あらすじ
「死にたい」と思ったことがある人は人口の2~3割だという。そして全死因のうち2パーセント弱を自殺が占めている。死にたくなったらどうするのか、自傷行為と自殺は違うのか、自殺予防の未来など、心理学の最新の知見をもとに考える。
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Posted by ブクログ
すごくよかった、淡々とした書かれ方で大変読みやすい。見方によっては冷淡だとか思うかもしれないが、私はそれを好ましく思った。
しかしながら読むタイミングと薦める相手はよく考えるべきで、落ち込みが激しい時や気分の波に揺られているときは薦められないなと思った。
Posted by ブクログ
p.63
「死にたい」と打ち明けた人間が最も恐れるのは、意を決して行った重大な自己開示が軽く扱われることだからです。
p.64
「死にたい」という気持ちに向き合うということは、向き合う(向き合わされる)側にとってもとてもしんどくて恐いことであり、できれば避けたいものだからです。
p.68
共感することと、肯定することを混同しているかもしれません。
p.73
考えを変えていくためには、頭の中で論理的に考えることだけではなく、「ああそうだったんだ、自分の考えは違ったのかもしれない」という変化に対して感情的に納得できる体験が必要です。
p.78〜79
「死にたい」という訴えが強烈で、そこに目を奪われる分だけ、背景にある問題が見えなくなります。
p.79
あまり期待をしすぎずに、さまざまな人をとりあえず1回あてにしてみて、あてにならない時はサッと乗り換える、くらいの感じがいいと思います。
p.153〜154
仮にこの先も経済と科学技術が発展し続けていけば、今以上に不老長寿に近い状況が達成されるでしょう。その時には、我々は自分自身の人生を満足の上で終わらせ、幸せな死を達成するために、自殺することを目指すようになるはずです。
面白く分かりやすかったですが、新刊だったので、新しい情報やコロナ前後での比較などがもっとあればいいなと思いました。
Posted by ブクログ
自殺潜在能力(死に切る力)、所属感の減弱、負担感の知覚が高まると自殺の危険が高まる。だから「死にたい」と言われたら、まずは物理的に自殺を実行できそうなものを遠ざけ、心のつながりを作って所属感を補強し、その人がしてくれたことなどを折々に指摘して感謝したりしていく。でも一人で対応していくのは無理だから、少し落ち着いたところで援軍を探す。
オデュッセイアにある、セイレーンの歌声に惹かれて海に飛び込まないように、予め自身をマストに縛り付けておく話、なるほどなと思った。
要するに、自殺念慮は衝動的で波があるから、そこを一旦乗り越えるのが大事なんだろう。
自殺対策が法制化されて20年足らず、そもそも自殺対策という観点ができて半世紀、まだその対策の効果が科学的に測定されておらず、公金で行われているから限界もあって、費用対効果が得られているのか謎らしい。でも全てが数値に上がってくるものでもないだろうし、難しそうだなぁ。
人生に思い残すことはないくらい満足して、最高の状況で主体的に選ぶ自殺、かつ他人に経済的にも心理的にも迷惑をかけない自殺、なんてそんなもんは存在しない気がする。
死にたいと感じたことがある人が人口の2,3割だが、実際に自殺で死ぬのはその1割程度で人口の2%に過ぎない、ということだけれど、私は逆に2%も自殺で亡くなってることが驚きだった。50人に1人自殺するってこと?2,3割しか死にたいと思ったことないっていうのも少なすぎて衝撃だけど、つまり「死にたい」って言われた段階でやっぱりちゃんと受け止めないと。
自殺という個人的に見えることも、当然のことながら社会的なことが背景に大きくあることを認識させられた。自殺対策を水際でこてこてするんじゃなくて、福祉にアクセスしやすい、孤独を感じにくい、希望が持てる社会にみんなが参画できることが一番大事。