【感想・ネタバレ】ソース焼きそばの謎のレビュー

あらすじ

なぜ醤油ではなくソースだったのか? 発祥はいつどこで? 謎を解くカギは「関税自主権」と「東武鉄道」にあった! 全国1000軒以上の焼きそばを食べ歩いてきた男が、多数の史料・取材と無限の焼きそば愛でソース焼きそばのルーツに迫る興奮の歴史ミステリー。

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Posted by ブクログ

戦後に生まれたと言われている「焼きそば」の話です。

「果たしてその説は本当なのだろうか」という疑問を持ち、今日の焼きそばの誕生に
至る過程を解き明かした一冊です。

鍵はお好み焼きですね。

お好み焼きは、明治の終わり頃に天ぷらや西洋料理を模して、天かすや餅を小麦粉に
溶いて焼いた代用食というか、パロディ的な食べ物だったそうです。

調理は鉄板で行われていたわけですから、あとはここに麺があれば「焼きそば」の
出来上がりですが、そうは簡単に行かなかったそうです。

なぜか。

麺が高級であったそうですが、つまり小麦粉が高かったのでしょう。

しかし東武鉄道の玄関口である浅草には、北関東の小麦の生産地から容易に小麦粉が
運ばれ、容易に入手できたそうです。

浅草に今もお好み焼き屋やもんじゃ焼屋が多いのは、上記の理由だそうです。

東京では「焼きそば」といえばイメージは「アレ」ですが、地方ではソースが後がけ
であったり、あんかけであったり、さらに具にもその場所の特産品の「地焼きそば」も
生まれています。

ご当地焼きそばを巡る旅も面白ろそうだな、と新たな旅の発見を与えてくれる一冊です。

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

膨大な資料のリサーチやインタビューを重ね、ソース焼きそば発祥について探る、良くできたミステリーのような一冊。「焼きそばかお好み焼き食べたい!いや、それよりもソバ入りのお好み焼き食べたい!!」と思いながら一気読み。漫然と思い込んでいた「お好み焼き&焼きそば大阪発祥説」は見事に覆させられ、皆んな大好き粉もん&ソースの歴史が良くわかった。続きの「あんかけ焼きそばの謎」も読んでみたい。

・明治30年代にお好み焼きが東京下町で、大正初期にはソース焼きそばが浅草で誕生。戦前までにお好み焼きと焼きそばは全国に伝播したが、焼きそばは東京のように中華麺を安価に入手できなかったため、本格的に提供されたのは戦後になってから。
・明治末に関税自主権が回復し、輸入小麦粉が減少。同時期に機械製粉の導入により、近代的製粉企業が現れる。明治40年頃に小麦粉の過剰供給に陥った結果、国内産の良質な小麦粉が安価で安定的に出回るようになり、大衆向けの飲食店でも気軽に利用できるようになった。それによりお好み焼きと、焼きそばの普及に不可欠な支那そばが普及していく。
・戦時体制下で焼きそば屋台は姿を消すが、戦後の食糧難でも入手しやすい食材を使用する焼きそば屋台は、ヤミ市で人気を博す。
・戦中連合国を支援する目的でアメリカは農協生産量を大幅に増大させたが、朝鮮戦争終結後にダブつき日本に大量流入。その結果、小麦粉食が農村にも広かった。
・合成甘味料チクロが認可される前の時代、サッカリンは加熱によって苦味を感じるためソース後がけが主流となった。現在もソース後がけの店は昭和21〜31年創業と推測できる。
・終戦直後でも北海道は小麦粉やソースに頼らずに済む恵まれた状況であったため、コナモン文化が根付かず、ソース文化不毛の大地となった。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

#ヨンデルホン
#ソース焼きそばの謎 / #塩崎省吾(#ハヤカワ新書)
#ドクリョウ #ヨミオワリ
圧倒的な調査と参考文献の数に裏打ちされて、第二次大戦前後の政治や外交、あるいは食糧事情などから見えてくる、誰もが愛してやまない「ソース焼きそば」の謎が解き明かされる。読みごたえあり。

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2025年01月07日

Posted by ブクログ

今年読んだ本で言うと「ポテトチップスと日本人」も思い切り堪能しましたが、この「ソース焼きそばの謎」もなかなかに満喫できる新書でした。マニアックという言葉では言い表せられない探求力でなんとなく語られている俗説を打破していきます。例えば大阪発祥説、戦後普及説などなど…その中で今回、個人的に目から鱗的に理解できたのはお好み焼きの発祥でした。イカ天、エビ天が具材の標記とか味のバリエーションではなく、料理の形態模写であったこと。浅草染太郎のシューマイ天も食べたことありますが、なんでこれがシューマイなのだろうと不思議な気持ちになったことを思い出しました。でもそのワンダーな気持ちが、お好み焼きのDNAだったのだとは!日本人と小麦粉の関係、製粉機、製麺機の歴史、鉄板ファーストフードビジネスの来歴、ソースと人工甘味料の関係、どんどんソース焼きそばから拡がる社会と文化と政治の変化に振り回されました。もはや「焼きそば学」と言える世界だと思いました。たまたまNHK特集の再放送で1978年11月17日の番組「食卓のかげの星条旗 〜米と小麦の戦後史〜」観ましたがその内容であるアメリカの小麦輸出戦略とも重なり合います。そうとうにドメスティックなソース焼きそばですが、鉄板の上から見る世界は広い!そしてスパイシーで濃厚でした。

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2023年12月15日

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ソース焼きそばの発祥を文献や取材から丁寧に読み解いた本。大阪発祥じゃなかったとは!という驚きと共に食文化の歴史への興味をくすぐられる。

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2025年01月28日

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ソース焼きそば、考えてみれば不思議な食べ物である。うどんでも蕎麦でもなく中華麺を蒸して鉄板で焼き、醤油でも塩でもなくソースで味を付ける。東洋起源と西洋起源の素材がなぜ日本で出会って全国で花開いたのか。そんなソース焼きそばの歴史について、複雑怪奇な謎を1つ1つ丁寧に紐解いていくミステリー仕立てで物語は進んでいく。

それもそのはず、この本の出版社は早川書房でありタイトルは『ソース焼きそばの謎』なのだ。諸説あるソース焼きそばの起源についても、戦前戦後の時代背景をベースにかなり確実なところまでアプローチしているので、文献的な価値もある。そして全国各地に派生するご当地焼きそばの流れについても、様々なローカル的要素の影響を受けつつも進化している様子が理解できる。

個人的には、某食品メーカーで焼きそばの担当だったこともあって、一日20食は作って試食するような生活を送っていた。どうしてソースを後で加えるのか、焦げてしまう以外の合理的な理由を見つけられたのは最も納得した瞬間だった。

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2024年07月25日

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ソース焼きそばのルーツを探る。ご当地グルメに登場するほど全国に普及したソース焼きそば。その謎多い起源を多くの1次資料から考察する。
東武鉄道が関係しているところが意外。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ソース焼きそばに、まさかこんな歴史があろうとは思わなかった。
戦後に登場したみたいな話は確かにどこかで聞いたことはあったが、それよりも随分遡るというのも興味深かったし、材料調達や商売になるか(儲けが出るか)という点から丁寧に考察してあったのも面白かった。
歴史を追うという点ではとても真摯に書かれていた印象。
ただのソース焼きそばのオタクによる本と侮るなかれ、ちゃんとした歴史本だった。
焼きそばの全国普及をご当地焼きそばの歴史も絡めて考察しているので、地元の焼きそばの歴史や有名店も出てくるのも嬉しい。

注意点は、焼きそばの写真が多数出てくるので、読んでいると猛烈にお腹が空いてくる点かと。
鉄板でじゅうじゅう焼く焼きそばが食べたくてたまらなくなりました。
お腹空いた。

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2023年10月28日

Posted by ブクログ

何故、醤油でなくソースなのか?その発祥は何処?
ソース焼きそばの謎を各種の史料から読み解き、探索する。
全国各地の60を超えるソース焼きそばのカラー写真も掲載。
・昭和15年頃の浅草周辺の地図
・まえがき
・プロローグ 昭和11年の焼きそばマニュアル
第1章 ソース焼きそばの源流へ
第2章 ソース焼きそばの発祥に迫る
第3章 戦後ヤミ市のソース焼きそば
第4章 全国に拡散するソースの香り
・あとがき
・ソース焼きそば年表、参考文献有り。
各節ごとに節の要約有り。

ソース焼きそばの発祥を求めての探索は、ミステリーの如く。
多くの史料・資料や文献、書籍を調べ、店を訪ねての取材は情熱。
大正初期に既にあった中華料理屋。製麺機と屋台の支那そば。
明治・大正・昭和期の小麦粉の事情の変遷。
浅草、千束の店や屋台の焼きそばを検証。
戦前の、屋台のお好み焼きからのソース焼きそば単独へ。
戦後の、ヤミ市でのソース焼きそばの人気。
醤油よりもソースが入手し易かった訳と
ソース後がけスタイルの理由。
ヤミ市から全国に伝播したソース焼きそばは、
やがて各地で新たな食文化して芽吹く。
それら各地の焼きそばのルーツと現在のご当地焼きそば。
一口にソース焼きそばと云っても、膨大な参考文献で見る
ように、断片的であり、辿ることの困難さが窺える謎解きでした。
関東と、関西や他地域での事情の違いも興味深いもの。
その紹介するカラー画像の焼きそばが実に美味しそう。
ソース焼きそばを食べながらその歴史を味わうのも、また良し。

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2023年09月19日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  ソース焼きそばの源流へ
第2章  ソース焼きそばの発祥へ迫る
第3章  戦後ヤミ市のソース焼きそば
第4章  全国に拡散するソースの香り

<内容>
もう学術論文やん!?というのが正直な感想。特に第1,2章は様々な文献に当たり、巻末に強烈な出典注がつく。著者をここまで追い込んだ?のは、ソース焼きそば愛だろう。ソースの香り、もちもちとした食感、食事でも酒の肴でもOK!。確かに縁日の屋台に始まり、「日田やきそば」「そばめし」「富士宮やきそば」「横手やきそば」…。B級グルメとしてあちこちで名乗りが上がっている。食べたくなること請け合いである。

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2023年08月08日

Posted by ブクログ

ウスターソースで焼きそばを作って食べたくなる一冊
ソース焼きそばは東京発!?
後半が『かた焼きそばの謎』にあたるみたい

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2025年06月12日

Posted by ブクログ

audible67冊目。

なんとなく、大阪(関西)発祥と思っていたソース焼きそば。
身近な食べ物だからこそ、その歴史について実は知らないなあというものがたくさんあると思いました。
起源を突き止めようにも、必ず文字資料が残っているわけでもないだろうし、なかなか難しい。
でも、そのために、かつての社会情勢などを踏まえて考察することになるから、それはそれで面白いなあと感じました。

塩焼きそばや海鮮焼きそば、あんかけ焼きそばも好きだけれど。
やっぱりソース焼きそばの、あのジャンキーな感じがいいなあと再認識。
夫が作ってくれる焼きそばと、お祭りの屋台の焼きそば、どっちも食べたくなりました。

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

前半の浅草の話あたりは知らないことで面白かったが、後半は読み物としては、、、。資料としての価値はありますが。長田が重要な位置を占めていたことが分かったことが自分には良かった

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2024年10月15日

Posted by ブクログ

ソース焼きそばのルーツを探る一冊。諸説あるらしい起源を迫っていく様が必死で、何とも言えない熱意に溢れています。著者さんの焼きそばブログも見てみようかな。
yakitan.info

■ソース焼きそばは、もともとお好み焼きの一種。
■どうやら戦前の浅草にルーツがありそうというのが著者さんの説。歴史が興味深くて、
日本が関税自主権を取り戻す→海外製の粉と価格勝負できるようになる。粉を清に輸出するまでになる→東武線が出来て東京まで粉を輸送するルートができる→浅草は粉の仕入れに適した場所だった。
■浅草近辺の老舗が気になった。田原町の染太郎、千束のデンキヤホール、清川の大釜本店

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2024年02月13日

Posted by ブクログ

現代でもある「ソースあとがけ」の焼きそばは戦中戦後統制で砂糖が手に入らない時に、ソース業者がサッカリンやズルチン代用ソースを作った。それを焼きそばに入れたのがルーツ。サッカリンは熱に弱く、火入れをすると苦くなるため、あとがけにした。尚、代用の代用でチクロが後に使われたが、こちらは大変味が良かったという。166

鉄板でステーキを焼く「高級鉄板焼」の元祖は、
神戸みその。1945年焼け野原のなか、造船所で手にいれた鉄板でお好み焼きを焼いたのがルーツ231

前橋市あくざわは昭和23年以前創業202

「エンコ」浅草公園の愛称。コウエン⇒エンコ63

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2023年12月01日

Posted by ブクログ

熱い。
いやいいっすよね。こう言う本。
巻末の参考図書もそうだが、実際足で歩いて色々と検証されている。
焼きそば好きで全国食ってるだけやんと言う面もあるが。
で、著者なりに、仮説を立て検証している。誰もその検証を再検証していないのは学術書じゃないのでしょうがないのだが、それでも何年か何十年か先に、日本の食を研究している誰かが、紹介する一冊になるのではないかね。
大阪人としては、コナとソースは大阪やと思ってるからちょっと辛いが、どうやら焼きそばとかお好み焼きは、大正末期の浅草あたりから発祥したようなのだ。で、お好み焼きというのは料理そのものではなく、どうやら料理の「分野」で、そこに焼きそばも含まれていたようだな。

面白かったが、後半の具体的な焼きそば屋はほとんどぶっ飛ばした。

で、なぜ醤油でなくソースだったのかっていうこの表紙の問いは、一瞬で終わるのでそこの考察を期待してダメです。

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2023年10月09日

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