にも、主人公の立場が色々特殊だったこともあって妬みやっかみ受けていたんですけど、その点は母親との対峙前に自らの行いで緩和できてましたしね。
ちゃんと上司が守ってくれていたし、敵視されていた相手を最後に落とせたのがでかかった。
高辻氏もね、守ってくれていたし、困っているときにはちゃんと力になってくれるヒーローでしたから。
このもどかしい二人の恋心は、ちゃんと花開き切る前に終わった印象。
続きがあるような書き方だったので、続刊あるのかな。
もしあるなら読んでみたいと思える作品でした。
Posted by ブクログ
著者の平安ものを楽しく読んでいますが、まさかの近代宮廷。変わらず衣装やしきたりがなんか専門ぽくって惹かれたけど、あまりにもお母さんとの関係が悪くて読後感は爽やかではない。でも続巻出たら買っちゃうだろうな。
2024-012
Posted by ブクログ
小田菜摘さん初読みです。
時代設定は倒幕後、半世紀余とあるので、大正でしょうか。
女性が、働くことも、自分の意見を言うことさえもままならない時代。外交官の父を持つ主人公は
欧州の国々で伸びやかに育ちますが、日本に戻ると一転して、回りに受け入れられず、否定され、心を押し潰されそうになります。
宮中女官として働くことで、自分自身を取り戻していく様が清々しく、応援したくなりました。
母との確執も、自分の気持ちを冷静に分析し、関係を切り離せる潔さが好きです。
宮中のしきたりが細か~く書かれてます‼️