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Posted by ブクログ
大好きなグラフィックデザイナー原研哉氏の著書。
【まえがきについて】
デザインとは欲望のエデュケーション。
この言葉の背景には、
製品や環境は人々の欲望という「土壌」からの「収穫物」であり、それを生み出すにはよく肥えた土壌が必要。
デザインとは欲望の根底に影響を与えるものであるという考え方があるとのこと。
そして、エデュケーションという言葉をあえて選んだのは、この言葉に、教育するという視点に加えて、潜在するものを開花させるというニュアンスが含まれているからだとも。
このくだりにより、エデュケーションという表現がデザインにぴったりであることが納得できます。
「潜在するものを開花させる」
これがデザイナーの仕事であると思いました。
形になってない欲望。目に見えていない欲望。
それらを表現し、日常に送り出すことがデザイナーの使命であると思いました。
まえがきからはまずそのように感じました。
・・・続く。
Posted by ブクログ
日本のデザインの可能性を感じられる本であった。
日本は工業製品の輸出国であったが、これからは変化を求められる時代。そんな時代にアジアでも島国という環境で独自に育った日本文化の中にあるデザインで勝負していける。
デザインとは作り出すことではなく環境の本質を考える生活の思想であるという言葉が印象的であった。
Posted by ブクログ
建築もデザインも、仕事はおおむねコンペの連続であるから、これくらいではへこたれない。コンペに勝てなくても、全力で考えた思考の成果はアイデアの貯金として蓄積されていく。それがたまればたまるほど、クリエイターとしての潜在力や爆発力は増していくのである。
[車が嗜好品から当たり前のものになり、実用性を優先して設計された似たような四角いデザインばかりになるのについて]
これを寂しいと感じるか、ものに対するふさわしい認識が成熟したと見るかは難しいところだが、大事なことは、そこに他の文化圏にはないオリジナリティが生まれている点である。
日本の車でユニークなもので共通意見
ダイハツのタント
ガソリンエンジンから電気自動車
ドライブ系→モバイル系
行くという能動性・主体性、エンジンを制御するという運転の美学
→スムーズに移動するという合理性、トランスポートを最短、最少エネルギーで実現したい冷静な意欲
若者の一人用マシンや歩行を好むベクトルも
ドライブ/モバイル
都市/自然
パブリック/パーソナル
宗教や文学、神話ではなく
物の表面に偉容をなす細部を付与するための装飾紋様が動物化したと考えるべきである。
阿弥とは、やや乱暴にたとえるなら、優れた技能や目利きの名称を付す「拡張子」のようなものだ。
…長く使う構造体スケルトンと、可変性のある内装インフィルを分けて考え、良質なスケルトンを吟味して入手し、インフィルを自分の暮らしに合わせて徹底改修すればいいのである。
伝統的な工芸品の再興に対して
…問題の本質はいかに魅力的なものを生み出すかではなく、それらを魅力的に味わう暮らしをいかに再興できるかである。
スピーカーは音響空間へ
テレビは壁の中に埋まるか、より存在を主張するか
照明器具は天井化
環境は静かに人や身体と交感を始めるのだ。
石元泰博
モホリ・ナギ『ヴィジョン・イン・モーション』
ゲオルグ・ケペシュ『視覚言語』
働きアリと怠けるアリ
Posted by ブクログ
原研哉さんは好きなアートディレクターの一人だ。
「HAPTIC」展等、非常に好奇心をくすぐられる美しいデザインに、10代の頃から憧れを抱いていた。
最近、研哉さんが携わった代官山Tサイトに行ってきた。ずっと行きたかったとこ。建設のサインやブランドロゴなどを担当している。居心地が良く、美しい空間だったな。
本著の中で語られてる「TOKYO FIBER」展が面白そうだな、と思った。見たかった。日産キューブの「笑うクルマ」が可愛かった。クラクションはいわば「威嚇」であるが、もしもクルマが「微笑」を表現出来るなら、街角は相当に和らぐはずだ、という考え。
考え方がスマートで、なるほど!と思わず微笑んでしまう、そんなデザインはやっぱ素晴らしい。