あらすじ
大転換期を迎えた世界の構造が丸わかり!
ロシアのウクライナ侵略、中国の台湾有事、
巧妙化するサイバー戦争、大インフレ時代の到来……
日本復興のシナリオがここに!
<<目次>>
■はじめに:安全と資産の防衛に必要な「地経学」とは?
■第1章:日本人はすでに戦争に巻き込まれている
■第2章:地政学とは何か?
■第3章:地政学の最先端を探る!
■第4章:権威主義大国・ロシアの情報戦とその未来
■第5章:「地政学+経済学=地経学」とは何か?
■第6章:日本経済を地経学で読み解く!
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Posted by ブクログ
最初、ロシアと中国の話ばかりで、どうなることかと思ったけど、最後は日本にうまく着地した。
まあ、2023年のこの状況を考えると、外国の話がロシアと中国に偏るのは仕方ないとは思うけど。
最後は日本の明るい未来に言及してて、こちらも日本を明るく変えていきたいと思った。
Posted by ブクログ
経済も含めた地政学が如何に大事かが、よくわかった。日本のように大陸の端っこの島国では理解できないような内容だった。欧米列強がなぜ戦争を仕掛けるのか、仕掛けてきたのかが理解できた。
日本は、井の中の蛙ならぬ、海の中の亀といったかんじだろうか。
Posted by ブクログ
印象的だったのは
地政学的な内容ではない部分で
サイバー攻撃について。
正しく判断するために
相手の戦略を知り、
正しい知識を持たなければならない。
Posted by ブクログ
歴史を経済で読み解くシリーズも含めて、上念氏の本には大変お世話になっています。歴史の流れを、経済・お金の観点から解説されると新しい気づきを与えてくれます。
一方では私は地政学に興味を持っていますが、そんな私にとって、現在世界で起きている事件を、経済と地政学で解説してくれる本に出会えてことは幸運です。本屋さんで見つけて、内容も見ずに買いましたが、期待通りの本でした。
以下は気になったポイントです。
・この数十年の間に世界の共通認識とされていた「開かれた交易」のルールが、もう通用しない可能性が極めて高い。数十年に一度の大転換期と言える現在、誰もが今後の世界がどのように変化していく、どのように変化していくのかを理解する上で必要な知識となるのが、地政学と経済学を掛け合わせた「地経学」である(p4)
・日本がロシアの侵略先として外された理由の一つとして、日本を攻撃すればアメリカが必ず戦争に介入してくるはずなので諦めたという説が有力。日本とウクライナだけでなく、フィンランドも攻撃の候補に挙がったとのこと(p45)
。第二次世界大戦後、敗戦国となった日本とドイツにおいて「地政学は危険思想である」「戦争の原因になった」「とんでも似非科学だ」として社会から完全に抹殺された(p49)
・シーパワーは、アメリカ・イギリス・日本・オランダ・スペインといった海洋国家で、分散的に存在する独立主体の国家がネットワークのように結びついている、かつてのベネチア共和国、現在の台湾、シンガポールもそれに属する、自由で開かれた交易を行なって発展することが目的なので、交易路を防衛する海軍を必要とする。これに対してランドパワーは、ロシア・中国・ドイツ・フランスといった大陸国家の間で生まれた考え方で、自分たちの領地内で自給自足を完結させるために、より広い領地=生存圏を得ることを目的とするため強い陸軍を必要とする(p71)
・アメリカ地政学の教科書を記したマハンのテーゼ、1)海をせいする者は世界を制す、2)いかなる国も、大海洋国と大陸軍国を兼ねることはできない、3)シーパワーを得るためには、その国の、地理的位置・自然的構成・国土の広さ・人口の多少・国民の資質・政府の性質、の6条件が必要である)p76)
・ランドパワー、シーパワーの国にとっても、橋頭堡(=大陸へのアクセスを確保する足掛かり)は、地政学上、非常に大切・韓国があれだけゴネても、日本側が突き放すことができないのは、韓国がアジア大陸のインナークレセント(内側の三日月地帯)にある橋頭堡だから(p79)
・安倍首相が提唱した、自由で開かれたインド太平洋は、まさにシーパワーの地政学を現代に体現したものであった、これに対して、ランドパワーは生存権を振りかざし、弱いものは吸収されても仕方ないという発想である(p93)
・第一次世界大戦では、シーパワー諸国は一致団結しランドパワー諸国は分裂した、しかし第二次世界大戦では、日本は他のシーパワー諸国である、イギリス・アメリカと分断され、ドイツ・イタリアといった当時のランドパワーに味方するようになり、これは、陸海の最強国であるソ連とアメリカを同時に敵に回すことを意味した(p94)第二次世界大戦の中でも、日米の戦いは、歴史上稀に見る強力なシーパワー同士の戦いである、人類史上、正規空母対正規空母、機動艦隊対機動艦隊の戦闘が行われたのは、この日米決戦のみ(p97)
・現在、国連の常任理事国のロシアが、クリミア併合やウクライナへの戦争で全世界から総スカンを喰らっているが、第二次世界大戦前の日本もまさにこれと同等かそれ以上のこと(満州事変、支那事変など)をやってしまった(p96)
・なぜ、ロシアや中国がハイブリッド戦争(武力による全面戦争でなく、サイバー空間・経済、私たちの脳内までを戦場とする)をするのは、ランドパワーの国が、シーパワーの国と真殿もに戦っても勝てないから(p100)
・アメリカ海兵隊がベトナムで負け、イラク民兵相手に大苦戦した際以降に、海兵隊内で研究が始まり気付いたのは「心理や情報によって人々の認知の枠組みを作り替えることの重要性」であった(p103)
・反射統制の上手いところは、事実に明らかな偽情報を混ぜること、事実に紛れているからこそ、そこに隠れた偽情報までも魔に受けられる(p114)
・ウクライナはロシアにとって大陸系地政学から連なる「生存権」なので、ランドパワーの地積学的な発想が、ロシアの行動原理になっている(p133)
・国際刑事裁判所(ICC)の起訴による効果は確実に生まれている、1)プーチンの外交活動が大きく制限される、ロシアの友好国であってもプーチンが自国を訪れたら逮捕せざるを得ない、なので、プーチンには来ないで欲しい、となる。2)ロシア国内でのクーデターが正当化しやすくなる、戦争犯罪人を拘束させるために起こしたものだという大義名分が成立する(p134)
・アメリカとはじめとする西側諸国がウクライナ侵略において、ウクライナに加勢する理由は、武力による現状変更を認めたら国際秩序が崩壊するから。国際秩序を重んじる国々は、シーパワー諸国を及びその同盟国である(p139)
・アメリカに協力してロシアに制裁を科している国は圧倒的に少ない、グローバルサウスの方が多数派だ、という反論もあるが、そもそも戦前からロシアと貿易をしていない国は制裁に参加できない、グローバルサウス(アフリカ、太平洋諸国、南米諸国)と言われる国はもともとロシアと大して取引がない国が多い(p143)
・インドがロシアから大量に原油を買うのが抜け道になっているという指摘がある、しかしSWIFTから排除されたロシアは、原油輸出の対価をインドルピーでしか受け取ることができない、ルピーは厳しい取引制限があるため、ロシアはルピーを国外に持ち出すことができない(p144)インドから石油の対価としてインドルピーが支払われても、インドの銀行にあるロシア系石油会社の口座にルピーが貯まっていくだけ、他の通貨(ドル、ユーロ、円)に両替できない、ロシアからインドから輸入しているものはあまりないので、使うに使えないお金となる、流動性のない資産はゴミ同然(p182)
・G7、EU、オーストラリアが海上輸送されるロシア産原油を1バレル60ドルの上限価格に設定するなど、ロシア政府の国庫に直接ダメージを耐えるような制裁をしてきた、現在、ロシアに行く船には海上保険がかけられない状態になっていて、ロシアは自分の行為がブーメランとなって返ってきて大変なダメージを受けた(p178)
・日本も半導体、軍事用途の品目や石油生産に伴う設備の輸出禁止、ロシアへの新規投資禁止を行なっている、そのほか、アメリカ・EU ・イギリス・カナダ・日本などは、ロシアに対して「最恵国待遇の取り消し」を行なっている。これはWTOで結ばれた協定で、最も有利な待遇を相手国に与えるもの、この取り消しによって、ロシアからの輸入品を受け入れる際は、関税などが高くなり、ロシア側としては輸出がしづらくなる(p196)
・世界貿易の決済手段は、依然としてドルが84%、ドル・ユーロ・円が広く使われる理由は、その利便性(自由に手に入り、自由で開かれた経済と結びついてる)である、資本取引規制下にある人民元とは別物、人民元がより開放的な通貨になる兆しは見えない(p199)
・結局、旧ソ連の地政学は失敗した、経済破綻、人々は困窮、社会不安になり東欧革命が起こり、ソ連も崩壊した。自由で開かれた社会の方が強い(p201)
・第二次石油ショックから40年、2020年のコロナショックによって、再び世界に衝撃が走る、コロナ対策として中央銀行は大規模な金融緩和を行なった、その結果、各国で貨幣が溢れ、1年間のタイムラグを経て、2021年から本格的なインフレが始まった。経済の歴史を紐解くと、インフレとデフレは40年間おきに繰り返している、これによれば、2020年から始まる40年間はインフレの周期となる可能性が極めて高い(p207)
2024年8月21日読破
2024年8月23日作成