あらすじ
疫病と戦争で再強化される「国民国家」はどこへ向かうのか。
拮抗する「民主主義と権威主義」のゆくえは。
希代の思想家が覇権国「アメリカ」と「中国」の比較統治論から読み解く。
アメリカにはアメリカの趨向性(あるいは戦略)があり、中国には中国の趨向性(あるいは戦略)がある。それを見分けることができれば、彼らが「なぜ、こんなことをするのか?」、「これからどんなことをしそうか?」について妥当性の高い仮説を立てることができる。それがこれからこの本の中で僕が試みようとしていることです。(第1章より)
アメリカと中国というプレイヤーがどうふるまうかによって、これからの世界の行方は決まってきます。僕たち日本人にできることは限られています。直接、両国に外交的に働きかけて彼らの世界戦略に影響を及ぼすということは日本人にはできません。日本自体が固有の世界戦略を持っていないのですからできるはずがない。できるのは、両国の間に立って、なんとか外交的な架橋として対話のチャンネルを維持し、両国の利害を調整するくらいです。それができたら上等です。
とりあえず僕たちにできるのは観察と予測くらいです。この二つの超大国がどういう統治原理によって存立しているのか、短期的な政策よりも、基本的にどのような趨向性を持っているのか、それをよく観察して、世界がこれからどういう方向に向かうのか、どのような分岐点が未来に待ち受けているのか。(第1章より)
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Posted by ブクログ
国民国家という概念は中くらいの現実。太鼓から存在したモノではない。
グリーバル企業は国民国家に帰属意識はないことが要件。
ウクライナの戦争がどうなっても、ロシアは没落する。勢力圏はなくなる。
『フェデラリスト』の中に合衆国憲法の制定の議論がわかる。連邦派と独立国派の争いがあった。連邦と州の自由とのせめぎあい。軍隊は、同胞に向けられるべきではなく、国外に向けられるべき、という論法で連邦の下に常備軍を置くことになった。一方で、民衆の武装権も保障した。
アメリカでは19誠意に公教育の導入の反対があった。
合衆国憲法は、常備軍の保持を禁止している。軍は時の権力者の私兵になる。議会が招集して編成するもの、という建前。
シオンの議定書=ユダヤの世界政府の陰謀論を書いた書物。
ロシア・ロマノフ王朝のユダヤ人迫害があったため、ニューヨークのユダヤ人銀行家シフの協力により、日露戦争の公債による資金調達が可能になった。
陰謀論は、一神教の国々で広まりやすい。日本では広まらない。陰謀論は一神教の裏返し。
ポストモダニズム=大きな物語の否定=自分が見ているモノは真性かどうか疑わしい。行き過ぎると反知性主義になる。知的虚無主義。
歴史修正主義=世界の見え方はいろいろあり、どれも等権利である。現代はポスト真実の時代になった。
平等は自由のり後回し=平等は、公権力によって作り出されるモノだから。
民主政は、民衆による民衆の支配が起きた。
マルクスとリンカーンは同時代に生きた。
中国は多民族国家。王朝の交代は繰り返し同じパターンでおきた。
生産年齢人口の減少は2015年から始まっている。
習近平の反腐敗闘争は、誰を失脚させるか権限をもつものに一極集中する。腐敗がなくなれば、一極集中はできない。腐敗がなくならない構造は温存したまま、腐敗を摘発することで権限が保たれる構造。
中国の国民監視は世界一。社会的信用スコアが高いと何かと有利になる社会。
教育の商品化を禁止した双減政策。宿題を制限して学習塾を非営利化した。親の格差を子供に引き継がない共産的な政策。
アメリカでは、アメリカが滅ぶシナリオが熱心に読まれる。日本では、敗北主義が敗北を呼び込む、というロジックで、それを避ける。