あらすじ
二〇〇九年の総選挙で、民主党は歴史的大勝を収めた。政権交代後、矢継ぎ早に政策の見直しを打ち出して注目も集めた。しかし、テレビで顔を売る一部の者を除いて、我々が「普通の政治家」の日常を知ることはない。「地盤、看板、カバン」に頭を悩ませつつ理想を追う“センセイ”の素顔とは──。当選二回の中堅代議士と、初出馬した新人候補に密着する中から、現在の政治システムが抱える問題をあぶり出す。
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Posted by ブクログ
2人の民主党代議士が徒手空拳から身を起こし当選証書を受け取るまでの奮闘記。想像を絶する忍苦と試練の毎日を虚飾なく克明にレポート。思いもよらない事実の連続。現行制度では、いかに志高い有為の人材であっても地盤、看板、カバンがなければ代議士への道は極めて至難。兎にも角にも捨てるもの、失うものがあまりに大きすぎる。本書で紹介されたお二人は幸いにも今回は当選できたが、次回どうなるかは全く不透明。恐ろしいことである。並の精神力では到底耐えられるものではない。他方、当選の裏には落選した人というのが少なからずいらっしゃる。一敗地に塗れた人たちの凄絶な日々は察するに余りある。激越な争いに曝され疲弊するうちに国家国民のための立志がいつの間にか選挙のため、利益誘導のためのものに変わり果ててしまう。まことにもって慙愧に堪えない。もったいないかぎりである。国を憂え真摯に救国を思う代議士の皆さん方が、些事に囚われることなく、その能力を遺憾なく発揮できる日の到来を切に願うものである。