あらすじ
心にもない「死刑判決文」を書かされた熊本は懊悩(おうのう)し、裁判官を辞め、やがて行方不明となる。事件から40年以上が経ち、突然マスコミの前に現れて「あの裁判は間違っていた」と語り出す。償いなのか、売名行為なのか? 大幅加筆で[完全版]として緊急出版!!
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Posted by ブクログ
袴田事件自体をなんとなくしか知らなかったが、自分の人生よりずっと長い期間冤罪と思われる罪で収監されている袴田さんという方がいるなんて悲しすぎると思った。熊本さんに関しては、著者と一緒に「すごい人だ、聖人だ」から「事件の影響という理由だけで結論づけられないような問題もある人だな」、最後に「本人にも問題があったかもしれないけれど、袴田事件に関する告白をしたことはとんでもない勇気がいるだろうし、やはりすごい人だ」と意見が変遷していった。
熊本さんの告白が袴田さんやその家族の救いになったことは間違いないだろうけれど、そこまで何十年もかかり、その間に袴田さんは死刑執行に日々怯えていたのだろうし、会話がままならない状態まで陥ってしまっている。お姉さんの秀子さんも明るく前向きで素晴らしい人だと思うが、検察の捜査や裁判のせいで2人の人生が奪われてしまったと思う。そう思うことも2人に対して失礼なのかもしれないけれど…。
検察も裁判官も、袴田さんを陥れようとして行動していたわけではないはず。正義の反対には別の正義があるということなのか、正義感が強いことが必ずしもプラスに働かないという例なのかなとも思う