あらすじ
突然ですが、皆さんは「決算書」、使いこなしていますか。
たとえば、取引先や投資先、あるいは同業他社、そして自社のことをもっと知りたいと思った時に、真っ先に決算書を見るようにしているでしょうか。
決算書は、その会社の経営成績そのものです。
どんなことをやってきたのか、つまびらかにわかってしまうものだからです。
でも肝心の、どこを、どのように読んだらそれが読み解けるのか、なかなかわからないのも事実でしょう。
ところで、一般に「決算書」を解説する本は、知識として「学ぶ」ためのものばかりで、「現場で使う」ための指南書が少ないことに気づきます。
そこで本書は、経理職などの専門職ではない方を対象に、決算書のどこを、どのように読み解いたら「使える」ようになるのか、その勘所をまとめた一冊になります。
とはいえ、決算書には、読む人の立場や目線によって、それぞれに違った勘所があります。
そこで本書では、銀行の立場・目線で見た場合の決算書の勘所、経営者のそれ、そして投資家のそれと、3つに分けて解説しています。
具体的には、銀行の目線ではその企業の「安定性」を評価し、経営者目線では「収益性・成長性」を、そして投資家目線では「資本効率性」を見る力をレクチャーします。
このような三者三様の「目線」は、総合すると(広義の)経営者に必要な『決算書思考力』になります。つまりあなたは本書を読むことで、経営者目線を手にすることができる、と言えるわけです。
本書の特長は、必要なことに限定した知識を提供すること、そして、事例が豊富なことにあります。
第一に、専門職ではない読者の皆さんには、事細かな知識は不要です。したがって、必要と思われる知識に絞った説明を試みています。
第二に、実際例を豊富に取り上げ、「どのように読み解いたらいいのか」を丁寧に説明しました。私たちは、理屈で理解しただけでは、なかなかイメージがわかないものです。だからこそ、「この会社の、ここの部分が、このように評価できる」といった読み方を提示することに努めました。
決算書に裏付けされたあなたの言葉は、格段に説得力を増し、リーダーシップ力の向上に直結するでしょう。
ぜひ本書で、企業の戦略・戦術・異常をいち早く察知する決算書思考=最強のマネジメントスキルを身につけてください!
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Posted by ブクログ
財務諸表を見たことがあり、ざっくりとは理解できている中級者以上の方向けの内容かと思います。
経営者目線、銀行目線、投資家目線で、それぞれ収益性・成長性、安定性、資本効率性の観点からの分析方法を解説しており、具体的な上場企業の財務諸表を用いているので、タイトルのとおり、「現場で使える」分析方法が分かります。
オムロンのROIC経営や、監査報告のKAMなど、最新の情報にも触れられており、とても勉強になります。
巻末に付いている参考文献リストも、どれも財務諸表分析に役立つ良書で、とてもよい情報が詰まった一冊です。
Posted by ブクログ
事例が豊富な会計分析本を求めて購入。
比較的まとまってはいたが、事例の豊富さと解説のわかりやすさでいえば『決算書の読み方 最強の教科書 決算情報からファクトを掴む技術(ソシム)』の方が良かった。
中級者向けの考察がなされている点は良かったが、であれば別の本でもいいと感じた。
投資家目線での分析が書かれていたのは勉強になった
メモ
・ROAの分母には営業負債も含まれてしまい、WACCとの比較ができない。だからROICが注目されている
・ROIC=税引後営業利益÷投下資本 これがWACCを上回っていれば、調達資金を効率的に運用できていることになる
・長期的な投資が過小評価されるという性質あり
・オムロンのROIC経営。ROICの弱点は部門ごとへの落とし込みが難しい点だが、逆ツリー構造と、下記の変換式を浸透させることで、Visionのような形でROICを意識させることに成功している
ROIC≒お客さまへの価値÷(必要な経営資源+滞留している経営資源)
・PER=株価÷一株当たり純利益
15倍以下だと割安といわれる。PERが高い場合将来の収益性が高く評価されている可能性がある
・PBR=株価÷一株当たり純資産
理論上は1倍となるべきだが、資産価値が簿価であることから、時価(株価)との乖離から上下する