あらすじ
第10回日本SF新人賞受賞作品。「馬を買いに来た。サラブレッドだ」北海道の新冠で小さな牧場を営む笹田伸人の許を、北海道を統括するロシア弁務官アレクセイ・イリッチが訪れた。小規模な牧場には珍しく、大活躍が期待される一歳馬だ。笹田は弁務官の高圧的な態度に拒絶反応を示すが、権力には勝てず、馬は買い取られていった。二十二世紀初頭、ロシアはその強大な軍事力により、経済力のみの日本に勝利し、支配下に置いていた。世界の競馬産業は衰退していたが、日本ではロシア侵攻中も馬産が続けられ、競馬人気は盛ん。しかし、「腹脳」という人口頭脳の業界団体である「腹推会」が、人間のサイボーグ化への足がかりとして、サラブレッドのサイボーグ化を競馬界に働きかけ、これが承認されてしまった。生身の馬体で行われる最後のダービーに向けて、男たちは、それぞれの戦いを始める。ポグロム―ロシア語で、虐殺、破壊―と名付けられたイリッチ弁務官の馬は、いかなる活躍を示すか!?※巻末ページのリンク先にはジャンプ出来ませんのでご了承下さい。
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Posted by ブクログ
目黒さんのオススメで読んだ一冊。
実施のページ数の1.5倍くらいの量を読んだ感じるがする。
競馬、SF、社会が、環境問題、情報家、資本主義に置き換えられて話が作られている。
最後はあれか。あれなのか。
作中の定義を考えれはいいのかもしれないが、あぁ。
Posted by ブクログ
競馬の楽しみ方や関わり方は多くの人のとって、大部分はギャンブルだろうけど、それ以外にもいろいろある。
予想ゲームとか、騎手の応援とか、スポーツとしてとか、馬のファンとか、生産とか、経営とか、調教とか、etc.etc。
個人的にはかつては、予想ゲームであり、特定の馬のドラマに感情移入し過ぎた頃もあった。
この本を読んで思い出したのは、壮大な遺伝の実験場としての側面だ。
インブリード、アウトブリード、クロス、…。
サラブレッドは血統が完全に管理されていて、父や母がハッキリしない馬はサラブレッドとして登録できない。そこにさまざまなドラマが生まれたこともあるんだけど、とにかく完全に血統が管理されている。そしてすべての馬はたった3頭の祖先に行き着く。
そして競馬に向いていない血は徹底的に排除されて行く。
まぁ、とにかく人間によって生物的に歪められた悲しい動物ではある。
しかしそれを否定したところで競馬はなくならない。馬刺しを食べないと誓ったところでなにも変わることはないだろう。
いつかそんな悲しい営みである、競馬というものがなくなる日がくるんだろうか?
脱線しまくりだけど、この小説は話として面白い面もある一方、ストーリーとしてはなんだかよくわからん。