あらすじ
これは拒食と過食、両方を経験した私の十二年間の軌跡。
高校一年生の夏、母に連れられて行った心療内科で、「摂食障害」と診断された。当時の
身長は153センチ、体重は35キロ。しかし医者に診断されるまで、自分が病気だなん
て思いもしなかった。
やせ続けることは、私の正義であり誇りだったから――。
通院を始め、食べなくてはいけないとわかっていても、頭の中のもう一人の『私』が許さ
ない。『食べたら太る』『やせろ』と責め立てられ、ついに一日の食事量は水とカロリーバー一本に。
精神病院への入院を経て徐々に食事ができるようになるが、今度は強い過食衝動が起こり、七か月で体重が倍増する。
「空腹」も「満腹」も失い、大好きだった絵を描くことすらできなくなりながらも、自らと向き合い摂食障害になった理由を見つけ、食事へのこだわりを手放して自分らしく生きられるようになるまでを記した感動のエッセイ。
今日マチ子・装画
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私も今治療中です。どうしてこんなことになったんだろう、と何度も思いました。私はこの方とは少し症状が違う部分もありますが苦しんでいる姿にはとても共感でき、胸が痛くなりました。私も必ず前のような生活ができるよう、支えてくれている周りの人への恩返しもしながらゆっくり前に進んでいきたいです。
Posted by ブクログ
摂食障害
こころの奥にある対処困難な行き詰まりを、食や体系のこだわりにすり替え、食生活の異常と心身の不調を引き起こす病気。
食べないと自分が危ないとわかっていても、食べられない。その生活をやめたいのに、怖くてやめられない。
摂食障害独特の考えが痛いほど分かる。共感しすぎて辛かった。
そのうえで、著者が自分の内面と向きあいながら、進んでいく姿が強く心に響いた。
摂食障害が「治る」って、何なんだろうとあらためて考えてしまう。
以下メモ
・自分の食事へのこだわりを守り続ければ、心の平穏を保っていられるのかもしれない。けれど、そこには誰もいない。私は一生、狭い部屋の中で、窓ガラス越しに外の世界を眺めながら死んでいくのだ。
・もし〈元に戻る〉ことが、病気になる前と同じ状態になることだとしたら、それはカロリーを全く気にせず一日三回食事できるようになったり、低体重でなくなったりすることなのだろうか。
摂食障害を克服するということが、依然と同じ食生活に戻ることだとはどうしても思えない。変えるべきは食事ではなく、自分自身ではないだろうか。
・私は子どもの頃からずっと、〈自分の価値を分かってくれる誰か〉を待っている。救世主のような存在が、膝を抱えた自分の手をひいてくれやしないかと、願っている。誰かが完璧な形を与えてくれると。
・摂食障害だった私にとって、食事は食べる以上の特別な意味があった。拒食も過食も、大切な何かを満たすための代償行為だ。だからそれを害されるのが心配で不安になるし、四六時中食べ物のことを考える。
私が満たそうとしてきたのは、きっと子どもの頃から感じてきた虚しさだ。
周りより劣等な生き物だと自分に言い聞かせながら、心の奥底では価値のある人間だといってほしくて仕方がなかった。
・摂食障害になったこの十数年の間に、他人の存在、行為の痕跡である作品、人が生きてきた時間の流れなど、様々な価値を身体で感じる経験をしてきた。長い時間をかけ、それらすべての現象に価値があるのだと実感することができて初めて、自分自身にも価値があるのだと心から思えるようになった。
価値は他人に承認を求めるものじゃない。存在自体が価値なのだ。
自分の心の中の空白は、自分でしか満たせない。
食べることで自分の心を満たしたりしない。それよりずっと素晴らしい方法を手に入れたから。
Posted by ブクログ
拒食症(神経やせ症)を経験し、乗り越えた今、この本に出会いました。
自分のことを描かれているかのように同じような経過を辿っていて、読んでいてとても苦しくなりましたが、もっと早く出会いたかった本です。自分の症状が病気だと気づいたときにはすでに後戻りできなくなっていることが多い疾患だと思います。この本は疾患の知識をつけることにも役立つと思いました。
罹患者としての自分を客観視でき、同じことを繰り返さないよう戒めとしてもとても役立ちました。
Posted by ブクログ
自分が摂食障害かもしれないと気づく前に読んだ。どのような治療を行うのか、その時どういう気持ちだったのかを学んだ。その後私が治療を始めるときにも、この本で得た知識のおかげで心構えができた。
Posted by ブクログ
拒食症、過食症を経験し10年以上の闘病が綴られていた。
作者は原因を劣等感だと気づくことができ、回復に向かっていったよう。
自らで原因を見つけることは難しいなか、すごいなと思った。
少しでもこの病気と闘う人が減るといいなと思った。
Posted by ブクログ
高校生で拒食症を発症し、それから入院、過食を経験した著者
発展途上国ではなく食べ物が十分にある国の日本でこんなにも拒食症に苦しむ女の子がいるってどこか矛盾しているところがあるけれど、この病気は現代で、SNSが発展し、他人と自分を比べてしまう現状のせいで生まれてしまった病気だと思う。私も過食嘔吐してしまう時期があって本当に辛かった。この食べたくないけど食べるしかないっていう理解できない感情をここまでわかりやすく言葉で表せるってすごいなあ。
もし近くに苦しんでいる人がいたら軽蔑したりせずに、その病気に至ってしまう根本的な部分を知ろうとしてほしいと思った。