【感想・ネタバレ】14歳から考えたい ナチ・ドイツのレビュー

あらすじ

史上最悪の犠牲を出した《独裁の手法》は、いまも世界をおびやかしている
ナチ党を率いて「総統」の地位にのぼり、ついにはホロコーストを引き起こした、アドルフ・ヒトラー。そのおびただしい負の遺産をつまびらかにすることで、見えてくる教訓とは?
本書では、第一次世界大戦末期の帝政ドイツの滅亡から、ヴァイマル共和制を経て、ナチ・ドイツの誕生~終焉まで、ドイツがたどった道筋をナチ党の台頭と重ね合わせながら見ていく。ナチ党が用意周到に独裁体制を築いていく様子や周辺国への侵略、ユダヤ人への迫害、国民はそうしたことをどう受け止めていたのかなどがよくわかる「ナチ・ドイツ」の入門書。

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Posted by ブクログ

国民社会主義の台頭とナチの蛮行、組織的・計画的なユダヤ人根絶政策をわかりやすく解説した本。ドイツだけでなく欧州各国で反ユダヤ人感情が根付いていたことには驚いた。国家によるテロも踏まえれば、あれほどまでの排外主義とナショナリズムがまかり通った理由も納得できた。
目を奪われた一文があった。占領下のナチ・ドイツで、親独的なソ連国民が敵国であるドイツのユダヤ人銃殺に手を貸したという主旨の一文だ。愛は国境を超えるとも言うが、反ユダヤ人感情は国境を超え、敵味方の区別すらをも超えてしまったというのだ。それほどまでに差別意識というのは根強く、今のアメリカでも白人と黒人の対立が続いているのも理解が容易い。
ホロコーストを通してヨーロッパのユダヤ人は600万人減少したという。一人の人間の熱烈な努力と、それの実行に適した環境によって(計画的に達成された数値としては)600万人もの人々を減らすことが可能なのである。
私たちは環境を正しくせねばならない。鬱憤や憤怒を武器として政治的に利用したナチ・ドイツの体制は到底許されるものではない。誰がヒトラーを生み出したのか、誰がヒトラーを許したのか、私たちはそれについて深く考えると同時に、社会に目を光らせる必要かある。これが私がこの本から学んだ最も大切なメッセージだ。
失敗から学ぶことは多い。世界の趨勢が間違った方向に向かっている時には、また読み返したい。


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2025年12月09日

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