【感想・ネタバレ】風と雅の帝のレビュー

あらすじ

皇位継承が持明院統と大覚寺統で交互に行なわれていた鎌倉時代後期、量仁(光厳天皇)は持明院統の期待を背負って即位した。しかし、幕府が倒される際、六波羅探題軍とともに京都から逃れるも追い詰められ、目の前で六波羅探題ら四百名以上の武士が自刃。捕えられた光厳は、前帝・後醍醐によって即位そのものを否定されてしまう。その後、後醍醐と敵対した足利尊氏に擁立されることで、一度は“治天の君”の座につくも、尊氏の裏切りにより、南朝の囚われの身に――。彼を慕っていた鎌倉武士の死、宿敵・後醍醐との泥沼の闘い、吉野での幽閉の日々……南北朝の動乱の中、「天皇とは何か」を真摯に考え続け、現在の“象徴天皇”にも繋がる生き方を貫いた、“忘れられた天皇”を描く、著者渾身の歴史長編小説。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

序章から引き込まれる。この話こそ大河にすべきではないかと思うほどのスペクタクルでした。

『私は七分の人である。』と自らを評し、人の望む形にこねられる粘土のような幼少期を過ごした。人の顔色ばかりを気にした力なき者は、世のことわりの中に見える強烈なカリスマ性に潜む翳りを見抜いた。

彼は諡を「光厳」と称された。花園、後醍醐と時代を塗り替えた、三人の天皇の話。

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2025年02月04日

Posted by ブクログ

南北朝時代
歴史の授業でさらりと通り抜けた時代

こんなにも時代に翻弄され
裏切りや屈辱、不遇であった天皇がいたとは
恥ずかしながら知りませんでした。

物語なので、想像で描かれてるところも
あると思うけど、
事実が丁寧にかかれ、
最初のあたりは、知識が追いつかず
登場人物の多さと複雑さに
心折れそうでしたが
光厳天皇の語り手ですすむので
よみやすく、感情移入していき
最後に行くにつれ、読むのをやめられなくなりました。
この複雑な時代をまとめ上げ
語るのは大変なことだったと思います。
読んでよかった
面白かったです。

結末を知らずに読んだので
最後は、はぁとため息と、充足感。

政を背負って立っている人に
いいたいです。
政治家のための民ではなく、民のための政治家
でなくてはいけないと。
あやまちの歴史は繰り返す
ことがないように

また、私からしたら
天皇という存在が実感しにくい

けれど、幾つもの時代を経ても
絶えることのなかった天皇について
もっと知りたいと思いました。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

南北町時代となると、とかく後醍醐天皇を題材にした小説が多いけど、北朝の光厳天皇にスポットを当てた小説。とても読み応えがあった!

ここまで過酷な運命を辿った天皇はそう居なかったのではないだろうか。光厳天皇から見た後醍醐、尊氏、直義達の人物像を目新しく感じた。
後村上天皇との最後に対面するシーンが印象的。
また文中の「地獄を雅で包む」という言葉が心に残った。

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2024年01月27日

Posted by ブクログ

筋肉天皇には笑ったが、南北朝の北朝天皇側の事情を書いているのが新鮮だった。読みやすいし、面白いストーリーだった。

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2023年12月29日

Posted by ブクログ

鎌倉時代末期、南北朝に分裂した皇統を統一すべく奔走した光厳天皇の物語。足利軍により京都を追われ、鎌倉幕府軍とともに鎌倉を目指すも囚われの身となる。その後、後醍醐と敵対した足利尊氏に擁立されることで、一度は“治天の君”の座につくも、尊氏の裏切りにより、再び囚われの身に。吉野での幽閉の日々の中、「天皇とは何か」を考え続ける。武士の裏切りが相次ぎ、その時の権力=武力に翻弄され、皮肉なことに自身の孫の代で再び皇統分裂の危機を招く。南北朝時代を描いた小説はあまり多くないと思うが、これはその中でも武士ではなく天皇家に着目した作品。中立的な立場の天皇の目で見ていることから、この時代がよくわかる。

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2024年11月12日

Posted by ブクログ

建武の新政から南北朝時代を描いた小説は数多くあるが、北朝の光厳天皇の視線で書かれた小説は見かけない。
古の天皇親政に戻るべく、数々の戦乱を招いた後醍醐帝の怨念から、正当な天皇の系譜を守るべく生き抜いた光厳天皇。
この小説を読むと、歴史について、新たなる視線で見ることができる。

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2024年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鎌倉~室町初期、南北朝時代はなかなかイメージしにくかったのですが、流れが理解できましたし、「天皇」「院」「公家」「武家」の基本行動原理も何となくイメージできました。武士同士の入れ替わり立ち代わり、それに翻弄されながらの権威の行き来。パターンありますよね。伏見宮(予備天皇家)もここからなんですね。何といっても、量仁、豊仁、興仁の筋トレで心を整えるところ。良いですね。

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2023年11月21日

Posted by ブクログ

天皇という身分を作り上げた意味というのは、どこにあったのか、これほど長い間続いてきたのは何故なのか。
疑問は深まるばかりです。
あまりにも混沌とし過ぎている南北朝時代。その時代に翻弄されながらも、自らの生き方を見つけようと懸命にもがいている姿が見えました。
和歌の編纂のくだりは、良く理解できなくて、中だるみしてしまいました。
しかしこの、長い戦いの中、生き抜いてきた人たちが、今につながっているかと思うと、良く生き抜いてくれたという気持ちになります。
生きるだけでも大変な時代に、「何かを成す」ということに人生を注げる、それは身分というものがあるからこそ、なのかなとも感じました。
普段、使わない漢字が色々出てきて、なるほどと勉強になりました。

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2025年04月04日

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