あらすじ
争い、信じ、裏切る人々……刺激的な絵画エッセイ
初々しい恋の始まり。
だが、この後まさかの嫁姑問題勃発――。
カバーを飾るのは、フランソワ・ジェラールの『プシュケとアモル』。
王の娘プシュケの美貌は天界にまで鳴り響き、美の女神ヴィーナスの怒りを買う。
女神は息子アモルに命じてプシュケを不幸の底へと落とそうとしたが、
アモルはたちまちプシュケに恋してしまい……。
「怖い絵」シリーズなどで大人気の絵画エッセイの名手が
西洋絵画に潜む人気ドラマを描き出す人気シリーズの第3弾。
知的でスリリングな刺激にみちた17篇を収録。
ダヴィッド『マラーの死』、ミケランジェロ『デルフォイの巫女』、
レンブラント『エマオの晩餐』、ドガ『ベレッリ家の肖像』、
ブリューゲル『悪女フリート』、ゴヤ『マドリード、1808年5月2日』など、
名画31点をすべてカラーで掲載。
※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本『中野京子と読み解く 運命の絵 なぜ、ままならない』の文庫版を底本としています(文庫化にあたり改題)。
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Posted by ブクログ
『怖い絵』シリーズは、ある1枚の絵の対するエピソードを語っていくスタイルだったと思うが、この本はあるテーマやエピソードに対して複数枚の絵を紹介していくスタイル。
例えば男性のロマンティシズムを皮肉ったエピソードのときは、『新曲』を書いたダンテとベアトリーチェを描いた絵と、生き様がダンテに似てしまったある画家の自身のベアトリーチェなる女性を描いた絵を紹介している。
ダンテの生涯と、後者の画家の生涯を比較し、若くして亡くなった運命の人ベアトリーチェにロマンを馳せた彼らをばっさりぶったぎっている。
小気味い。
他にも有名な絵から無名の絵まで様々。
個人的にはゴヤの鬼気迫るゲリラの絵、そして手術の光景を描いた明暗の対照的な2枚の絵が印象的だった。