【感想・ネタバレ】海の祭礼のレビュー

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Posted by ブクログ

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有色の肌に生まれ、超えられない米社会の壁。自らのルーツを日本に見る。捕鯨船に乗り込み、ボートで単身島へ渡る。鎖国下の日本。どういう運命が待つかわからない。差別はそこまでの覚悟をさせる。座敷牢で暮らすが、丁重に扱われる。日本語を覚える一方、英語を教える。結局送り返されることになるが、通詞たちが生の英語に触れたことは、その後の日米交渉に計り知れない功績をもたらす。…途中、主人公が入れ替わり、最後は史実の叙述になる。焦点定まらず、小説としては読みずらいところもあるかもしれない。それでも、読後は充実感を味わえる。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

画像は新装版を使いましたが、実際は平成元年10月5日5刷りのハードカバーを読みました。

江戸後期から幕末にかけての外交史を語っている。小説だがセリフが少なく、まるでノンフィクションを読んでいるようだ。それでいて読みやすい。

前半では、日本に不法入国したアメリカ人のラナルド・マクドナルドが、オランダ語通詞の森山栄之助らに英語を教える過程を通じて日本の外交を描き、後半では幕末期の各国との外交の歴史を、森山が大通詞から外交官として活躍する流れとともに描いている。

後半はアメリカの横暴な態度に腹を立てながら読んだ。無理難題を押し付けてくるペリーに対し、日本側も譲歩しない。外交経験がほとんどない日本にしては、よく頑張ったと思う。それでも軍事力を盾に脅しに開国を迫るアメリカ。「日本は、平和主義を理念とするアメリカと一刻も早く通商条約を結ぶべきだ、…(本文より)」とはよく言ったものだ。こうして「パクス・トクガワーナ(徳川の平和)」は終焉を迎える。

そんな中で、森山とマクドナルドの交流にはほっこりするものがあり、二人の別れのシーンは不覚にも涙してしまった。厳しい現役生活に疲れ切った晩年の森山を慰めたのも、マクドナルドとの思い出だった。最後に二人を会わせてやりたかった。

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2017年08月26日

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