あらすじ
古代日本人は、ことばには不思議な霊威が宿ると信じ、それを「言霊」と呼んだ。この素朴な信仰の実像を求めて、『古事記』『日本書紀』『風土記』の神話や伝説、『万葉集』の歌など文献を丹念に渉猟。「言霊」が、どのような状況でいかなる威力を発揮するものだったのか、実例を挙げて具体的に検証していく。近世の国学者による理念的な言霊観が生み出した従来のイメージを覆し、古代日本人の信仰を描き出す。
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Posted by ブクログ
言霊、言葉に宿っている不思議な霊威。古代、その力が働いてい言葉通りの事象がもたらされると信じられた。
言葉には霊力が宿っており、その霊力が禍にも福働く、祝詞、寿詞、呪文、唱え事を、ことわざ、和歌、あいさつ語、忌み言葉など
古い祝詞は、神々を褒め称え神に供え物を捧げることによって、人間の言葉の威力ではなく神神の霊力が発揮されることを期待する詞章である。
言霊思想の変遷、古代日本人、現実の世界に変化をもたらすことができるのは神の霊力だけ、言霊は神に属するもの。近世の国粋主義者たち、言葉に宿っている不思議な霊威、
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『言霊とは何か』
佐佐木隆
本書は『古事記』『日本書紀』『風土機』『万葉集』などで言霊が使われている場面を多く取り上げている。
〝言霊〟は『万葉集』山上憶良の詠んだ長歌で記録では初めて歌われたとされている。
まず、『万葉集』に三例ある「言霊」の実例は神を意識して用いられたものであり、「言霊」は神のことばがもつ威力だったのではないかということである。(p237)
★あとがきより。
言うまでもないが、本書で確認したことは、あくまでも『古事記』『日本書紀』『万葉集』『風土記』など古代の文献に反映する、ことばに対する人々の考えかたである。(p239)
★その後の信仰、考え、習慣の背景には神がいたとは主張しないとある。
言霊、言葉の力が上記であげている書物の中でどのように使われているか、その確認の作業であった。
あくまでも、実際に文章から何が読み取れるのかという、事実の確認である。(p
iv)
★読み返すと、前書きにもそう書かれている。購入の際に「まえがき」と「あとがき」を詠めば購入の目安になるだろう。