あらすじ
日本でRPGはなぜ人気をえたか。物語はゲームでどう表現されるようになったのか。
国民的RPG、ドラクエとFFの功績をあらためて徹底検証!
「国民的ゲーム」として、日本のカルチャーに大きな影響を与えているドラゴンクエストとファイナルファンタジー。日本ではRPGがなぜこれほど人気なのか。ゲームで物語はどう表現されるようになったのか。TBSラジオ『アフター6ジャンクション』でもおなじみ、元スクウェア・エニックスのプロデューサーで、新進気鋭のゲームデザイナーである著者が、ゲームシステム・世界観・制作体制に注目し、ドラクエとFFの功績をあらためて検証する。
●鳥嶋和彦さんが「ドラクエ・FF誕生の時代をかたる」ロングインタビュー収録!
●TBSラジオ「アフター6ジャンクション」人気特集シリーズ「国産RPGクロニクル」書籍化!
ライムスター宇多丸さん(ラッパー/ラジオパーソナリティ)
「ドラクエ・FF弱者の私でも(笑)しっかり超絶、面白いッ!」
佐久間宣行さん(テレビプロデューサー)
「夢中になったゲームの歴史は僕らの人生の歴史でもある。ずっと読み続けたい本だ!」
【目次】
はじめに
ゲームって何なんだろう?
本書について
なぜ、いまドラクエ・FFを語るのか
オタク的想像力の中心
異世界≒ゲームの世界
和製西洋ファンタジーを作ったRPG
第1回 ファミリーコンピュータ時代編
1 RPGの誕生と黎明期
2 ドラゴンクエストの誕生
3 ファイナルファンタジーの誕生
4 ゲームシステムから読み解く両シリーズの思想
5 ドラクエ、FFは何を物語ったか
6 イラストと音楽で比較するドラクエとFF
7 世界観をあらわす数字のケタ
8 ドラクエ、FF両シリーズの個性とは
第2回 スーパーファミコン時代編
1 国産RPGブームはなぜおきたのか
2 国産RPGの「カンブリア爆発」
3 多様な物語形式を実験するドラクエ
4 スーファミとFFの幸福な出会い
5 青春群像劇としてのFF
6 ドット絵がいいと感じるのはノスタルジーなのか
第3回 プレイステーション時代編
1 販売本数の推移で見るドラクエとFF
2 躍進するFF
3 混迷するドラクエ
第4回 プレイステーション2時代編
1 エニックスとスクウェア、まさかの合併
2 より「映像メディア的」になっていくFFシリーズ
3 新しいドラクエ像
第5回 プレイステーション3とニンテンドーDS時代編
1 困惑の『FF13』
2 新しい時代の準備をした『ドラクエ9』
第6回 プレイステーション4時代編
1 旅の経験をきわめるFF
2 王道をきわめるドラクエ
インタビュー 鳥嶋和彦さん
「あのとき、RPGならマンガとは異なる、
まったく新しい物語体験を生み出せるという感覚があったんだよね。」
ゲームとの出会い
『ドラクエ』プロジェクトのたちあげ
メディアミックスへの考え方
マーチャンダイズを学ぶ
遊びながら作った『ドラクエ』
FF坂口博信との出会い
『FF5』制作時のアドバイス
『クロノ・トリガー』を作ったわけ
『クロノ・トリガー』の続編がでなかった理由
「Vジャンプ」でやりたかったこと
ゲーム業界に関り続けたらやりたかったこと
これからゲームはどうなっていくか
おわりに
これからのドラクエとFF
いまRPGが存在する意義
「誰でも遊べるゲーム」の夢
主要参考文献
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ドラクエとFFの開発歴史物語。初代ドラクエは64kb!制約のある中でどうすればUXを高められるか、広告も同様。
巻末の鳥嶋和彦さんとの対談が感動ものです。
Posted by ブクログ
ドラクエ、FFに興味があったから手に取ったのだが、RPGやゲーム機の歴史、そして日本でRPGがどう発展してきたのかまで語られていたのは嬉しい誤算だった。
著者はスクウェア・エニックスのプロデューサーも務めた人物であり、それぞれのゲームのコンセプトと思想、どのように相互作用してきたかが時代背景とともに丁寧に、ときには笑いを交えて説明されており、最後まで楽しく読むことができる。
子どものころ毎日のように遊んだゲームの裏話をこんなに詳しく聞けるなんて、満足度の高い本だった。
Posted by ブクログ
狙ったわけではないが、自分のお気に入りボードゲーム(ではないと思うけどジャンルがわからない)「さんぽ神」を作ったドロッセルマイヤーズの中の人が書いた本だった。
というかこの著者、元はスクエニという普通にゲーム畑の人で、そっちで10年、ボードゲームに移動して10年というデジタル・アナログ派のゲームプロだった。
そんな人による、JRPG二大巨頭であるドラクエ、FFの功績に関する検証本。
自分はそれぞれの3くらいから入ったし、シリーズはほぼすべて遊んできているので功績と言われてもピンと来ないが、まあ、この2つがなかったゲーム業界は想像できないから、改めてそれらがどうすごかったのかを説明してくれて非常におもしろく読めた。
というか、そういう説明の本を見かけてしまったら買う以外ないよね…
ゲーム遊んだんだから何でも知ってるぜ!と思いきや、ゲームの中身以外の話もたっぷり載っている。
例えばFF13が実は「ファブラノヴァクリスタリス」という超巨大プロジェクトの一つであり、アギトXIIIはFF零式に、ヴェルサスXIIIがFF15になったというのは初めて知った。ファブラノヴァクリスタリスという謎単語は聞き覚えがあるといえばあるが… ってか零式は遊んだことないし、FF13はクリアしたはずだけど、13-2とかはもうやったかどうかも定かじゃないな…
シリーズはほぼすべて遊んできていると言ったな。あれを言い直させてもらおう。「ナンバリングシリーズはほぼすべて遊んできている」でした。
・構成
流れとしてはもちろんドラクエとFFの1から入り、DQ11とFF15まで一つずつしっかりと検証していってくれる。
そんなことよりFF15が2016、DQ11が2017というのに鳥肌が立った。あれ、ホラー小説かな?
2023年6月30日発行ということでFF16に関しては触りの説明くらいだけだった。
…しかし、初期の頃は毎年リリースされていたのに、今ではFF15から16まで8年… 時間がかかり過ぎというのはあるが、それよりもかかる金額がもうなんか別次元だよなー。ゲームの値段は大して変わってないし、何かがおかしいような気もする。
・DQ1〜11、FF1〜15
まず、ドラクエ1というゲームを受け入れさせるためにプレイヤーを育てるという、土壌を育てるアクションが非常に面白かった。今ではRPGと書いて読めない人はいないが、ファミコン時代は日本では特にロールプレイングゲームなんて知名度がほぼなかったため、RPG(ロールプレイングゲーム)と毎回書く必要があったレベルとのこと。
ポートピア連続殺人事件が、ドラクエを作るための布石だったことや、その頃の重要開発陣たちがどうやって選ばれてきたかという話が語られ非常に興味深い。
そして、ジャンプで特集をしてRPGの遊び方を一つずつ説明していくことで遊ぶ下地を作り、発売を待つという丁寧極まりないキャンペーンを行ったらしい。「主人公はキミ自身だ!」みたいな。確かにマリオはマリオであってプレイヤー自身ではないから、ゲームの中に自分を投影するという新しい考え方を浸透させる必要があったということかー。
この、伝説の始まりパートがさすがに一番おもしろかったな。
そしてスーファミ時代に入ると一気に増えるRPG。RPGは基本的にシステムは同じで、ストーリーが異なるだけだから、ある意味作りやすい、という説明があったが、そう言われれば確かに。だからRPGツクールというのもあったわけだし(本の中でも言及されていた)。
他にも、今はもう普通だが確かに当時は衝撃的だったスクエニ誕生についてももちろん触れられている。
というか、まさにスクウェアとエニックスの合併タイミングである2002/11にエニックス社員だった著者、当時の生々しいエピソードを語ってくれる。
当時エニックスの社長だった本田圭司さんが前に立ち、こういったのです。
「エニックスは、株式会社スクウェアと合併します」
それを聞いた僕ら社員からは、「ドッ」という笑い声が起きました。
笑ったあとにシーンとなって「え…マジで?」ってなるやつだったんだろうな。いやー、こういう高解像度エピソード、大好物です。
・まさゆきの地図
ドラクエ9の章で、自分もお世話になった「まさゆきの地図」について2ページかけて説明しており、とても良い。ドラクエ9のストーリーは全く覚えていないが、メタルキングを狩りまくった記憶は確かにある。それ以外にも、ヨドバシかどっかにDSを持っていって地図をひたすらにすれ違いしまくった記憶もある。やっぱりあれはかなりの重要な歴史だったよなー。ストーリーは覚えてないけど。
このドラクエ9のストーリーのシンプルさに関しても検証しており、そのためにもDQ9を1から遊びなおしたらしい。偉いなー。
というか、ファルシのルシがコクーンでパージでストーリーがわけわからないFF13と、携帯機でナンバリングを出したDQ9が同じ年に出たって、今思うとすごいな… 合併していなかったらともかく、合併してこれだもんな。それぞれ突き抜けすぎだ。
検証が終わったあとには、ジャンプ元編集長である鳥嶋さんとの対談があり、今でも全然通用する考え方ばかりでタメになる。
「プレイヤーとキャラクターが連動する」という奇跡をちゃんと考えてゲームを作ってほしいな。それがゲームの面白さのそもそもだよね。
・まとめ
ゲームが好きであればドラクエなりFFのどれかは遊んだことがあるだろうし、検証も想像やトンデモなものはなく、面白く読めると思うのでオススメ。
・注釈がいい本は名著
文章下の注釈が地味に面白い。普通の注釈なら二行目は書かれなさそうなものが多い。
例えばMOTHERの紹介は;
1989年発売、糸井重里が企画・シナリオ・プロデュースすべてを手がけたRPG。
ドラクエに感動した糸井が任天堂に企画書を持ち込んだことから開発が始まった。
他にも植松伸夫の説明で実はグラブル声優をしてたとか、ドラクエ初代Pの千田さんが吉田戦車の親類だとか。
伝説のオウガバトルで単にシミュレーションRPGとせず、「民衆の支持度を表す「カオスフレーム」の維持がキモ。都市解放用のクリーンな部隊と汚れ役の部隊を分けるのがコツ。」という濃い説明があったり。
映画のファイナルファンタジーは大コケしはしたが、日本の3DCGクリエイター育成に多大な貢献をしたとか。
FF13で神話をベースにしたストーリーというところでHADESが話題に出て、しかもちゃんと「神々の好感度を上げていく恋愛ゲーム的な側面あり」、という追加説明まで。
マカロニほうれん荘が3DOでゲーム化されたことは知らなかったわ…