いろんな冤罪事件のニュースを見てきた。
袴田さんの事件については、証拠が余りにいかがわしいし、裁判の過程もいかがわしいし、この方が犯罪を犯したという十分に合理的で疑いのない心証など、形成できるはずも無い。
としか思えない。
57年も愚鈍な官僚機構に人生をすり潰されてきたことについて、恐怖と憤りしか
...続きを読む感じないのだが。
この本は、そこにそんなに灯りを当てているわけではなく、無罪を確信しながら有罪判決を書かねばならなかった裁判官の物語だ。
この方も、官僚機構に人生をすり潰された一人。
テレビにも出ておられたようだが、全く存じ上げていなかった。
しかも、確かに、美談ではない。
一人の人間の、弱さと、正義感、いろんな矛盾を素人の筆致で愚直に記録した。
そんな感じの本。
「プロの」ノンフィクションライターでないせいか、本としての完成度が高いとは思えなかったのだが、引き込まれた。
この方は余りの十字架に押し潰されてしまったのだが、そうした助教で、いろんなことを飲み込んで、誤魔化しておられる方もたくさんいらっしゃることと思う。
綺麗事抜きにして、おまんまの食い扶持だもんな。
本の構成としては、制度の矛盾をあんまり著者が書いてないせいか、やたら後書き解説みたいな方達が沢山、そこを埋めてるのが余計だよ。
朝日新聞社やもんな。