あらすじ
似顔絵描きをしながら旅する1匹の三毛猫.ある夜,無人島に流れつくと,ラッコが7個の貝をあいてに,時計のネジをはき出せとつめよっていた.そして猫はなぜかそのネジを手わたされ…….十五夜の儀式の名のもと奇想天外なできごとに巻きこまれていく猫,その運命はいかに! 言葉とイメージにあそぶ,書き下ろし意欲作.
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Posted by ブクログ
まっすぐにおもしろかった。
ぽっぺん先生の舟崎克彦さん、最新作(岩波書店,2007,01,25)。
追われる三毛猫の冒険譚だ。そう言ってしまうとそこで終わってしまう。
が、終わらせたくない。どうやらこのものがたりが始まる前にも様々な動物たちと出会ってきたらしい。だが、生い立ちや氏素性となると、とんと分からない。ただ、珍しいオスの三毛猫。猫は自分の意思で生きてきた(?)。
ものがたりは辿り着いたホテルで束の間の休息を取るところから始まるが、が、休息どころかそこにクモザルの追っ手がやってくるところから急速に動き出す。
三毛猫は実に奇妙な動物たちと出会う、"春秋貝"を諮問するラッコ。職人カモノハシ。郵便配達夫のアルマジロ。花言葉を集めるハクビシン。一匹の(記号を持つ)ミツバチをさがすヤマアラシ。養蜂家の灰色熊、そして…
奇想天外な冒険は、奇想天外な結末を迎える。
小学生高学年向きの本らしい。
夢中で読んでしまった。わたしの頭の程度は小学生高学年だ。
Posted by ブクログ
昔読んだんだけど、ちょっとした待ち時間に、ちょうどよく再読。やはり、舟崎克彦すごい、いいなあ、いいなあ。不思議の国のアリス的な、言葉を巡るイメージへのこだわりからくる、脈絡なく夢の連鎖してゆくような、自在なイメージの奔流。主体意識の反転、底なしの不定形な世界のかたち。きちんと、ほのかなブラック、恐怖を孕みながら鋭くアフォリズム、同時にすっとぼけた味わいの、独特のナンセンスファンタジー。ぽっぺん先生シリーズでホレこんだ独特の世界イメージ、これだ、これだ。夢の中の手触りのような。…芸術性の高いアニメーションになりそう。つくってほしいなあ。