あらすじ
俺は探偵じゃない。解剖屋だ!
仙台の国立大学・杜乃宮大学医学部法医学教室。解剖技官・梨木楓は、上司である若き准教授・今宮貴継とともに日夜、警察から運び込まれる身元や死因が不明の死体を解剖している。ある日、彼らに、温泉旅館で不審死した東京の出版社の文芸編集者の不審死の知らせが届き、現場に駆けつける二人。そこには、かなり肥満した男の悲惨な異状死体があった。事故か殺人か―--。容疑者は仙台在住の4人のミステリ作家と旅館の仲居。今宮と梨木は、遺体の外傷を観察、内臓の全摘出後、病理検査にかけ、身体の隅々まで検分、時には犯人でさえ気づかない証拠にたどり着く。
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Posted by ブクログ
今宮准教授が主人公の物語を読んでいるというよりは、被害者は何が原因でどうやって死に至ったのかを科学的根拠をもとに、作者さんが説明してくれているのを黙々と聞いている、といった気分になった。
解剖に関する知識や情報、病理学的な所見に関する解説は、さすがに凄いな、へーそうなんだと感心しきりだったけど、授業や講義を聞いている感覚に近くて、キャラに感情移入するとか、今宮准教授カッコいい!とか、物語の流れ没入してハラハラするといったことにはならなかった。
物語の大きな謎の一つでもある、被害者が犯人を含む関係者を集めた理由が何だったのかの答えが、死期が近いからお礼を言いたかったんだとなっていたけど、彼らに対して被害者がストーカー、セクハラ、脅迫などをしていたという前フリがあってこの理由というかオチは、あまり腑に落ちなかったし、主人公を含めステレオタイプの見本市みたいな登場人物たちに共感は覚えなかったな。
人というより記号に見えてしまった。
次巻も出てるみたいだけど次も読みたいな、とはあんまり思わなかった。著者さんが法医学や監察医のお仕事についての解説本みたいな本を書かれるのなら、それは読んでみたいなとは思った。