あらすじ
「本当の自分になるの」突然、自信に満ちた表情で語る秀子に、喜美代は恐怖さえ覚えた。主婦に納まって十数年、家庭を捨てて家出し、夢だったダンサーに再挑戦するというのだ。が、その直後、秀子は何者かに殺された…。別れ際に彼女から渡された手鏡。ひょっとして、それが彼女の運命を変えたのか?内なる欲望を映し出す鏡が日常を歪める長編サイコホラー!
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Posted by ブクログ
二部構成の長編の作品です。
第一部「わたしを見つめて」
夫は、目を合わせて話をしない、息子はすぐに自分の部屋に行ってしまい家での会話がほとんどない、そんな家で日々を暮らしてる喜美代。
長野に嫁いでた昔からの親友秀子が東京にいる喜美代に会いに来た。
彼女は、「本当の自分になるの」突然言い出し、家族を捨てて夢だったダンサーになると言う。喜美代は、秀子に恐怖を覚える。
その後、家でテレビを見てると、秀子が何者かに殺されたと言うニュースが・・・。
別れ際に渡された手鏡は、普通の鏡と違い写真のように映し出す鏡だった。(反対に映る)
ひょっとしてこの鏡が秀子の運命を変えたのか・・・?
そして喜美代は・・・。
第二部「わたしを見ないで」
ホームで黒い袋に入った手鏡を拾った玲子は、単身赴任で東京に来てる要一と付き合っていた。
彼女は、妻子あると解っていたのだが・・・。
あるひ玲子の家の電話が鳴った。受話器を取るとしばらく無言だったが、「切りますよ」と言うと「後ろめたくないのです?」と言われて切られた。
悩みがあるときは、鏡をみなさいと言う言葉を思い出し、拾った手鏡を覗くと逆に映ってるのに戸惑う。これは、魔境なのか?
しかし、落ち着いてからまた見て、そして鏡に映る自分に問いかけてた。自分がもう一人いたら・・・。
翌日体調が悪く会社を休む電話を入れたら・・・。
逆に映る手鏡は、内なる欲望を映し出す。いつも淡々とした日常が魔境により歪んで行く。二人の女性に起こった事とは?新津きよみが送るサイコホラーです。
新津さんの作品は、ハズレが無いけど大当たりが無い。と言うのが俺の評価ですが、久しぶりに当たりの作品ですね(一つ大当たりがあった記憶が・・・)女性の心理を描くホラーが多いのですが、この本は良かったです。面白かったのでよかったらどうですか?
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
「本当の自分になるの」突然、自信に満ちた表情で語る秀子に、喜美代は恐怖さえ覚えた。主婦に納まって十数年、家庭を捨てて家出し、夢だったダンサーに再挑戦するというのだ。が、その直後、秀子は何者かに殺された…。別の際に彼女から渡された手鏡。ひょっとして、それが彼女の運命を変えたのか?内なる欲望を映し出す鏡が日常を歪める長編サイコホラー。
平成30年1月21日~24日
Posted by ブクログ
主婦の喜代美は、親友の秀子の発言に戸惑いを隠せなかった。ダンサーになる夢に再挑戦するというのだが、彼女は自分と同じく、夫も子供もいる平凡な41歳のただのオバサンなのだ。必死に考え直させようとするが秀子の決意は変わらず、謎の手鏡を喜代美に渡したまま、いなくなってしまった。そしてその後、死体となって発見される。彼女の突然の行動の原因、そして犯人は一体誰なのか?手掛かりはまさかこの鏡なのかと改めて見た喜代美は、そこにうつっていたありえない光景に言葉を失う。どうして鏡なのに、うつるものが反転していないのか!?
鏡というのは確かに考えようによってはとても不気味で恐いもの、こういうホラーにはもってこい。謎の鏡に翻弄された2人の人間の話が連作短編のような形で描かれているが、前半の方が好みかな。後半の、鏡の中のもう一人の自分がドッペルゲンガーとして動き出すというのは、ありがちな話だし。おもしろくないわけではないけれど、何かひとひねり欲しい感じ。