あらすじ
三日間だけ時間を巻き戻す不思議な能力「リワインド」を使うことのできる、女子高校生の煮雪侑。侑には、リワインドではどうすることもできない幼少期の苦い思い出があった。告白できないまま離れ離れになった初恋の人、描きかけのスケッチブック、救えなかった子猫――。そんな侑の前に、初恋の人によく似た転校生、長谷川拓実が現れる。明るい拓実に惹かれた侑は、過去の後悔を乗り越えてから、想いを伝えることにした。告白を決意して迎えた十二月、友人のために行ったリワインドのせいで、取り返しのつかない事態が起きてしまい――!? 「第5回ライト文芸大賞」大賞受賞作。
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Posted by ブクログ
興味深いタイトルに惹きつけられました。以前、web版を拝読しておりますので内容は把握しているのですが、書籍化されたということで改めて新鮮な気持ちで読み進めました。
3日間だけ時間を巻き戻す能力を備えた主人公の煮雪侑。高校生のとき、そんなマジックみたいな能力が自分も使えたなら……と、欲深い私は単純に羨ましく思ったのです。
ずっと忘れられない想いを胸に秘めた侑の心の内が、作中を通してひしひしと伝わってくる。
そして、読んでいて常に感じていたものを具現化するとしたら…『憧れと嫉妬』。その心の揺れは紙切れ1枚で仕切られていて、風が吹けばいとも簡単に翻る。そんな感情の揺らぎがミルクレープの層のように、私の心に積み重なっていきました。
親友、転校生、そして初恋の人。関われば関わるほど絡み合い空回りしていく侑の気持ちとリンクするように、私自身の心もかき乱されます。
ピュアで、聡明さも合わせもつ侑。自然体の彼女に好感がもてます。個人的には作中に登場する優子さんも好きですね。
特に終盤は感情移入が激しかった。1度目に読んだ記憶を呼び起こすように、2度目でも涙が溢れてきて胸が熱くなりました。現時点において青春時代を過ごす人たちだけでなく、大人世代の方にもぜひとも読んでほしいなと思いました。
Posted by ブクログ
私は本当に優子さんという登場人物が大好きで彼女の存在こそが、ストーリーそのものに、そして主人公侑に与える影響力であったと読み終えた瞬間に思うのです。 あの時こうしておけば良かったという後悔に、常人はそこで終わりますが 侑は違った、それを無かったことにできる能力があった ただし、それと同時に制約も その制約故に、迂闊に能力を使ってしまった自分を責めた時、物語の全てが紐解かれていく この回収部分が見事であり、ああ、こうなってほしかった、と誰もが読後感に満足するのではないでしょうか。 もちろん、私も満足です!