【感想・ネタバレ】宅配便130年戦争のレビュー

あらすじ

日本人の暮らしを変えたコンビニ、自販機、宅配便。このなかで、民間宅配便業は、明治の「飛脚」以来百三十年間、常に官立組織の風下に立たされてきた。とりわけ、今日の「宅急便」を実現させるまでにヤマト運輸が監督官庁と繰り広げた闘いは長期に渡った。現在、民営化を控えた「郵政公社」が、民業に対抗し、宅配便事業を着々と進めている。国際資本の参入や、新事業の展開など諸問題を抱えた宅配便の未来は?

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

ここ数十年で、日本人の消費生活を大きく変えたのが、コンビニ、自販機、そして宅配便なのだという。
確かに私が子どもの頃、家の近所にコンビニはなかったし、宅配便はもちろんなかった。
自販機はあったけれど、これほどの数も種類もなかった。
今では当たり前だというのに。

そのうちの宅配便。
江戸時代、荷物や手紙を運んでくれるのは飛脚だった。(民営)
それが明治時代に郵政事業が国の事業となり、全国一律の金額で配達してくれるとはいえ、ポストや郵便局まで持ちこまなければならないし、サービスとしては明治に作られた法律から逸脱することなく、時代に合わないものとなっていた。

そこに切り込んでいったのがヤマトだ。
事業申請しても放置したまま認可しようとしない郵政省に、公開質問状を出したり、司法に訴えたり。
世論を味方に少しずつ事業拡大しようとするヤマト。

それに対して法律を盾に、大和の言い分を認めない郵政省。
しかし、世の趨勢がそれを認めないことに気がつくと、今度はヤマトの牙城を切り崩しにかかる。
官の権力を振りかざしてみたり、大きく値下げをしてみたり。

10年ほど前の本なので、本当に明治維新から130年もの官と民で戦っていたんだということがわかる。
法令を遵守するのが官の根幹とはいえ、利用者の利便よりも法令順守というのは本末転倒にしかならない。
国家公務員として忸怩たる思いをかみしめながら読みました。

0
2019年12月27日

「ノンフィクション」ランキング