あらすじ
外国人から見ると、日本経済がずっと停滞しているのは不思議でしかない。その理由を探ろうと日本社会を観察し続けた結果、日本人は、自分では意識していないが、他の先進国にはない『呪縛』を抱えていることがわかった。硬直した官僚主義やがんじがらめの社会制度などにより、日本人個々人がのびのびとした幸福を感じられない社会になっている。しかも、あまりに強固なその社会制度を、簡単には変えられない仕組みになっている。「政治」「官僚」「メディア」、そして「教育」など、オーストラリア人ジャーナリストが体験したさまざまな実例、ニュースなどを取り上げ、硬直した日本社会をえぐり出す。日本とはあらゆることで正反対のオーストラリアと対比すると、日本の呪縛を解くカギも見えてくる。
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Posted by ブクログ
著者は、在日豪州のジャーナリスト。以前、「日本人論」が流行りましたが、本書は、豪州との比較で語る「日本社会論」です。始めの教育論や傲慢症候群(「お客様は神様」に慣れてのぼせ上がる)などは、さもありなんでしたが、メディア・外交・政治以降はなかなか面白い比較がなされています。
豪州は投票率がOECDで第1位(日本は32位)。これは、①義務投票制(投票に行かないと5,000円の罰金!)、②優先順位記載方式(嫌な奴は落とす仕組み)、があるためで、国民の政治参画意識も高くなっている由です。
また、テレビ局と新聞社が株を持ち合う「クロスオーナーシップ」は世界中で規制されているにも拘らず、日本では一体となって論調を統一することとなり、「ジャーナリズムとして理想的ではない」と看破しています。
農作物貿易では、検疫制度や輸出入手続きの手間などが阻害要因となって、日本の高級果物は伸びず、逆に豪州の安い農作物が大量に日本に入るおかげで(対2014年度比で228%増)、日本の作付面積が落ち続けるているなど全く知りませんでした。
その他、少子化対策や移民問題など、新聞は読み込んでいるつもりなのですが、「へぇ~」ボタンをバシバシ叩いて読んだ一冊でした。
Posted by ブクログ
日本の英語教育制度には欠陥がある。教員試験があるため、英語の能力よりそちらが優先される。
日本では留学すると、コースから外れる。
オーストラリアのアデレードは、教育を産業としている。
オーストラリアでは、医学部の学費が文学部より安い場合がある。社会的に有用な人材を育成する。
日本では、外国語をマスターしなくても、聞こえのいい大学に入学できればいい。
日本のいじめの原因は多様性が認められていないこと。
オーストラリアは、義務投票制。日本では、その実施はほぼ不可能。
日本は死票率が高い。オーストラリアは、優先順位起債方式=死票が少ない。