あらすじ
実は途上国並みの水洗トイレ、電柱事情。医師の人数や集中治療室は少ないのに、精神科ベッド数は断トツ世界一。韓国よりも安い賃金、低い製造業の労働生産性、低い大学進学率。子供、若者の自殺大国。外国旅行は「高い買い物」になった日本人……等々、50を超える国際データを比較検証。少子高齢化が進み、格差が広がる日本の衰退は防げないのか? 実質的に世界一の資産大国・債権国でもあることなど、希望の芽をどのように花開かせればいいのか? データ分析のプロ・元国税調査官が読み解く。
1章 社会インフラは途上国並み
2章 病院は多すぎ医者は少なすぎ…いびつな医療界
3章 なぜ日本経済は中国に喰われたのか?
4章 先進国で最悪の貧富の格差
5章 世界最大の債権国
6章 少子化問題は起こるべくして起こった
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Posted by ブクログ
政府債務が多く少子化が進む。日本はダメな国、という論点がある一方、「日本は世界から尊敬される国」という本も多い。一体、どっちが正しいのか。
著者の大村氏は感覚に頼ることなく、統計でその姿を浮き彫りにする。
日本の製造業が弱くなったのは海外に製造拠点を移したから。その上、賃金が上がらず、貧富の差は開いた、という指摘はうなずける。
日本経済の状況はなかなかひどいがこの後どうかじ取りをしていくのか。日本という国が今後立ち上がれなくなるように、少子化という足かせをはめられたのかも、と思うほど厳しい状況だと思う。
アメリカで中流層が搾取され、すっぽり中流層がいなくなった時期、アメリカで自己啓発本がブームになった、と聴いたことがある。苦痛の多い暮らしを送る人々に読む麻薬を与えたのか、と思った。今の「日本はすばらしい」論も同じ構図かもしれない。ひどくなる一方の日本。その絶望を少しでも和らげるために、「日本は世界一」という書籍が売られるのかもしれない。