あらすじ
セイディはMITの学生。ある冬、彼女は幼い頃一緒にマリオで遊んだ仲のサムに再会する。二人はゲームを共同開発し、成功を収め一躍ゲーム界の寵児となる。だが行き違いでゲーム制作でも友情でも次第に溝が深まっていき――。本屋大賞受賞作家による最新長篇
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Posted by ブクログ
大河。病院で出会った11歳と12歳の2人が
ゲーム作りのパートナーとなり、お互いを誰よりも大切に思いながら、憎しみ、離れる。落ち込んだときの乗り越え方をサムに尋ねられたセイディが「仕事は効くよ」「ゲームも効く」と答える。結末は2人が再びタッグを組むハッピーエンドは描かれないけど、「人を絶望から守るのは、遊びを求めるその心なのかもしれない」と地の文にもあるように、誰よりもゲームを愛する2人が、また一緒にゲームを作る未来があってほしい。
ジェンダー、人種や民族など、現代のアメリカに生きるマイノリティの様子を隣で感じることができたのも、面白い読書体系だった。
Posted by ブクログ
サムとセイディがくっついて欲しかったけど、私みたいなのには理解できないほど絆が深いんだろうと思った。恋人だけじゃ片付けられない何かがあるんだろうな。
それにしてもなんで、マークスが死んじゃうんだろう。ドーヴみたいなきもいオジさんは残って、セイディやサムを支えてきたマークスがあの世に行くんだろう。物語って不思議。それに、セイディがドーヴを思う気持ちも分からない。妻帯者なのに、なんで愛せるんだろう。分かる時が来るかもしれないけど、分かろうとは思えなかった。
アントとサムソンが仲睦まじくてかわいらしい。アントも体調が良くなって何より。てか申し訳ないけどアントがアリの英語にしか見えなくてやばい。赤バンダナが死んじゃったけど、黒バンダナの人は救われるといいなと、めずらしく悪役に思いを馳せました。本当の悪は、このふたりじゃないんだろうな。
Posted by ブクログ
「ゲームは現実世界の苦しみを癒すことができる」がテーマ。
「恋愛以上の友情がある」がサブテーマ
かつての日本のゲームが実名で出てくるのが誇らしい。ファミコン時代からゲームで遊んできた人に特におススメ。
アメリカで二人の大学生がゲームを製作しながら葛藤と悩みを乗り越えていく、まぎれもない傑作。
以下ネタバレ
特に第7章で、マークスが死ぬ場面。
長い長い走馬灯のように架空の世界を彷徨いながら自分の命が少しずつなくなっていくシーンが素敵な詩のような表現でつづられるのが美しく素敵。
英語圏の文学でこんな表現をする人がいるんだ!と驚いた
Posted by ブクログ
面白くて550ページ一気に読み進められた。
プログラミングやゲーム作りなどの天才たちの物語を読むのが好きで、この作品もすぐにハマった。
全体的にフェミニズムやジェンダー、人種、障害、そしてインターセクショナリティといったものに関する描写が多く、それらに関心のある方にもお勧めできる作品。
特に婚姻制度についての言及やセイディの態度、セイディとサムは一度も恋愛的な関係にならなかったけれど、お互いに誰よりも深く結びついていたことがすごくよかった。
作中に出てくるゲームはほとんどやったことがない(名前は知っているのも多かった)くらいゲームには疎いけどとても楽しめたし、セイディとサムが作ったゲームをプレイしてみたいと思った。特にソリューションが気になる!
サムがセイディに素直に自分の足の状態や辛さを打ち明けられていたらと思ってしまった。それでも希望が持てるラストで、二人なら支え合ってこれからもゲームを作り続けてくれるはず。
Posted by ブクログ
面白かった!
30年という長い時間軸だけれど、自分の世代と重なっていることもあり、物語の中に自分がプレイしたり知っているゲームや、時代背景が出てきたのも楽しく読めた要因かもしれない。
自分の幼少時代にもこの物語の主人公達のような同世代がいたかもしれない、と思いを馳せたり想像を巡らせてしまう。
私自身はそこまでゲームをやり込んだタイプでもないし、詳しいわけではないけれど充分に楽しめる一冊だった。
長編だけど飽きることなく、読み終わったときはもっとセイディとサムのこれからを読みたい、という気持ちになった。
この2人の関係性は、間違いなくソウルメイト、絆、運命、そんなふうに言えると思う。人生でこんな関係性が結べる相手と出会うって凄く素敵だし幸せだと思う。
Posted by ブクログ
サムとセイディの関係性は、一体何と位置付けられるんだろう??
もはや友達以上恋人未満でもない。家族でもない。ただの同僚にしては関係が深すぎる。
一番近いかなと思いついたのは、幼なじみからコンビになった漫才師。友達という関係だけじゃないし、コンビだと仕事の同僚以上に距離が近い気がする。サムとセイディはそこにもう一つ愛情がのっかるけどね〜複雑〜
そんなことをモヤモヤ考えつつ、個人的には全体的にあまり刺さらなかったなと思っている。
サムとセイディが特殊な関係ということはわかるけど、マークスとセイディがくっついたのはいただけなかった。
サムが傷つくって容易に想像できるじゃん!!なんでよりによってそこがくっつくんだよ…。
そもそも大前提、サムとセイディがめんどくさすぎた。サムは自分のこと隠しまくるし、セイディはなんかずっとわがまま言ってるし…
会社にいたら周囲が手を焼くスペシャリストタイプ。絶対一緒に働きたくない。
たしかに二人の関係性は貴重だし尊いし特筆すべきなんだろうけど、あまりにも自分とタイプが違いすぎて気持ちが入り切らなかったなぁ…残念。
一番印象的だったのはマークス。
彼は、ゲームについて「無限の生まれ変わり、無限の贖罪の可能性」であり、「プレイを続けてさえいればいつか勝てるという希望だ。敗北は一時のものだ。永遠に変わらないものなどこの世にないんだから」(p461)と語った。
でも、人生ってゲームとは違い、ライフは一つしかない。リスタートできない。
それを体現したのが、ゲームは続けいればいつか勝てると言っていたマークス自身であるという点に震えた。
(あくまでも個人的な解釈なので、作者は本当は違う意味合いで書いたのかも)