【感想・ネタバレ】リカバリー・カバヒコのレビュー

あらすじ

新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの公園にある古びたカバの遊具・カバヒコには、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説が。アドヴァンス・ヒルの住人は、悩みをカバヒコに打ち明ける。成績不振の高校生、ママ友と馴染めない元アパレル店員、駅伝が嫌な小学生、ストレスから休職中の女性、母との関係がこじれたままの雑誌編集長。みんなの痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

リカバリーの名の通り、元の状態に戻りたい人々がカバヒコという他者に己を託しながら考えていく物語集!人生を生きる上で挫折やらトラブルやら自他の事情やら何やらでいつもの自分でいられない時がある。そしてそういう時こそ再出発と再建が必要なのだ。
 だが元の戻ることは不可能なのも注意すべき点である。その過程の記憶と経験があるが故に元通りではなく立ち上った別の状態になるのだ。だがそれは逆により強く良くともなれるというこ。それをさらに改善にしていくことが重要なのだ。こうした再建・再生・変貌・羽化の物語が、ずっと出てきたクリーニングのおかみさんの物語にまで連なっていくのだ。
 こうした再建による変化とは、聞くべきものや聞きたいことといった思考や感覚へとチューニングして改善・アレンジしていくこと。人生を取り巻く感覚を変えていくことだ。登場人物達が世界の捉え方と自身の心構えの弛みを見てもう一度見直すこと、口にしたいすべきことを口にしていくこと、聞くべきこと知るべきことを見るためにこころを養うこと、行くべきことやるべきことやりたいことへと歩むためにそれを探ること、隠されていたあるいは隠していたことを見直すこと全てを見ることなど不可能なのだから見るべきものを選択してそれをしっかり見ること。そうしたものを獲得していく物語はまさしく彼ら彼女らがカバヒコをそう見たように、己にとって客観的に見て取り入れることのできる物語なのである。

 また第一話の何気ないところに最終話の主要人物である主人公の妻がが出ていると気付けたのはニヤリと出来た。最終話は主人公の懐かしさとラストの妻に向けたセリフのかっこよさもよかった。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 都市伝説が入ったエンタメ小説でした。アドヴァンス・ヒルというマンションの近くにある公園の中の遊具カバヒコに対する5話の短編集でしたが、グッとくるものがあって泣きそうになりました。
 間接的に自発的に行動させる、このことがカバヒコ効果なのかもしれません。個人的には5話目が一番感動しました。でも他の話も素晴らしかったです。
 アドヴァンス・ヒルというマンションの住人のストーリー、印象に残りました。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シンプルであったかい、当たり前の世界が続いてました。どれもすごく近い物語で、優しくほっこりなれます。定期的に帰ってきたい本だなぁと思いました。

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「人呼んで、リカバリー・カバヒコ!…カバだけに。」
このフレーズを「そうそう」と愛おしむようになっていく。
人は「あの頃のように戻りたい」と純粋に願う時、本来の素直で健全な想いが溢れ出るものなんだなぁ。
その時は、普段纏っている人への嫉妬や妬みのようなもの、無自覚に持つ邪な自分の気持ちを客観的に向き合うことになり苦しむけれど、思いを巡らせながら心がリカバリーされていく。
そういう自分の心を映して整理してくれる存在がカバヒコ。
私も心に自分のカバヒコを持ちたいな。
そんな気持ちになった1冊。

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2025年10月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前情報なしで読んだから、タイトルの意味を知った時にクスッと笑ってしまった。

「紗羽の口」と「ちはるの耳」がすき。どの話も、主人公の抱える事に対してのリカバリーよりも、変えるためにどうするのか、なにを大事にするのかが書かれていた。どこか自分にも当てはまる部分が多くて、うんうんって思ったり、ちょっと辛くなったり…
私も、相手のことも、自分のことも、もう少しだけ真っ直ぐに愛してあげたい。

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リカバリーのあと、まったく同じには戻らない。
経験と記憶がついて、前とは違う自分になる。

温かいお話たち。特に最後の章は、たしかになんでもはっきり見ようとしすぎてる世の中かもなぁと、そんなのは傲慢という言葉に考えさせられました。

リカバリーが必要な人にそっとお勧めしたい本。

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2025年10月27日

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