あらすじ
この世界は破壊すべきである、○か×か? 過去の記憶がない怜王鳴門にある日届いた「きみの物語」。読者を挑発する究極のマルチバース小説! 第60回文藝賞優秀作。穂村弘驚嘆!
我々も現実世界に閉じ込められた登場人物だ。小説の枠組み自体が問題視され、登場人物が複数の階層を貫いて行動する本作を、もっとも推した。
――選考委員・穂村弘
「お前は、この世界を壊すのか」
「うん」「すべてを無へ帰す」
「なんのために」
「パパのために」
(本文より)
クイズ大会、国家転覆、そしてギターケース爆弾――。
型破りな展開と、移り変わる世界線が、物語と現実の境界を突破する、破格のデビュー作!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ほとばしる空想に乗せられてパラレルワールド内を引きまわされる感覚。リズム感のある文でどんどん読まされていく中で、ちらりチクリと現実への批判とそれが変わらないことへの苦しみが語られる。そして最後には力強い希望が感じられた。結果が見えなくても少しでも現実を変え続ける勇気を与えられたと思う。
Posted by ブクログ
わけがわからない!笑
1文1文は読めるのに、どんどん意味が分からなく、脳から溶けだしていくような感覚になる。なのに物凄い勢いで読まされてしまった。疾走感が凄い。残念ながら私は、内容を全て読み取れたとは言い難いけれど、各シーンの文章から感じる絵力がすさまじい。なんだったんだろう。
内容がさっぱり分からないのに、面白かったような気がする。その訳の分からなさが面白かったんで、個人的にはとても好き。
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この世界は破壊すべきである、○か×か?過去の記憶がない怜王鳴門にある日届いた「きみの物語」。読者を挑発するマルチバース小説
次の瞬間・隣の行の展開が予想できないカオスの魅力。夢の中で見るような、これこそ小説でしかできないエンタメ…!
Posted by ブクログ
一気に読み切ったが逆にそうしなければ、途中で話の展開についていけなくなっていたかもしれない。そのぐらい複雑な話だった。
27才になった怜王鳴門は、なぜ自分が部屋を出たことがなく記憶がないのか不思議に思っていた。パパ上のノートパソコンに送られていたメールをこっそり覗き見たことによって、自分が何者かを知り、行動を開始する。
物語と現実の垣根がどこにあるのか非常に曖昧であり、読んでいて、今どの世界線にいるのか一瞬わからなくなったりする。登場人物の行動がハチャメチャであることはもちろんのこと、あの人はこの世界線ではどの人なのか、など思考が吹っ飛びそうになった。自分の拙い理解力では、誰しもが神の可能性もあれば人形の可能性もある、程度にしか捉えられなかった。色々な意味で難解な小説だった。
なるほど、と思ったのは「死角」という発想。自分からは見えないが、物事と物事の間にはきちんと流れがあって、それは自分からは死角になっているから見えないだけだという考え方は斬新だった。見えないと存在しないは違うのだが、それをこの言葉で端的に表せることに思わず「なるほど」と思った。
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人生とはクイズのようなものかもしれない。私たちは常に何かを選択しながら生きていて、ただがむしゃらに走り続けなければいけない。
玲王鳴門(れおなるど)という主人公の名前に面食らうが、読み進めるうちに更に世界は荒唐無稽を極め不可思議に歪んでいく。訳が分からないがとにかく文章が面白くて、ページをめくる手が止まらなかった。文章のリズムとワードセンスが素晴らしいと思う。とても良かった。
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物語を求めている人よりも、面白いフレーズを求めている人向けかもしれない。
作者の思いつくままに息継ぎなく書かれた作品のように感じた。作者は頭の回転が早い人なのだろう。万人受けする作品ではなさそうではあるものの、個人的には作者から読者の受け皿の広さが計られているようにも思えた。
怜王鳴門の社会そのものを拒絶したイヤイヤ期に公園でサッチャンに知の暴力でねじ伏せられる話が面白かった。全体的に「なんじゃこりゃ」の中にも随所に盛り上がりがあり楽しめた。
Posted by ブクログ
読んでもわっかんね〜目が滑って全然頭に入ってこない〜って思いながらでも全部読みました笑 読み終わった人とここが意味不明って笑って話したい感じ え?わけわからなかったって思うの私だけ?
Posted by ブクログ
第60回文藝賞優秀作。
「これは私の息子である、君の物語だ。~中略~だから君を開放する。きみは私が心を痛めて生んだ人間であり、世界の誰よりも美しい、自慢の息子だ」
怜王鳴門(レオナルド)27歳。記憶力がない。数日前のことも忘れる。読書やクイズ番組が好きだがパパ上がいないと文字が読めない。生まれてから部屋を出たことがない。パパ上が外出しているすきにノートパソコンのメールを開いたらこの物語がなぜか読め、これは自分のことを書いた文章だと確信した。
ジャンルはSFです。
パパが書いた怜王鳴門の物語の比喩には、おふざけがたくさん散りばめられています。和歌山県人の私としては詭弁和歌山(智弁和歌山)には笑ってしまった。
今、どこでどうなってるの、とわからなくなりながらも読んでいくと、おふざけはなくなり、段階を踏んで情熱的なクイズの選択、走馬灯のような美しい情景、そして最終章へと向かっていきます。
本の世界にに引きこまれたような感覚で読み終え、人生やイマジネーションには正解も限界もない、と感じました。