あらすじ
南アフリカのボツワナに暮らす狩猟採集民、セントラル・カラハリ・ブッシュマン。丹念な会話分析と出来事を根底から把握する身体配列を手がかりに、その独特なセンスを浮かびあがらせる。権力と強制と傲慢を徹底して嫌い、みずからの生きる世界と粘りづよく交渉を重ねる彼らの社会は、私たちにもう一つ別の生の形がありうることを示している。直接経験に根ざした「等身大の思想」の実践を呼びかける、フィールドワークの結晶。
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Posted by ブクログ
ブッシュマンの住むアフリカでのフィールドワーク。専門書にも分類されうるだろうが、作者が密着した人物が何度も登場するため、一つの物語を読んでいるような面白さもある。ブッシュマンの社会では、子供につける名前が、その時々の記憶や情念を忘れないようにするためのものであるため、過去に基づくもので中には負のイメージのものや不吉なものもある、というのが、子供の幸福を願って未来に向けて明るいイメージの名づけをする日本と対称的で面白かった。自分とは全く異なる他者の世界に入り込み、理解することで、更に自己の属する社会をも理解する、というマリノフスキー(たぶん)が唱えた文化人類学のフィールドワークの意義とは正にこれかもしれない。