あらすじ
2022年11月のサービス提供開始以来、一大ムーブメントとなったChatGPT。その言語処理能力の高さが話題となったように、生成AIの技術革新は速く大きく、私たちの仕事や生活に与える影響が議論されている。ネット広告の効果が低減し、インターネットは衰退していくのか。また、GAFAMのような巨大プラットフォーマー企業はどんな戦略をとるのか。インターネットや社会、ビジネスが今後直面する変化について、コンピューターサイエンスのスペシャリストが解説する。
【目次】
第1章 ChatGPTのしくみ
第2章 想定される応用法
第3章 インターネットを終焉させるのか
第4章 リスクと弱点
第5章 生成AIに関わる法的問題
第6章 社会をどう変えるのか
第7章 国際社会はどう受け入れるのか
第8章 AIを真に使える社会へ
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Posted by ブクログ
ChatGPTは世界をどう変えるのか
著:佐藤一郎
中公新書ラクレ 804
AIシステム GPT4 が、米国統一司法試験の合格点を上回るだけでなく、人間合格者の上位10%に入るスコアを獲得したとされ、専門的な文章も生成できることが示された。
ChatGPTは製品・サービス・プロダクトが連携し、大きな利益構造を構成するエコシステムを構築するに至っています
マイクロソフトは今後、オフィスに生成AIを組み込むことを発表しており、今後パソコンを使っていると、知らないうちに、生成AIを使っていることになるでしょう。
本書は、ChatGPTという文章や画像を中心に扱う生成AIが社会にどのような影響を与えるのかを考察するものです。
■ChatGPTのしくみ
・生成AIとは、文章生成に特化していて、Chatというように対話を目的としています。いわゆる対話型AI
・文章を作る速さが重要、対話というタスクを実現するAIです
・文章を作るためには、AIの知見に加えて言語学的な知見が必要である。
・大量の模範例文、学習モデル、タスクごとの学習モデルを調整したモデルが必要
・生成AIに入力する文章を、プロンプトという。人間が会話で用いているプロンプトは不完全なので、AIでは扱えない。処理をする前にそのプロンプトを改変、拡張してから処理をしているのです
・ChatGPTを作れたのは、AIだけでなく、言語学の研究者や自然言語処理の研究者や技術者が必要であった
■想定される応用法
・要約や校正、添削
・タイトル付け
・リストの列挙、事項の網羅的な書き出し
・メールの作成、いずれは、送信も
・ワープロ、プレゼンなどの作成
・文章の読み上げ、概要のまとめ
・講演スライドの英語への翻訳
・商品の取扱説明書、利用者マニュアル、想定問題集
・顧客からの問い合わせや、クレームへの報告書
・おもちゃへの組み込み、会話するぬいぐるみ
・教育コンテンツ⇒児童ごとにレベルを合わせた教材の自動生成、教科書や問題集の作成
・文章の要約、添削、外国語の会話の練習
・刑事裁判の事実認定、あてはめ、判決推論
・広報担当者のプレスリリース、チェック
■インターネットの終焉
・ウェブページの出力は、URLだが、生成AIの出力は、結果そのもの、意味するものは、ウェブページの検索連動型広告の売上が減ってしまう
・生成AIの共食い⇒ウェブ広告料が減っていくと、そのコンテンツの制作費を削減することに⇒イラストやコンテンツ費用を削減するために生成AIを使うことに
⇒ウェブ広告を作るために、生成AIを学習ことで、ウェブの広告の質が下がっていく
■リスクと弱点
・生成AIのリスク ①機能・品質リスト、②セキュリティ・リスク ③法的・倫理的リスク
・機能・品質リスト 出力における誤り、低品質な文章、不適切な学習モデルを学習してしまう、バイアス、思想の偏り、生成AIははたして中立か
・セキュリティ・リスク 情報漏えい、不正利用のための文章、フェイク情報の生成
・法的リスク 著作権(入力時のプロンプト、生成後の結果) 著作権はクリアしても、個人情報保護や、個人の権利侵害による民事訴訟のリスク
■社会をどう変えるか
・AIが職業を代替するには、時間がかかる、大量失業が起こる前に生じること ⇒ 人間の仕事の収入減少が起こる 心配すべきは、AIによって収入が減ってしまうこと
・AIを生かすための人材 AIの開発、AIを利用したアプリやサービスの開発、AIを支援する人材
・学習モデルの改変、コンテンスの選別、修正
・AIは未熟者と熟練者を分けてしまう。それよりも 未熟者を熟練者にするためのパスが失われる可能性が大
・AIの技術は次々に代わっていくだろう ジョブ型人間よりも、メンバーシップ型人間のほうが、AI時代に生き残れる可能性が高い。いわば、リスキルできる人材をメンバーシップとして抱えること
・大規模言語モデル(LLM)が言語の壁をなくすことになるかも、いわゆる英語ができなくても、AIが英語を訳してくれるので英語は学習することが無意味になる
■国際社会
・マイクロソフト Azure、Bingなど、オープンAIで、オフィスと生成AIの融合が進む
・AI規制、規制を過度にかければ、1970年代の米自動車産業と同様に衰退する
・AIの限界、学習モデルの規模の限界
・プロンプトが10万字以上になれば1つの本を扱えるようになる、本の要約できるようになる
・汎用の学習から、特定の専門性に特化した対話AIへ
目次
はじめに
第1章 ChatGPTのしくみ
第2章 想定される応用法
第3章 インターネットを終焉させるのか
第4章 リスクと弱点
第5章 生成AIに関わる法的問題
第6章 社会をどう変えるのか
第7章 国際社会はどう受け入れるのか
第8章 AIを真に使える社会へ
おわりに
ISBN:9784121508041
出版社:中央公論新社
判型:新書
ページ数:256ページ
定価:880円(本体)
発行:2023年12月10日
Posted by ブクログ
利用機会が急激に拡大しているChatGPT。私の同僚も、エンジニアを中心に駆使している。私はまだまだ使用機会が少なく、契約用語の検索や英文翻訳くらいしか使ったことが無いが、基礎知識として知っておきたく、手軽に読めそうな本書を手に取った。
以下、印象に残った部分をメモしておく。
・生成AIの学習機能は単語と単語の繋がりの確立をインプットするもの。反復した学習により、自然な対話・応答ができるようになるが、不思議な(時にはユニークな)文章も作成される。生成AIに小説を書かせると以外な展開になることもある。
・学習は常に「上書き保存」タイプであり、「別ファイルで保存」ではない。誤った情報を学習させることもできてしまう。
・ChatGPTを使いこなすには、プロンプトの精度を高めることが必要。ユーザー向けの「プロンプトエンジニアリング」という教育もあるが、いずれはそれ自体も生成AIに取って代わられると予想される。
・生成AIの作った画像や文章について、そのアイディアやコンセプトが著作権や意匠権にどの程度影響するのか、現段階では、判別が難しい。
・生成AIの利用者が増えることにより、生成AIのGPU処理の際に、多大な消費電力を要していると考えられる。ChatGPTは現時点では無料で使用できるため、電力はOpenAI社が負担している。
Posted by ブクログ
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2022年11月のサービス提供開始以来、一大ムーブメントとなったChatGPT。その言語処理能力の高さが話題となったように、生成AIの技術革新は速く大きく、私たちの仕事や生活に与える影響が議論されている。ネット広告の効果が低減し、インターネットは衰退していくのか。またGAFAMのような巨大プラットフォーマー起業はどんな戦略をとるのか。インターネットや社会、ビジネスが今後直面する変化について、コンピューターサイエンスのスペシャリストが解説する。
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ChatGPTは、おそらくこういうものだ。だからこうなっていく可能性がある。そうするとこういう問題が発生するかもね・・・。
とまぁ、ifにifを重ねていく話なので、素人の私には難しかったです。
それでも気になっていたプライバシーの話や問題発言などは、学習データをきちんと管理することで、ある程度回避することができると分かりました。そして、きちんと管理することのできる、責任の取れる会社のサービスを利用すべきだというのもよく分かります。
頭の隅に、おいておく程度しかできませんが、無駄では無かったです。今後も生成AIがもっと有益になることを期待しています。できれば、日本が先導できればいいのですが・・・。(^_^;)