【感想・ネタバレ】ダーウィン・ヤング 悪の起源のレビュー

あらすじ

末満健一氏による舞台化で話題! 真実と嘘、愛と像、自由と孤独、罪と罰、善と悪、滅亡と繁栄……人間の究極の葛藤を描いた、壮大にして濃密な人間ドラマ。罪を犯さずして、大人になどなれるだろうか――。

1~9地区まで区分けされた階級社会に生きる16歳のダーウィン・ヤングは、最上位の1区に育ち、トップ校に通う。ダーウィンは官僚の父・ニースに連れられ、ジェイの追悼式に毎年参列している。父の親友であったジェイは、30年前に16 歳で死亡。9地区の人間が起こした強盗被害に遭ったとされているが、犯人は不明のまま。唯一、犯人探しに執念を燃やすのはジェイの姪・ルミだ。ダーウィンは恋心を寄せるルミから、ジェイのアルバムから不自然に消えている写真があり、それが事件の鍵を握ると打ち明けられる。ダーウィンはルミと一緒に謎を解く旅に出るが、そこで明かされたのは、ひた隠しにされていた世界の光景と自身のルーツだった…。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

まだ社会の汚れを知らない少年だったダーウィンは父の罪を知ってしまったことにより、嘘をつかずに大人になることは出来ないのだと悟る。そして愛する人を守るために犯す罪は自らの正義を貫くことであり、その罪悪を乗り越えてこそ偉大な人物になれるのだと犯罪への合理性を見つけてしまう。
「自分はプライムスクールだ。プライムスクールは僕だ。」
第1地区という階級社会から外れることは出来ない。
罪は克服してしまえば良い。強者だけがこの第1地区に生き残る。生物の進化論のように...
純粋な良心を持っていたもう一人の自分と決別してしまったシーンは芥川龍之介の羅生門を思わせた。

正義は時に暴力となる。
真実は必ずしも人を幸福にするとは限らない。
極端すぎる格差は社会の歪みを生み出し、尊厳を守るはずの法は次第に人を追い詰めていき、逃げ場を失った人々は罪を犯す。それを隠すために更に罪が増える。
悪の根源とは、人間という存在なのか。
罪を生み出したのが愛であるというなら、その救いも愛ではないのか。
「罪も許しもみんな人間の作り出したものだから、世の中に人間が人間に許されぬ罪はない」
レオが残した言葉を真に受け止めることができる日はダーウィンに訪れるのだろうか...

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2023年11月19日

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