あらすじ
【内容紹介】
これがChatGPTには予測できない未来の思考法だ!
マッキンゼー伝説のコンサルタントが贈る、
希望を持って生き抜くための27の提言!
「年末の定番書籍」として定着している大前研一氏の『日本の論点』が今年も登場。紙面を大幅にリニューアルし、例年と同じページ数でトピックの数を増やしました。また、毎年ご好評いただいている読者限定の大前氏の動画視聴サービスも継続します。
2023年は前年から続くロシアのウクライナ侵攻がついに解決をみなかったばかりか、イスラエルとイスラム武装組織ハマスとの武力衝突によって、国際情勢がさらに複雑化することとなりました。2024年は1月に台湾総統選挙、3月にロシア大統領選挙、そして11月にアメリカ大統領選挙が予定されており、国際政治が大きく動きだすと予想されています。
一方、日本国内は、上がらない所得、円安や原油高による家計の圧迫などによって、岸田政権の支持率は下がり続け、2024年に解散総選挙の実施が予想されます。しかし、誰が首相になっても日本の課題は変わらず、山積する課題にどう立ち向かうかが問われています。
本書は大前氏が豊富な知識と体験、洞察力を駆使して、新しい時代に役立つものの見方や考え方を具体的に述べていきます。
【著者紹介】
[著]大前 研一(Kenichi Ohmae)
早稲田大学卒業後、東京工業大学で修士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得。日立製作所、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長。
【目次抜粋】
Part1〈日本編〉
巻頭言 2024年、日本が目指すべきは真の「観光立国」だ
論点01 岸田首相をはじめ日本の政治家が誰も理解していない、日本凋落の根本原因
論点02 岸田政権が続く限り、日本人の給料は確実に下がり続ける3つの根本原因
論点03 植田日銀総裁が、黒田「異次元緩和」路線と決別するために行うべき新たな金融政策
論点04 岸田政権が「異次元の少子化対策」の前に取り組むべき、「ごく普通の少子化対策」
論点05 産業振興目的の「大学10兆円ファンド」が、税金の壮大な無駄遣いになる理由
論点06 いまや国民病である花粉症患者が増え続ける根本原因と、その裏に潜むさまざまな利権
論点07 「ソロ社会」「ソロ活市場」の出現に伴い、日本企業が直面するビジネス環境の大変化
論点08 「日本を変えたい」という政治的野心に燃えた稲盛和夫氏の知られざる生涯
論点09 ネット配信時代のNHKは、受信料からチャンネルごとの課金制に移行すべし
論点10 インボイス制度導入よりも、サラリーマンに不公平な税制度の改革が急務だ
論点11 日本のシニアが楽しい定年後を送るための秘訣と、そこに眠るビジネスチャンス
論点12 介護崩壊を放置する日本の末路と、残された2つの選択肢
論点13 10年前に予見できた、モバイル事業以外に楽天グループが抱える衰退理由
論点14 移動モビリティの規制緩和とルールづくりにおいて日本が欧州から学ぶベき理由
Part2〈海外編〉
巻頭言 混迷極める世界情勢。「異形の大国」ロシアとのつきあい方を改めて考える
論点01 最新AI「ChatGPT」を開発した天才経営者が目指すのは「悪の帝国」か
論点02 新・世界一の富豪ベルナール・アノーとイーロン・マスクの違い
論点03 ミサイル防衛よりも防空壕のほうが安全!? 日本の頼りない安全保障の実態
論点04 「日米同盟」&「中国包囲網」は、勉強不足で時代遅れな外交戦略
論点05 米欧銀行連続破綻は、世界金融危機のトリガーとなるのか
論点06 インフレに苦しむイギリスのスナク政権に残された「EU再加盟」という選択肢
論点07 ウクライナ侵攻が長期化しても、プーチンの支持率が高い歴史的理由
論点08 「プーチン政権崩壊後」を見据えて始まっているロシア国内外の動き
論点09 不動産不況に苦しむ習近平政権はなぜ“日本いじめ”を始めたのか
論点10 外資系企業誘致よりも、日本人技術者を海外へ派遣せよ
論点11 グローバル化の時代にもかかわらず、日本人の英語力が一向に伸びない理由
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Posted by ブクログ
2023年11月30日発行本。少し古新聞だが、おおきなテーマのため、課題は現在でも解決していないどころか、むしろ混迷しているようにも感じる。
国内外に分けて、テーマごとに、大前研一氏のオピニオンを記載。
個人的には、次のことが印象に残った。
・開業医がベンツに乗れるワケ
かつて開業医でシェアナンバーワンの保険請求システムは、三洋電機のものだった。人気の秘密は、"鉛筆を舐めやすい"システムだったからだ。
そもそもイカサマが横行していたのは、病院には、たとえば保険診療報酬が年間2500万円以下の場合、概算経費率72%という優遇税制が存在する。病院には製薬会社のMR(医療情報担当者)が営業のために大量のサンプルを持ってくる。サンプルの仕入れコストはゼロだ。それを患者に処方しても経費率72%で計上できるのだから、開業医は笑いが止まらない。血液検査などの業者も、同じようなうまみを盛り込んで開業医に出入りしている。開業医が高級車に乗れるのも、さもありなんだ。ちなみに、パナソニックが三洋電機を買収してからは、"鉛筆を舐めやすい"システムはなくなった。
・日本に兼業農家が多い理由
農家も「おいしい」職業だろう。自家用車は農協の低金利のローンで買って減価償却をする。それに乗って遊びに行くガソリン代は経費に計上する。農閑期には「パイナップル農園の視察」と称して、ハワイ旅行に行く。このようなおいしい立場を手放したくない農家の息子は、本業でサラリーマンをやりつつ、細々と兼業で農業を続けていく。日本に兼業農家が多いのは、そのためでもある。
農業に参入しようとしたある個人の方の話だが、ほぼ耕作放棄地になっている農地50アールを買いたいと農家に申し出たという。価格を聞いたら3000万円で「高くて無理だ」と答えたら、その農家は「米の収穫の10%をもらえれば年5万円で貸す」とタダ同然の賃貸料を提示してきた。農地を売れば農家の身分を失ってしまうが、貸すだけなら農家のままでいられる。また、収穫の10%あれば自分は食っていける。それゆえの価格設定だった。
実質的に隠居している農家にも優遇税制がある。親が亡くなっても農業を続けていれば、農地などの相続税が免除になるのだ。
30年以内に農業を再開すれば再び現役の農民として優遇パッケージを丸ごと継承できる。さらに農地は(家付きでさえ)農家しか買えないという障壁もある。こうして、おいしい身分が親から子へと引き継かれていくのである。
・なぜ北方領土問題は解決しないのか
第二次世界大戦の終結時、戦勝国であるソ連は北海道の分割統治をアメリカに打診した。日露戦争で樺太の南半分を割譲させられたのだから今後は北海道の北半分をもらって当然だ、という理屈だ。
しかし、ベルリン分割で懲りていたアメリカのトルーマン大統領はこれを拒否。そのかわりに南クリル諸島、すなわち北方4島を持って行けと言った。このやりとりは電報に残っていて、「南クリル諸島は戦勝国の分割案に従ってもらった正式な領土だ」というのがロシアの立場である。
ところが、日本の外務省はそうした経緯を無視して、「北方領土はソ連が不法に占領したものである」と主張する。ロシアはこれが気に入らない。ラブロフ外相は「北方領土という表現をやめろ。まず我々の正式な領土であることを認めたうえでなければ返還交渉はできない」という考えなので、外務省のウソに乗っかるかぎり、話し合いは平行線のままである。
平和条約締結後の経済開発は、日本にとって利益が大きい。北方4島が返還されたとしても、先祖の墓参りに自由に行ければ十分で、島に戻って暮らしたいと考えている元住民は殆どいない。
魅力的な唯一の権益は国後島の南側に広がる海域の漁業権だ。経済協力で漁をしやすくなれば漁民に文句はない。ハバロフスクを中心とした沿海州での経済開発にも期待が持てる。中国は沿海州の経済領土化を狙っていて、ロシアの立場が弱くなれば、一気に植民化を進める魂胆だ。
巻頭言
2024年、日本が目指すべきは真の「観光立国」だ
国内編
論点01
岸田首相をはじめ日本の政治家が誰も理解していない、日本凋落の根本原因
論点02
岸田政権が続く限り、日本人の給料は確実に下がり続ける3つの根本原因
論点03
植田日銀総裁が、黒田「異次元緩和」路線と決別するために行うべき新たな金融政策
論点04
岸田政権が「異次元の少子化対策」の前に取り組むべき、「ごく普通の少子化対策」
論点05
産業振興目的の「大学10兆円ファンド」が、税金の壮大な無駄遣いになる理由
論点06
いまや国民病である花粉症患者が増え続ける根本原因と、その裏に潜むさまざまな利権
論点07
「ソロ社会」「ソロ活市場」の出現に伴い、日本企業が直面するビジネス環境の大変化
論点08
「日本を変えたい」という政治的野心に燃えた稲盛和夫氏の知られざる生涯
論点09
ネット配信時代のNHKは、受信料からチャンネルごとの課金制に移行すべし
論点10
インボイス制度導入よりも、サラリーマンに不公平な税制度の改革が急務だ
論点11
本のシニアが楽しい定年後を送るための秘訣とそこに眠るビジネスチャンス
論点12
介護崩壊を放置する日本の末路と、残された2つの選択肢
論点13
10年前に予見できた、モバイル事業以外に楽天グループが抱える衰退理由
論点14
移動モビリティの規制緩和とルールづくりにおいて日本が欧州から学ぶべき理由
海外編
巻頭言
混迷を極める世界情勢。「異形の大国」ロシアとのつきあい方を改めて考える
論点01
最新AI「ChatGPT」を開発した天才経営者が目指すのは「悪の帝国」か
論点02
新・世界一の富豪ベルナール・アルノーと
イーロン・マスクの違い
論点03
ミサイル防衛よりも防空壕のほうが安全?!
日本の頼りない安全保障の実態
論点04
「日米同盟」&「中国包囲網」は、勉強不足で時代遅れの外交戦略
論点05
米欧銀行の連続破綻は、世界金融危機のトリガーとなるのか
論点06
インフレに苦しむイギリスのスナク政権に残された「EU再加盟」という選択肢
論点07
ウクライナ侵攻が長期化しても、プーチンの支持率が高い歴史的理由
論点08
「プーチン政権崩壊後」を見据えて始まっているロシア国内外の動き
論点09
不動産不況に苦しむ習近平政権はなぜ"日本いじめ"を始めたのか
論点10
外資系企業誘致よりも、日本人技術者を海外へ派遣せよ
論点11
グローバル化の時代にもかかわらず、日本人の英語力が一向に伸びない理由
Posted by ブクログ
大きく外れることはない著者の年度版の論点。1つ1つのテーマに対して本来は考察されているであろう踏み込みが書物になることで簡単化されているのは少し残念。随所にスタッフが言葉を補っているであろうパートが分かるのも残念ではある。幅広く網羅性が高いため、短時間の勉強の為にはとても良い教材。
Posted by ブクログ
とても読みやすい本でした。毎年出しているとは知りながら、読もうと思わずに過ぎていたのですが、今年初めて読んで、びっくりしました。
興味が薄い分野の文章も、とてもわかりやすく読むことができ、著者の考えもわかりやすくまとめてくださっているので、良い機会をいただきました。
Posted by ブクログ
昇進試験対策。
古い観念から脱却し、最大限のアウトプットを生み出す柔軟なアイデアをいかに生み出せるかという一貫した主張を読み取った。殻にこもらずオープンなマインドをまずは持ちたい。
日本が抱える課題やチャンスはこの本だけでは体系的に理解できないので、あと何冊か頑張って読みます
Posted by ブクログ
日本の論点が出るとあぁ年末だなと感じる。勉強になるとずっと思っていて毎年読んでいるが、あまりの日本の変わらなさに辟易し、大前氏の主張もエッセイのような感覚になってきてしまった。本書でこうするべきと言われている1/10でも実現してほしいと思う。
Posted by ブクログ
このシリーズの宿命なのだが、過去の連載記事をベースにしているので、情報がやや古めになる。今回も、少し発売を延期すればイスラエルのパレスチナ侵攻についての解説も聞けたろうに。残念。