【感想・ネタバレ】漢字のサーカス 常用漢字編1のレビュー

あらすじ

鍵穴の中に見えるのは? おだんごを完成させるには? きれいでおもしろいイラストのような漢字パズルを解きながら、楽しく漢字力をアップさせよう。テレビや新聞、インターネットなどでふだん目にする常用漢字のうち、ステップ1として601字を網羅した85題を収録。日本漢字能力検定3級・4級にも対応。

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Posted by ブクログ

なにごと?この岩波ジュニアらしからぬ表紙のセンスの良さは? 

それが、この本の表紙を初めて見た時の感想だ。奥付を見てそれも納得、表紙も手がける著者は、本業がビジュアル・デザイナーだった。

この本は、デザイン的観点から漢字をパズルにした問題集である。間違っても、「漢検2級対応」というたぐいの本でもないし、失礼ながら僕の読んだところ、「楽しみながら力がつく」本でもないと思う(もしかして筆者はそれを意図しているのかもしれないけど)。

でも、ただ純粋に「楽しい」。問題を問いてもいいし、ただ眺めて漢字のデザインを楽しんでもいい。何より、著者が楽しんでいるのがよくわかる。たぶん、この文章を読むくらいに読書に関心があって漢字が読める人であれば、誰でも純粋に楽しめるパズル本だと思う。

いろいろ面白いパズルがあって、中には部首ごとにグループ分けされているような「お勉強」に役に立ちそうなものもある。でも、この本の真骨頂は、同じ字が45度ずつ重なっている「風車」とか、縦や斜めに引き延ばされた「字レッダー」。これができたって、「テスト的漢字力」向上には何も寄与しないもの。それがいいんだな。デザインとしての漢字を著者が楽しんでいるなあという気持ちが伝わってくる。

「漢字のサーカス」とは、よくつけたタイトルだと思う。まさにサーカス。漢字って、本来こういうデザインと相性がいいのかも。でも僕らが日常、漢字の「意味」にばかり目がいきすぎて、デザイン的な魅力に気づいていないだけなのかもしれない。表音文字系の外国人に漢字がファンタスティックだと言われて逆にこっちが驚くような、そんな再発見をさせてくれた一冊だった。

というわけで、「漢字勉強に役に立つ」類の本を求める人、この本は読まないで。お互いにとって不幸だから。でも、漢字のデザインにはっと驚いたり、楽しんだりしたい人、ぜひ読んでみて、な一冊です。

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2010年12月28日

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