あらすじ
喫茶店経営者が客を人質に籠城。自ら通報した犯人はテレビでの生中継を要求する。前代未聞の事態に麻衣子は困惑するが、そこにはある狙いが――。『交渉人・籠城』を改題&大幅改稿した傑作警察小説!
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Posted by ブクログ
五十嵐貴久『交渉人・遠野麻衣子 籠城』河出文庫。
『交渉人・籠城』を改題、大幅改稿した警察小説シリーズの第3弾。単行本は2010年に、第一次文庫は2013年に幻冬舎文庫から刊行されている。
また、改題&大幅改稿シリーズ3作に続き、2023年9月にはシリーズ最新作の『交渉人・遠野麻衣子 ゼロ』が単行本で刊行されるようだ。シリーズ第1作の前日譚が描かれるということなので、シリーズ再始動という可能性もありそうだ。
さて、本作。捻りの効いたプロットに、謎に包まれた籠城犯の真意、如何なる事態にも交渉人としての基本を忘れず、冷静沈着な遠野麻衣子警部と籠城犯との緊迫の駆け引き、少年法による加害者と被害者の立場の逆転と、読みどころが満載の警察小説となっている。惜しむらくは、事件の現場が喫茶店と狭い空間に限定されている点だ。
喫茶店アリサの店主である福沢基之が店内の客を人質に籠城し、自ら警察に通報する。
事件を早期解決すべく、特殊犯捜査第一係の藤堂雄介警視は、岡部浩警視、遠野麻衣子警部、戸井田啓一巡査部長の3人を前線本部に派遣する。藤堂により岡部警視が福沢との交渉人に指名され、麻衣子と戸井田は岡部警視のサポートに回る。
マスコミなどに邪魔されぬよう福沢と交渉を進めるため、岡部警視は福沢の店の電話回線と福沢のスマホの回線を停止し、警視庁との専用スマホをドロップフォンで福沢に渡すことを決断する。福沢にスマホを渡そうと店に近付いた岡部警視は福沢に捕らえられ、銃で肩を撃たれ、負傷する。
その後、福沢は自ら起こした籠城事件をテレビで生中継するよう要求し、麻衣子の懸命の説得により負傷した岡部警視を含む人質を3人解放する。
負傷した岡部警視に代わって交渉人を務める麻衣子は、4年前に福沢の幼い娘を殺害した当時15歳の犯人である小幡聖次を喫茶店に呼び出し、テレビに名前と素顔を晒すことが真の要求であると知る。しかし、そこに立ちはだかるのは少年法の壁だった。果たして……
年々凶悪化する少年犯罪。例え何歳であろうと犯した罪が大きければ、匿名など許さずに相応の償いを果たすべきだ。年齢が若ければ更生する可能性があるというのは幻想に過ぎない。むしろ、若いうちに重大な凶悪事件を犯すの少年少女などには更生する可能性など無いと思う。
定価880円
★★★★★
Posted by ブクログ
娘を殺された男が、人質を取って自分の喫茶店に籠城。
スワット突入で銃撃戦!みたいな派手な展開はないが、実際の交渉のジリジリ感がよく伝わる作品だった。
少年法を考えさせられる内容である、被害者家族のの気持ちを思うとやるせないなぁ
Posted by ブクログ
少年法はね…難しいよね。
被害者感情としてはね…。
それはさておき…そりゃそうなるよ…騙されちゃってまぁ。
夫が復讐を企てているのを見護るだけの妻、なんてのはね。
ってか、耳!怖っ!!
そして、妹!協力するなよ〜〜!!!(・_・;;
Posted by ブクログ
交渉人シリーズのリライト第3弾❗️
この後に新作でその後の遠野 麻衣子の活躍が描かれていたら、真っ先に読んだけれども、エピソード0が出版されたので、余り興味を引かれずに積読してあった作品。
臨場感あふれる描写と上からの命令には背けれない麻衣子の葛藤が、結構リアリティだなぁと感じました。
本書でテーマとなっている少年法については、アメリカやイラン、イラク、バングラデシュ等世界で七カ国程で少年の死刑が認められているようですが、少年の更生を掲げる日本の法律の元では、被害者の立場からしたら計り知れない苦しみと強い痛みを伴う措置だと思っています❗️
純粋にストーリー対しての評価をくだせず、テーマである少年法の是非について大きく考えさせられる作品でした❗️まだまだ遠野 麻衣子の活躍が読みたいと思います。
Posted by ブクログ
前作までのシリーズは未読で、こちらが初めての読書でした。
「立て篭り事件の犯人との電話交渉」という他の推理小説と比べると極めて短い時間軸での物語であり、少し間延びしているように感じてしまいました。
テーマがテーマなので当たり前ですが、終始交渉人である主人公と警察上層部、そして犯人のせめぎあいを見せられており、それ以外の大きな展開が無く少し退屈に感じてしまいました。
問題を投げかけて終わる、といったタイプの結末もあまり好みではなく、
私がこのタイプの物語に向いていなかったのかもしれません。
Posted by ブクログ
籠城犯との人質解放交渉のやり取りを、ハラハラしながら読みました。
この話のテーマになっている法律のあり方について考えさせられました。
『法のもとに平等である』と言われています。
でも被害者と加害者が受ける法律の力は、この話のテーマになっている法律の場合、被害者が損をしている印象を受けました。