【感想・ネタバレ】昭和天皇とワシントンを結んだ男―「パケナム日記」が語る日本占領―のレビュー

あらすじ

昭和天皇の側近・松平康昌と米国中枢部の接点に位置し、GHQを介さない非公式ルートの鍵を握る謎の人物がいた! 流暢な日本語、人懐こい風貌、情報を嗅ぎ分ける類い稀な嗅覚……。歴代宰相の懐に食い込み、機密情報をワシントンに送り続けたC・パケナム。新発見の日記を手がかりに、その全貌を追うノンフィクション。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

パケナムという名前は、ウィロビー/キーナン/カーなどと並んで近現代史にしばしば出てくる。とにかく「うさんくさい外人」というイメージであったが、本書によりはじめて、戦後史に彼の果たした大きな役割が明らかになった。
神戸に生まれ、名門貴族一族に連なる英国人で有りながら、実は明治日本人としての気質を色濃く持っていたパケナムは、吉田茂、マッカーサー経由でなく、別のルートから昭和天皇に然るべき情報を伝え、更に天皇のメッセージを米国の中枢にダイレクトに伝える貴重なパイプとして活躍した。結果戦後日本の方向は相当に変わったわけである。
青木富貴子氏は、パケナムの真実を追い求めて、世界中を綿密に取材し、資料を集め、複雑なようで意外に単純、一本気な好人物パケナムを鮮やかに描き出している。
近現代史に感心をお持ちの方はまさに必読書といえよう。

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2011年08月21日

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