あらすじ
昭和四十六年。中学教師の松子はある事件で学校をクビになり福岡の実家を飛び出す。それが彼女の転落人生の始まりだった。愛した同棲相手が自殺。さらに不倫相手に裏切られ、風俗嬢として生き抜く決意をするも覚醒剤に溺れ――。人生の荒波に翻弄されながらも小さな幸せを求め、懸命に生きる松子の運命は。数々、映像化された不朽の名作の新装版。
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Posted by ブクログ
面白かった!上巻で感じた奇妙な自由さは、下巻ラストで誰かの記憶に強烈な光として刻まれるという形で裏切られ、そして昇華したように思える。たった一人でいいから、誰かの記憶に爪痕を残すことの重みを下巻は描ききっている。
あの後の笙は法曹を目指すんじゃないか。
続編のゴールデンタイムも読みたい。
Posted by ブクログ
映画化やテレビドラマ化もされたベスト・セラーを、いまさらながら読んでみた。読んでみてわたしがまず思い浮かべたのは、じっさいに起きた「湖東記念病院事件」のことである。この事件では勤務していた看護助手が「犯人」として逮捕され、当該人物が智能に障礙を持つ「供述弱者」であったことから、恋愛感情を抱いた刑事の取り調べに対して迎合してしまい、結果として冤罪として有罪判決を受けることになってしまう。その後再審で無罪が確定した実在の人物と、作中で何度も収監されるような人物を重ね合わせることが不適切であると重重承知したうえであえていうならば、わたしは本作の主人公である川尻松子も、同事件の看護助手と同様に、智能に問題を抱えているのではないかと思う。ほんらい教師を務めるような智識や倫理観を有しながら、肝腎なところで適切な対応ができずに泥沼にハマっていったり、交際相手に言われるがまま流されるがままの生活を送ることで結果的に自身の人生にも深刻な影響を与えたりと、とても「健常者」のふるまいとは思えない。作者がほんとうに智能に問題がある人物という設定で書いたかどうかはわからないが、いずれにせよ、そんな人物の最期として無惨に殺されてしまうというのではあまりに救いようがない。有名な映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』の主人公は智能に問題を抱えながらも、幸福な人生を過ごすことができているが、本作はまるで「逆『フォレスト・ガンプ』」である。