あらすじ
業界トップ企業の法網くぐり抜け闇商法!
大阪市のメインストリート御堂筋に2025年、大阪のランドマークとなる淀屋橋ツインタワービルが誕生する。その裏で一つの理不尽な事件が闇に葬られていた――。大和ハウス工業が超一等地であるこの土地売買の仲介を口約束で依頼し、契約締結後に仲介手数料を反故にしたのだ。売り主・三菱東京UFJ銀行のキーマンである頭取、買い主・大和ハウス工業の社長、仲介業者ともに高校の同級生。友情から始まった話は、億にものぼる仲介料踏み倒しというありえない結末に終わった。
グループ売上高4兆円を超える業界トップの大和ハウスはじつは業界内でもタチの悪さが評判だ。いわく、契約などの書面を交付せず、全て口約束で強行する。支払い・契約を先延ばしにする等々。著者は淀屋橋以外でもその横暴を経験していた。覚書・契約書を結ばせず口約束だけで進行し、後出しで条件を翻す。躍進を続ける優良企業は「数字が全て」の違法体質なのか。義理人情を逆手にとった大企業に翻弄された不動産業者の真実の告発!
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Posted by ブクログ
著者には同意できない。
高校の同級生という「友情」を経済取引の意思決定の最重要要素であるかのように扱う前提に共感できないし、同級生のつながりで話を持ちかけた三菱東京UFJ銀行の永易氏がこっそり動いてくれていたとして、それを裁判や本書で殊更に強調するのは、それこそ永易氏への強烈な裏切りではないかとも思ってしまう。三菱東京UFJ銀行がそうした人脈ではなく経済合理性の上で大和ハウス工業への土地売却を決定したのだとしたら、著者らの動きはほとんど報酬に値するものではなく、それこそ訴訟直前に大和ハウス工業側が示してきた1000万円程度の謝礼で十分に御の字ではないかと思えてしまう。実際に著者らが行ったことは、永易に話をしたことだけなのだから、それで「仲介業務をやりとげました」というのはあまりにも、、、という印象。裁判の中で取り上げてもらえなかったと不満をぶつける各陳述書も、大和ハウス工業の普段の行いの悪さ(これは本当だろうが)をあげつらって、「そんなやつらの言うことだから、今回の主張も嘘ですよ」という程度の間接的なもので、本件の本質部分は依頼内容を明確化していないことと、そもそも動いた内容が口利き程度でしかなかったことにあると思った。
ただ、本書を手に取った目的は、不動産業界や不動産コンサル業界の生きた事例からその雰囲気や実情を知ることだったため、その目的が一定達成できたことから星3つ。