あらすじ
指先をほんの少し動かしただけで、瞬時にして人を傷つけ、ときにはその激しい言葉が人の命まで奪ってしまうネット上の誹謗中傷。テクノロジーが発達した現代の新たな問題にとりくんだのは、全国でもトップの東大進学率を誇る開成中学の神田邦彦教諭(国語担当)だった。神田先生の特別授業を追った白熱の記録が、一冊にまとまった!
ネット上の誹謗中傷はなぜ起こるのか?
どうしたらなくせるのか?
現代社会に忽然と姿を現し、いまだ解決の糸口さえつかめていないこの大きな課題に対して、開成中学の生徒たちは、神田先生とともに真剣に考え、議論を戦わせた――。
その迫真の授業を再現するとともに、新聞記者である著者と、授業に参加した生徒たちとの対話、授業をふまえて生徒たちがまとめたレポートもあわせて掲載し、この問題へのさまざまなアプローチを紹介していく。
巻末には、リアリティ番組『テラスハウス』に出演した際の言動がネット上で批判の的となり、自ら命を絶ったプロレスラー・木村花さんの母・響子さんが千葉県の小学校で行った特別授業の全容も掲載する。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いい本だった。
中高生を対象にしているので、文章が読みやすく、また授業を受けた中学生の考えも、なんというか汚れちまった大人になさそうな、真っ直ぐ問題と向き合う姿勢で考えられていて、自分の純粋な部分を刺激された。
じぶんごととして捉える。
考えることをあきらめない。
私はこのふたつのことを忘れずSNSと関わっていきたい。
亡くなられた花さん。
事件後のニュースでやっと知ったというくらい、自分とは遠い人だと思っていたけれど、お母様の産み育てたお話を読むと、優しくて可愛らしく、元気な女の子だったのだな、ご近所さんにいたら、挨拶したいくらいのお子さんだった。 あれは酷い演出だった。それくらいはテラスハウスを見てなくてもわかる。そして扇動された人々の中傷の数々。そんなことにならないために、私たちは学び、考えつづけなくてはと思う。
授業のなかで扱われた、スマイリーキクチさんの冤罪事件の本も読みたい。
Posted by ブクログ
SNSによる中傷問題を学生と共に深く考えていく内容でした。キクチさんの事件も花さんの自殺も報道ベースでしか知りませんでした。被害者の2人の生死を分けたのは、リアルの繋がりなのかなと思いました。個人的には、SNSは見る専なので、発信は今後もしないつもりです。もしする際には、自分ごととして捉えてやりたいと思います。
Posted by ブクログ
加害者にならないためにはどうすればいいか。
良くないことだね、気をつけよう。ではなく、中学生たちが何故ネットでの中傷が起こるのか原因から考えます。
匿名、集団、承認欲求、厳罰化、教育。思考停止せず考え続けること。それが必要。
Posted by ブクログ
マズローの欲求五段階説を持ち出してネット投稿への依存を「安全を担保された状態で複数の欲求を満たせる」に見出す、あったまいい授業だわと感心しいしい読みました。表面的な優等生の回答ではなく自分事としてきちんと考えることを重視していて鋭さがあった。