あらすじ
■料理研究家・土井善晴さん、キッチンを飛び出して全国の食文化を旅する! その感動と思索、日本の食の底力についてまとめた、著者初の紀行書。
本書は料理研究家・土井善晴さんがキッチンを飛び出して、全国の食文化を訪ね歩いた記録です。
たとえば一子相伝の江戸佃煮を伝える職人や、濃厚な食味の牡蠣を育てる瀬戸内の漁業者、華やかな加賀料理の伝統を守る料亭の主人らに会い、出羽三山ではもぎ立ての山菜を山小屋の主人と味わいます。風土が生んだ食材と食文化を体感することで紡がれた土井さんの文章は、時に文化論的思索にもおよびます。
著者初の紀行書である本書は、「一汁一菜」とはまた違う視点から日本の食文化を見つめなおす書であり、土井さんが旅する様子を活写したカラー写真も豊富で、格好の食ガイドも兼ねています。
[目次]
北海道・東北 日高昆布は万能昆布 [北海道幌泉郡えりも町]ほか
関東・中部 一子相伝、江戸の佃煮[東京都台東区]ほか
近畿 豊饒の美味、琵琶湖[滋賀県大津市・近江八幡市]ほか
中国・四国 瀬戸内・国産レモンの島[広島県尾道市]ほか
九州 香気とうま味の奥八女茶[福岡県八女市]ほか
【著者略歴】
土井 善晴 (どい よしはる)
料理研究家。1957年、大阪府生まれ。おいしいもの研究所代表、十文字学園女子大学特別招聘教授、甲子園大学客員教授、東京大学先端科学研究センター客員研究員などを務め、「きょうの料理」(NHK)などに出演する。著書にベストセラー『一汁一菜でよいという提案』(新潮社)など。2022年度文化庁長官表彰受賞。
この電子書籍は株式会社ウェッジが刊行した『おいしいもんには理由がある』(2023年8月18日 第1刷)に基づいて制作されました。
※この電子書籍の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これほどパンチ力のある本はない。これが感想だった。
ニューヨークにいて、ここまで食料を無駄にし、捨てている国はないだろう。夜仕事から帰る道すがら、凄まじい量の残飯とホームレスを見る。残飯を減らすという努力は、経済合理性の中でしか正当化されない。誰もが、寄付すればいい、お金を出せばいい、という方向性で考える。これは悪いことではなく、むしろ日本を大きく凌駕して経済発展した所以でもある。6年滞在した中国でも多めに頼んで残す文化はあるが、食材を余すところなく食べる食習慣や、チャーハンのように残り物を美味しく調理する手法もある。
さて、本書の凄さは、もちろん連載という型にハマっているため、いまいちピンとこないものもいっぱいあるが、例えば北海道の昆布は、1番最初の項目として相応しい内容だ。昆布を子供達が栄養価の高いものとして摂取し、出汁だけでなくフライで食べることで美味しく、2度も使える。家で、美味しいかおりと、音が聞こえてくるようだ。日本の食文化を作ったのは大阪で、そこに昆布が北海道から届いていたことにも触れている。英語版出したら売れるんじゃないかと思うくらい、外国人から本当に頻繁に日本食の質問をされる、なんでこんなに美味いのか、そして安いのか、丁寧なのか、美しいのか。ニューヨークの雑な日本食との違いはなんなのか。そうだ、ここにあるんだよ、と叫びたくなった。
長寿こそ勝ち残りの源、と言った家康。味噌を好み、美食は月に2度という節制、質素な思考が、天下を取らせたと言える。加賀の食事、器、その文化そのものを、鈴木大拙、スティーブ・ジョブスの禅の思考、そしてジェームズタレルの部屋まで続いてく。シンプルなものほど、その深さを感じることができる。これは日本人だけ、ということではない。むしろ、人間ならばどこかで持っているが、成長の過程で身につけない、感覚さえない人が多い。ということは、そこがストロングポイントになるんだろう。加賀百万石の文化のバックドロップは、食と自然(筆者の土井さんは、それを地球と表現されていますが)を大切にしてきたからこその美にある。
地方の美味しい食材も日本の特徴、日生の牡蠣も美味しそう。カキオコ、牡蠣を豚の代わりに入れたお好み焼き、これは美味そうだ。どこに行ってもステーキとハンバーガーとフレンチフライの国にいると、本当に素晴らしいと思います。素敵な土井さんの笑顔が美味しさを物語っている。すごく美味しそう。
Posted by ブクログ
土井先生の食文化紀行な一冊。実は新幹線のグリーン車内の搭載誌とのことでそんなものがあったのかと初めて知った。
巻末に取材したお店の一覧があるがどれも行きたい。あと写真がとても良い。
Posted by ブクログ
土井先生の本、好きだあ。なんてぜいたくな旅。素敵すぎる。取材なのだからスケジュールがとんでもなかったりしたのかもしれませんが、いいなあ!と思ってしまう旅先ばかり。山菜そばおいしそう。山椒やっぱり憧れだ。赤福!本葛もすごい。国産レモンありがたい。うちのレモンもたくさん実がなるといいな。お茶ゆっくり味わいたい。鰹節は職人技の結晶なのだな。長崎また行きたい。本当に、おいしいもんには理由があるのですね。末永く繋いでゆかれますように。いい本なのに、誤植というのかそういうのが多いのが残念。土井先生の本になんてことを。1583年は天保11年ではなくて天正11年だし、他にも気になったとこがあったような…でもカバーがすごい。付けても取ってもすごい。開くと楽しい。おしゃれな装丁だなあ。
Posted by ブクログ
日本列島北から南へ。自然が私達に美味しいものを食べる幸せを与えてくれている。地球と共に生きるために美しいものや美味しいものを守り続けて行かないといけない。