あらすじ
現在、ヨーロッパでは悪魔祓いを行う「エクソシスト」を求める人々が急激に増えている。実際に悪魔祓いの儀式に参列した稀有のノンフィクション作家が、エクソシストたちの証言を交えながら、現代人の抱える精神的な危機を読み解く。欧米社会を見る目が変わる、渾身の報告書。
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Posted by ブクログ
フォトリーディング。
高速を交えて熟読。
題名からはおどろおどろしい内容を想像したが、しっかりと取材してある社会論。悪魔祓いを通して現代社会を見つめるような本。イタリアが中心だが、現代社会一般についても洞察の深い内容だと思った。星五つ。
Posted by ブクログ
「エクソシストとの対話」の続編。「対話」から20年、エクソシズムを取り巻く状況の変化や、「対話」に出てきたエクソシストたちの近況から始まって、現代人がエクソシズムを求める理由を探っている。
「悪魔」という概念は、エクソシズムを語る上で避けて通れない。しかし、「悪魔」をどう捉えるかは、千差万別だ。どの解釈でも「悪魔」を理解するためにはハリウッド的な悪魔像を頭から追い出さなくてはいけないということは共通している。
悪魔を「知性を持つ外的存在」ではないかという神父もいれば、「人間の意識できない領域にある何かを表す概念」だという精神科医もいる。
私は精神科医の意見に賛成。でも、神父の意見にも正直魅力を感じる。神秘的なんだもん。
読んでいる最中、ミヒャエル・エンデの『モモ』のジローラモの台詞を思い出した。
「みんな俺の話に夢中になって自分を忘れて、モモに話を聞いて貰って自分に立ち帰ったんだ。それでよく生きることができていたんだよ」
ところどころ間違っていると思うけど、意味は大体合っているはず。
誰にでも自分を忘れる時間と、自分に立ち帰る時間が同じくらい必要なんだ。エクソシズムの儀式の様子は、自分を忘れながら自分に立ち帰るための儀式に思えた。
精神医療の芸術療法も、それと似ているんじゃないだろうか。芸術療法についての知識はほとんど無いから、イメージだけど。
どんな人でも、どんな時でも、どんな状況でも、とてもそうは信じられない時でも。人には自分自身を癒す力がある。それを引き出す方法の一つがエクソシズムじゃないかな。
重要なのは方法ではなくて、その人が癒されたという事実だ。
旧宗教の衰退によって社会で共有する文化や習慣や価値観が崩壊したから、カルトや新興宗教が増えた。ふーん、なるほど。
でも、どうして宗教が必要なんだろう?私には信仰の習慣がないからかな。よくわからない。
Posted by ブクログ
一般的にはほとんど知られていないエクソシストの実際が、イタリアを中心にレポートされていて興味深い。コンパクトで読みやすいけど、概略という感じでもあるので、もうちょっと掘り下げたものも読みたいなぁ。
Posted by ブクログ
1999 エクソシストとの対話 2012文庫化
2010 エクソシスト急募 なぜ現代人が「悪魔祓い」を求めるのか? 本書
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1973 ウィリアム・フリードキン監督「エクソシスト」
2005 スコット・デリクソン監督「エミリー・ローズ」
2011 ミカエル・ハフストローム監督、アンソニー・ホプキンス主演「ザ・ライト エクソシストの真実」
2023 ジュリアス・エイヴァリー監督、ラッセル・クロウ主演「ヴァチカンのエクソシスト」
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10年単位、20年単位で、流行も考え方も常識も社会も変わるので、どの時点が最先端とも、どの時期が非合理とも、言い切れないが、
本書は少なくとも冷静な視点を保っている。
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オカルトではない。ヨーロッパの「社会現象」だ!
現在、ヨーロッパでは悪魔を祓う「エクソシスト」を求める人が急激に増えている。イタリアの大学ではエクソシストを養成する講座までもが開始された。
――なぜ、現代に「悪魔」なのか?
実際に悪魔祓いの儀式に参列した稀有のノンフィクション作家が、悪魔祓い(エクソシズム)が辿ってきた歴史、社会的背景、著名なエクソシストたちの証言を紹介。若者のあいだに広がる悪魔崇拝や現代人が抱える精神的な病に触れながら、ヨーロッパ諸国やカトリック教会がおかれている危機的な状況を読み解く。欧米社会を見る目が変わる、渾身の報告書。
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まえがき『エクソシスト』の知られざる事実
第1章 エクソシストが足りない
第2章 カトリックとは何か?
第3章 聖書のなかのエクソシズム
第4章 エクソシズムとは何か?
第5章 史上最高のエクソシスト
第6章 「悪魔祓い」という聖なる儀式
第7章 近代のエクソシズム事件
第8章 欧米の悪魔主義
第9章 精神医療とエクソシズム
あとがき エクソシトを巡る旅
Posted by ブクログ
続編ではないが『エクソシストとの対話』の10年後に書かれた本書は、良くも悪くも新書である。前作に比べ格段に読み易くなっておりノンフィクションと言うよりは小辞典みたいな構成。公式エクソシストの現状について手っ取り早く知りたい人にお勧め。但、その分『~対話』にあった著者の手探り、戸惑い、逡巡、共感等の臨場感は失われている。私は前作の後日談として楽しんだ。話が行きつ戻りつして少し読みにくいが、やはり前作から読むのが正解だと思う。情報として整理されてしまった本作に比べ登場人物が生きている。特にカンディド神父は!