あらすじ
真梨幸子が放つネコミス登場!
人を魅了してやまない猫たちに惑わされた愚かな人間の行く末、そして猫たちのその後--。
第一話 まりも日記
第二話 行旅死亡人~ラストインタビュー~
第三話 モーニング・ルーティン
第四話 ある作家の備忘録
第五話 赤坂に死す
最終話
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Posted by ブクログ
真梨幸子『まりも日記』講談社文庫。
自虐的な連作短編風猫ミス小説。
何とも判然としないストーリーなのだが、ドロドロした感じは、いかにも真梨幸子らしい。女流作家の数奇な激動の人生を傍らでひっそりと眺める猫のまりも。
猫という生き物は余り媚を売ることが無く、我関せずという感じで、なかなか手強い生き物である。それでいて、突然懐いて来るのだから、全く不思議だ。
『第一話 まりも日記』。猫の奴隷と化した憐れな独身女性の物語を描くイヤミス風猫日記。猫を飼い始めてから、坂を転げ落ちるように破滅へと向かう女流作家。
派遣社員で食いつなぐ年収200万円弱の売れない女流作家が猫を衝動買い。僅か5万円という売れ残りのブリティッシュショートヘアに『まりも』と名付け、自宅マンションで飼い始めるが、これが何とも金の掛かる猫だった。餌代に病気に手術に暖房費と次々と金が出ていき、カードキャッシングも限度額に達し、最後の頼みと消費者金融に走り、ついには自己破産という状況に。
『第二話 行旅死亡人〜ラストインタビュー〜』。これもイヤミス。創作と現実とが混沌とするストーリー。こんな結末になるとは。
デビュー30周年を迎えた55歳の作家、平間唯子が雑誌のインタビューを受ける。インタビューの中で言及される『カロート』という小説に描かれた内容は創作なのか、それとも……マノンという名前の猫が登場。
『閑話』。白いペルシャ猫のマノンとブリティッシュショートヘアのまりもの邂逅。
『第三話 モーニング・ルーティン』。やはり猫が登場。都内から田舎に移住するまでがドロドロ。
都内のマンションに暮らす年収1,700万円の夫婦共働きのパワーカップル。東日本大震災の日に起きたある出来事を切っ掛けに離婚する。離婚した女性は原発事故の放射能を恐れ、田舎に移住し、格安で古民家を借りる。その家にはクロスケという猫が居付いていたが、首輪には『まりもさん』という名前が……
『閑話』。再び猫同士の会話。
『第四話 ある作家の備忘録』。急展開の第四話。そして、やはりイヤミスな展開に。
『第五話 赤坂に死す』。作中作と言ったらいいのか、何とも複雑な構造。
第一話に登場した売れない女流作家は『ドロミスのクイーン』と呼ばれまでの売れっ子になり、『まりも日記』を執筆する。
『閑話』。
『最終話』。再び落ちていく女流作家。ハッピーエンドで終わるわけが無いよな。
定価770円
★★★★
Posted by ブクログ
以前NHKの猫番組に出演していたのを見て、とても印象的だった作家さん。本屋さんでこの本を見つけ、思わず手に取った。
冒頭の『まりも日記』に真梨さんの面白さが溢れていて好き。