あらすじ
第12回ポプラ社小説新人賞受賞作! 人生をかけて挑む、盤上の戦い――。情熱がほとばしる極上のエンターテイメント小説!
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Posted by ブクログ
2025/9/30
チェスの話。チェスわからない。
ヒール役の釣崎。憎たらしくてさ。
この世界のモブたちと同じように嫌ってた。
でも決勝前にマフィアの連れとしゃべってるときにもう終わりにしてほしいなぁみたいなこと思ってる場面で猛烈に怒りがわいてきて。
釣崎を搾取してきた諸々に。
不条理な世の中であることに。
ひっくり返してこいつを救えよ!マフィアとか潰れてしまえ!小説なんだから!!!とは思っていた。
でも思ってもいないひっくり返し方されてたまげた。
読者の私でさえ透の死は確定事項として受け入れていた。
神様が超強いフィクションの世界だけどそこは納得させられてた。
だから自然と透が釣崎を倒すことを祈っていた。
そこを返すか!釣崎という強烈な駒を使って!
すごい!
たぶんこれがチェスなんだろう。
私、どんでん返しの名作にはこれを挙げることにする。
Posted by ブクログ
「勝つために治せよ、絶対に」
小学生の透は、難病で入院生活を送っており、行きたかった遠足はもちろん、学校にも行けず癇癪を起してしまう。
そんなとき、小児病棟でチェスに没頭する輝と出会う――。
<年齢より才能より、大事なものがある。もうわかってるだろ?>
チェス部の実力者である高校生の晴紀だが、マイナー競技ゆえにプロを目指すかどうか悩んでいた。
ある日、部長のルイに誘われた合コンで、昔好きだった女の子と再会し……?
「人生を賭けて、ママに復讐してやろう。」
全盲の少女・冴理は、母からピアノのレッスンを強要される日々。
しかし盲学校の保健室の先生に偶然すすめられたチェスにハマってしまい――。
「俺はただ、チェスを指すこの一瞬のために、生きている。」
天涯孤独の釣崎は、少年院を出たのち単身アメリカへわたる。マフィアのドンとチェスの勝負することになり……!?
そして、彼らは己の全てをかけて、チェスプレイヤー日本一を決めるチェスワングランプリに挑むことに。
Posted by ブクログ
読み終えて、チェスって人生なんだなと思った。優勢だと思っていた局面が不利に転じたり、その逆も然り。
この作品の中でも、登場人物たちは割と淡々と理不尽な目に遭っている。だけどチェスのように、持てる駒を最大限生かしてなんとか勝ちに持っていこうとしている。時には戦略的にドローを選ぶこともあるのが人生。様々な定石や戦法を知ってこそ、戦えるというのも。
そして、チェスというロジカルな題材の中に、釣崎のような破茶滅茶な人がいることで、いいアクセントになっている。まさかマフィアが出てくるとは思いもよらなかった。意表を突く展開も、もしかしたらチェスなのかも。
ルールが曖昧だったので、序盤のチェス盤が出てくるページは、各駒の役割と動きを確かめ、なぜ詰みなのかを理解しながら読んで、少し賢くなれた気もする。ちゃんとした盤と駒に触れて、チェスをやってみたいなぁ。