あらすじ
「政など、きれいごとでは進まない。呑まれているときではない」。豊臣家大坂城の堀を埋め徳川の権威を決定づけたのは、武士をも凌ぐ智慧を持った阿茶だった。夫亡き後、徳川家康の側室に収まり、戦場に同行するも子を喪う。禁教を信じ、女性を愛し、戦国の世を自分らしく生き抜いた阿茶の格闘と矜持が胸に沁みる感涙の歴史小説。
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匿名
竹だけ家臣の娘須和は、信玄亡き後に嫁いだ夫を亡くした後、夫の縁から徳川家康の側室阿茶局となる。
同じ側室の西郷局(於愛)がひそかに信仰している「在るという神」の教えに、阿茶も惹かれるが、信仰するというより興味深いという感じ。
西郷は早くに亡くなるが、阿茶はその子秀忠を養育する。
大坂の陣において、堀を埋めさせたのは、関ヶ原合戦に遅参した秀忠の発案と執念によるもの、という設定。
秀忠はその後切支丹弾圧に向かってしまうが、実は父家康は「在るという神」の教えを知り、体現しているのだった。
秀忠の娘東福門院和子の入内に付き従うなどした阿茶もまた、「在るという神」に惹かれ続ける・・・。
長編のようで、実は連作短編のような感じかな。
視力は悪いが、それが愛嬌になるくらいお愛の造詣がいい感じでした。