あらすじ
娘が婚約者を連れてきた。
他人の分の寿司も遠慮なく口にする、だらしのない男。
娘が選んだ人ならば。自分は、心が広く先進的な父親。そう思っていたはずなのに。
神保町にある出版社、景談社で働く佐原滝郎は、娘の結婚に心が揺らぐ。
「娘が結婚すべきではない」と感じた婚約者は、意外にも滝郎の妻には好印象。
妻もあの婚約者のことは気に入らないと思っていたのに、一体なぜ?
積み重ねてきた夫婦生活の中で初めて見えた、自分と妻の間にあるひずみ。
もしかして、妻と自分はーー。
社内の三組の夫婦の姿を見ていくうちに、滝郎はある決意を固める。
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やっぱり小野寺せんせい、読みやすくて面白くてツッコミが最高❢
いろんな夫婦の形があってそれぞれのあり方があるんだな、と改めて思った。
表紙も素敵❢
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小野寺さんの他の作品の方々が名前が出てくるのがよい。
時々あれ、忘れてる…どんな人だっけってなったけど。
文章のリズムが好きだなーと思う。
こんなふうに温かい部分がある人と仕事がしたいなぁ。
自分もそんなふうになりたいなぁ。
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最初は登場人物同士の接点に気付かなかったが、読んでいくうちに、みんな繋がっている人だと分かった。
夫婦でも考えの違いがあるのは当たり前で、2人で納得できる形を探していけるのが大事だなと思った。
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夫婦集ではなく夫妻集。しっくりくる。それぞれにそれぞれの物語がある。私の夫妻物語もある。どれも同じじゃないから、なるほどそうねなんて読んでいて思わない。それでもうまく繋げて集としているのがいいね。
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いろんな夫婦がいて、いろんなカタチがある。
それだけではなくていろいろある。
それも含めていいなと思わせてくれる作品。
登場する小説にも注目。
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佐原夫妻、足立夫妻、船戸夫妻、江沢夫妻、四組の夫婦が直面する結婚生活の危機。四組とも夫又は妻が出版社「景談社」の社員という繋がりのある連作短編。
年齢も抱える問題もそれぞれな四組の夫婦。しっかり互いの想いを曝け出し、相手を尊重した上での結論だからかそれが離婚だったり、別居だったりしても不思議と嫌な気がしない。
どちらかが我慢をすることで成り立つ表面上の平和を選んでいない彼らの選択がとても清々しい。
「夫婦三部作」の宣伝?がさりげなく、いやいやあからさまにぶっ込まれるのもご愛嬌。足立夫妻や江沢夫妻の選択を耳にして、佐原滝郎が考えを柔軟に変化させていくのもいい。
そして作家として登場する小倉琴恵がこの本「夫妻集」を書いているという入れ子のような構造も好き。
小野寺さんはやはり、ひとを描くのが頗る上手い。
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様々な夫婦の物語…と言う程度の知識で読み始めた。
印象としては、まずとにかく会話の文が多い。
まるでテレビドラマの台本かと思うくらい、夫婦であったりそれぞれの人物同士の会話文でほぼ成り立っているところがあり、それは意外にも読みやすかった。
しかも、軽快な受け答えや自然な会話文なのでスラスラと入ってきて自分の中でのテンポ感で読めたのが面白かった。
次に、登場人物がフルネームで山のように出てくることに頭が混乱した。
それぞれの夫婦の物語の短編が一冊になっていて、全体としてはページ数の多い長編なので何日かに分けてちょこちょこ読んでいると、とにかくこの人はこういう人で、この人とはこういう関係で…とメモを取りつつ読まないと訳がわからなくなりそうだった。
が、他の話に出てきた人物をそれとなく紹介するような書き方で登場させるので、各話での登場人物があちこちで繋がっているにしては混乱せずに読み進められたのにびっくりした。
記憶力の低下であまりにも日にちや時間が空くと誰が誰だかわからなくなってしまうんだよなぁ。
あちこちにフルネームで人物名が出てくるが、そこまで気に留めていなくても良い程度の登場の仕方だったのでそんな私でもサラッと読めた。
特にグッと入り込むでもなく淡々と読み進めていたけれど、後半何故かのめり込んでしまった。
離婚だの、娘の結婚相手のことだのと問題がたくさんあったはずなのに、それが気持ちいいように解かれていく感覚。
問題が解決する、とはまた違うけれど、何事も自分の気持ち次第で変わっていくものなんだと、そんなことまで思える終わり方で読後感はとても良かった。
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相変わらず読みやすい文章でした。それぞれの夫妻の話でしたが、それぞれ上手く繋がっていて、いわゆる連作になっています。自分も結婚10年を越えて、子どものことや妻のこと、いろいろ思うことがあったので、どの話もけっこう刺さりました。実際、夫婦の数だけそれぞれの物語があるんだろうなあと思います。佐原夫妻のような形で結婚30年目を迎えることができたら最高ですね!
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NHK第一の国語辞典サーフィンで、
家族、という言葉を扱った時に、
血のつながった同じ家に住む数人の集まり、
みたいな説明に、MCのタツオさんが、
夫婦ってのは血がつながってないんですよ?
と、突っ込んでいた。
ですよね?
どうかすると家族の最小単位だったりするけど、
血はつながってませんよね?
血がつながってたって全然違うし、
同じ組み合わせから生まれたきょうだいが、
まるで違ってたり、
まして他人同士の夫婦においておや、
だけど一緒に生きていこう、ってなった二人、
みんな違って当たり前、ですよね。
なんてことを考えた様々な夫婦の物語。
しれっと自作ぶっ込んでくる辺りに笑った。
よく知らない作家さんって。ぷぷっ。
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4組の夫婦が登場する。
それぞれに、少しずつ関わりがあったり、なかったり、というと分かりにくいが…全く別の夫婦でも、夫か妻の会社の上司部下の関係だったりすることから、お話が進むうちに、新しく関係が生まれたりする。
そして、どの夫婦の間に起きることも、どちらの言い分も少しずつ分かる!と思ったり、そこは私なら歩み寄るかもなぁ〜と歯がゆく感じたりしながら。
悲しい別れは出てこなかったので、良かった。
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良かった。じんわり心温まる感じ。
出版社「景談社」に勤務する四つの夫婦の物語、という設定も本好きとしては堪らない。
嬉しいのは夫妻を描きながら出版社のお仕事小説っぽくもあり、作家視点も楽しめること。
ちょっとした仕掛けもあって楽しい。
ちょっと波立つことがあっても、夫婦の数だけ物語があるんだなぁと優しい気持ちになれて良かった。
登場人物が夫婦関係を振り返り、改めて感じた言葉が、シンプルだけど思いがこもっていて響きました。
小野寺さんの世界観はホッとする。
夜寝る前に読んだので、更にゆったりとした気持ちになりました。
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どこにでもいそうな夫婦達のリアル。仕事でつながりがあり、次の話でも登場したり、新たな真相がわかったりするところも面白い。
最後はほっこり。読んで良かった。
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東京にある大手出版社の景談社に勤める4人の既婚者を中心に、夫婦という関係の機微を描いた連作短編集。
◇
その日の佐原滝郎は、朝から落ち着かなかった。ひとり娘の楓が彼氏を家に呼び、両親に紹介することになっていたからだ。妻の和香も落ち着かないのか少々はしゃぎ気味だ。
約束の時間は午後1時。30分前に特上にぎり寿司5人前も届き準備万端だ。
ところが1時になっても玄関のインターホンは鳴らない。5分過ぎ10分過ぎても同様だった。楓が一緒にいるはずだが連絡もない。心配し始めたところ15分遅れで2人が到着した。
「おじゃましま~す」というチャラい挨拶とともに姿を見せた彼氏。名前は池本悠。27歳。
見かけはスッとしたイケメンだ。だが、遅刻を詫びるでもなく連絡なしを申し訳なく思う素振りを見せるでもない。
会社で人事部長を務める滝郎が、社会人の常識に照らしてそのことを注意すると、「すいません」という軽い謝罪。楓も「家にいるからいいじゃん」という不届きな返事。
滝郎が気を悪くしたまま、寿司をつまみながらの会食がスタートした。
和香が気を利かして仕事や将来へのビジョンを尋ねていくが、池本の返答のすべてが、一流企業の人間としての滝郎には気に入らないものだった。
( 第1章「佐原夫妻」) ※全5章。4章と5章のあとにそれぞれ断章が挿入されている。
* * * * *
夫婦。
一心同体。連理の松。比翼の鳥。
心が通じ合い、ことばにしなくても互いの気持ちを思いやった行動がとれる。
俗に ( 特に結婚式のお祝いスピーチでは ) そう言われます。理想の夫婦像ですが、それは夢物語では決してないと思います。
けれど常にきちんと相手に意識を向け心を開いていることで初めて到達できる関係であって、とても一朝一夕にはたどりつけないことは確かでしょう。
本編で描かれている4組の夫婦。
それぞれ夫婦ともに善良な「いい人」なのだけれど、夫婦関係を揺るがすような危機に直面します。
第1章の佐原夫妻の危機は、滝郎にとっては気の毒でした。
池本悠の言動は初対面の年上の人間に対するものとは思えません。馴れ馴れしいし図々しいだけ。そこには自分の恋人を育んでくれた人へのリスペクトが感じられません。
別に芸人志望のユーチューバーが悪いと言うつもりはありません。しかし社会人としてのマナーというものがあるはずです。
妻の和香などは池本に対して好意的だったけれど、夫の滝郎の反応こそノーマルなものだと思います。
婚姻は、成人した当人同士の合意によります。だから池本と楓が結婚するのは認める他ないでしょう。
それでもその人間性を受け容れられないのなら、こちらが我慢する必要はありません。相手にそう告げるべきだし、そこからしか理解し合う関係は生まれないと思うからです。
滝郎の嫌悪感はまったく以て正当なものです。だから、それを滝郎の器の小ささだととった和香には賛同できませんでした。
佐原夫妻以外は夫に非がありました。
第2章の足立夫妻はいい関係だし、結婚2週間で妻の結麻が転勤になり、東京と名古屋に別れての別居生活は気の毒です。
それでも、結麻に退職を提案 ( 要求でないだけマシですが ) する道哉は失礼の極みでしょう。妻の気持ちに向き合えていません。
第3章の船戸夫妻は、夫の幹人に問題ありすぎです。
合コンで、バツイチ・年上ということをまったく気にすることなく、美奈そのものを見てくれる。そんな幹人のフラットなスタンスは魅力的です。
けれど結婚してみて、魅力だったフラットさは大雑把なだけであることに美奈は気づます。
会社帰りに偶然出会った元カノともんじゃ焼きを食べに行ってしまう。
体調の悪そうな幼い息子 ( 美奈の連れ子です ) をひとり残して、急に入ったアマチュアバンドの練習に出かけてしまう。
美奈の気持ちや息子の体調が急変する可能性をまったく考慮しない浅はかさ。
元カノやバンドの先輩を、家で待つ妻やひとり残される息子より優先してしまっているのです。こんな夫は家庭人として失格です。
私が美奈の立場なら離婚へ大きく傾くでしょう。
第4章の江沢厚久については理解に苦しみます。
植木職人になるため現在の信販会社を退職したいというところまではまだわかります。そして修業のため沖縄で造園業を営む学生時代の先輩の下へ行くということも百歩譲ってわからぬでもありません。でも、だから離婚したいという理屈には納得しかねます。
修業中は給料はなく家庭人としての責任も果たせないために申し出た離婚のようです。
確かに妻の梓乃は出版社勤務で安定した収入があります。だから妻を養う必要はないでしょう。けれど、2人の子どものことをまったく考えていないのはどうなのか。最初から妻に押し付ける気満々ではありませんか。
要するに修業が終わっても沖縄から帰る気はないということなのでしょう。無責任この上ない態度だし考え方です。
子どもが2人とも沖縄についていきたいと希望したとき厚久は戸惑いますが、果たして胸を痛めるぐらいはしたでしょうか。そうあってほしいと思います。
佐原夫妻以外の夫婦は、夫の幼稚さや身勝手さが目につきますが、そのために却って妻の度量の大きさや人間性の豊かさが引き立っていました。
もしかしたらこの妻目線のストーリーは、断章で『夫妻集』を執筆することになっている作家の小倉琴恵の目線ということなのでしょうね。「男」というものを見切っている。そう言えば琴恵のかつての不倫相手もつまらないクズ男でした。
小野寺史宜さんらしく、温かでユーモラスな文章であり、随所に過去の作品をかませているところもうれしく読めて、とても楽しませてもらいました。
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猫が可愛くて。
表紙が可愛くて手に取った。
講談社から出ている本。
物語の中によく出てくるのは景談社。
最後まで読むと分かる。
なるほどね。
上手いことやってくれるじゃない。
色んな夫婦の物語。
この最初に出てくる佐原夫妻の娘が連れてきた彼氏、私でも反対したくなるな。
お笑い芸人と俳優を目指してるユーチューバーって。
何故奥さんがいい人だという判断を下したのか気になるところではあった。
娘もそれなりにいい年齢だし、っていうのはあるけど心配になるわよ、それ。
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4組の夫婦それぞれの物語。夫婦のあり方も、直面する問題も、乗り越え方もみんな違っていて興味深かった。他の家庭の夫婦関係を少し覗き見しているような気分になる作品。最後が前向きな終わり方でほっとした。
Posted by ブクログ
「ふうふ」ではなく「ふさいしゅう」です。
主体者ではなく他者なのです。
様々な夫婦がいてそれがされぞれ素晴らしい関係だとでも言いましょうか、素敵なのです。
作者お得意の登場人物が循環します。
少しの関わりで繋がっていきます。
日常のほんの少しの変化、でも当事者にとっては大きな出来事が夫婦の中で起きます。
そしてなんとなく夫婦の間で解決していく。
そんな非日常が起きます。
小倉先生の断章がスパイスを加えます。
このオムニバスの中、小倉先生だけが独身なのにはちゃんとわけがあるのです。
独特の理屈っぽい言い回しの中に
相変わらず練り込まれたプロットを感じます。
Posted by ブクログ
四夫婦の在り方というか、夫婦の関係性を描いた短編集。
夫婦として一緒に生きていくのは結構大変な事。
夫婦と言えども其々は一個人。
こうでなきゃの固定観念を捨てれば楽になる。
そうしようよ!の四話だったかな。
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夫婦の数だけ色々な繋がりがあるんだろうな。同じものはひとつもない。まぁ、縁あって一緒になったのだから、良いことも悪いことも受け入れるってことね。
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同年代から新婚さんまで様々な夫婦模様が描かれた小野寺史宜さんらしい心温まる作品。
夫婦ってなんなんだろう、子供が巣立ったあとこの人とどう向き合えばいいんだろう、と考えることの多い今日このごろの私に少しヒントをもらえたような気がしました。
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小野寺さんらしい始まり方の本。
というか、今日10月16日でこの本の始まりが10月16日!
凄い偶然!なんだか勝手に縁を感じてしまった。
いろんな人がいるから、色んな夫婦の出会い形があるなと思った。
小野寺さんは登場人物をしっかりと作り上げて、
友達のような感覚でいるんじゃないかな?と想像。
小倉さんが書きたい小説は大豆田とわこと元3人の夫みたいな感じかな?と想像。
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読みやすくて面白かった。夫婦の数だけ、いろいろな夫婦の形があると改めて思った。池本君のような彼氏を連れてきたら、私もあまりいい顔はできないだろうな。
Posted by ブクログ
役者とお笑いを同時に目指すユーチューバーを娘が連れて来たら、僕でもやんわりとよく考えた方がいいんじゃないか、と言ってしまいそうな気がします。
そんな娘の彼を真っ向否定して、夫婦関係、親子関係がピンチになるお父さんから始まります。いつも通りの小野寺節です。
Posted by ブクログ
夫婦の形は色々。少しずつお互いの心地よい方向に軌道修正しながら出来上がっていく、と思いたい。人それぞれだから正解はないよね。感謝の気持ちを忘れないようにします。すぐ忘れて「私ばっかり!」って思っちゃうんだけどね。
Posted by ブクログ
さすがだなぁ。
小野寺氏。
やっぱり上手。
個人的に印象に残ってるのは、人事部長であるお父さん。
わたしでもそんな中途半端なやつきたら、は?って思うと思うなぁ。
でも確かに、大人なんだから、反対とか意味ないよね。。
あとは夫が沖縄で植木職人希望で離婚も衝撃的だった。
でも、離婚、しなくてもいい気もした。
円満離婚じゃなくて、円満別居で。
心も離れたなら、離婚でもいいけど、別に家族として離れて暮らすだけで、だから離婚にしなくてもとりあえずいいんじゃないのかな??
また後から考えれば。
みんな答えを急ぎすぎてる気がした。
まあ、この本の中で、解決しないとダメだから急足になるのは致し方なし。
小説家って考え方が独特なのね。