【感想・ネタバレ】現代メディア史 新版のレビュー

あらすじ

19世紀後半以降のメディアの発達は,あらゆる情報が氾濫する現代社会の成り立ちにどのような影響を与えてきたのか.国民国家形成の歴史のなかに,出版・新聞・映画・ラジオ・テレビといった各領域の発展を位置付け,英米独日の各国を時系列的に比較する画期的なメディア史.98年の刊行以来読み継がれてきたロングセラー,待望の新版.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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Posted by ブクログ

今のメディアは過去のメディアに準拠しつつ前に進む、という話を聞いたことがあります。例えば、ページじゃないのにホームページ、フォンを忘れてもスマホ(スマートフォン)、そして強引にテレビであろうとしているAbemaTV、等々。通信と放送が融合し、コンテンツとデータが結合し、AIが生活のすべてをメディア化している「今」だからこそ、著者がまえがきで述べている「バックミラーを覗きながら前進する」ことが、結果的に未来を見ていることになるのかもしれません。本書の初版は20年前の刊行、その時点にバックミラーに映っていた世界に、新たに20年分の進んだ分を付け加えての新版です。すべての歴史が近代までは体系づけて語れるのに、現代の領域に至ると妙に不安定になるのと同じようにメディア史も旧版までは、力強い分析なのですが、デジタルが登場してからは、茫漠として来ます。フォーカスが拡がりすぎるのは、現在のメディア環境の反映なので、いいとして、最後の最後にメディア教育に対する問題提起で終わっているのが、著者のメッセージなのだと受け取りました。メディアが発信するのは「人」に対する情報だとしたら、「人」がどんな情報を情報として欲しているようになるのか、そうこれからは、テクノロジーの問題ではなく、リベラルアーツの問題がメディア論の前景に出てくる、という予言だと思いました。

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2019年05月02日

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