あらすじ
人は運命に抗うことができるか?
1968年、後に「千里見の七夕崩れ」とよばれる大型台風による土砂崩れで、町は多数の死者・行方不明者を出した。
20年後、同じ町の旅館の娘・清田千遥は、東京からやってきた大学生・坂井裕二と出会う。裕二はなぜか夜ごと町を徘徊していた――
激流に飲まれた運命がやがて大きな感動へとたどり着く。
『代償』『悪寒』のベストセラー作家・伊岡瞬史上、
最も残酷で美しい青春ミステリー!
Apple Books Store 2022年上半期ベストブック(ミステリー部門)
※この電子書籍は2022年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
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匿名
伊岡さんの作品が好きでいつも読んでいます。
この話は、年代やそれぞれの人物に分けた話で始まります。
台風で行方不明になる赤ちゃん、クズのような父親に幼い頃から大怪我をさせられる悲劇の子供、親を失った少女、どの話もなんという悲劇なんだろうと読むのを途中で止めてしまおうかと思うくらいでした。
それでも最後にはみんな幸せになれてこの作家さんでは珍しくハッピーエンドかとおもいます。
Posted by ブクログ
深く複雑で壮大
過去から現在にかけて2人の人生が近づいていく。
裕二には幸せになってほしい。
坂井隆はきっといい人であってほしい。
そう願いながら読み、裏切られ、
それでも助かった子供がいるならいいと思った。
「わたしはお母さんの子だけど、お母さんのための子じゃないんだよ」
この言葉はとても心に刺さった。
母の思いと娘の思いは時にすれ違う。
それは相手のことを思うからこそだろう。
私自身、この言葉は忘れずにいたい。
裕二の産みの母、昭代の長い長い20年、
庭に立て看板を立てた思い、
再会できた時の気持ちは想像すらできない。
千遥の父の苦しみも
時枝の苦しみも。
様々な要素が絡み合った物語だが、
私には親子の苦しみと絆の物語だと感じた。