あらすじ
憂鬱にとらえられ、傷つき、かじかんでしまった女性の心を繊細に映しだし、灰色の日常に柔らかな光をそそぎこむ奇跡の小説、全五篇。豊平川の水面に映る真っ青な空。堤防を吹き抜けるつめたい風。高校三年の九月のある日、ピアスの穴を開けようとする私に向かって、かつての恋人は言ったのだ。「大切なものを失くしてしまうよ」と。
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Posted by ブクログ
5篇の短編集
「八月の傾斜」
「孤独か、それに等しいもの」
心に留まりました
八月~ではピアスのエピソードが好きです
大切なものを失くしてしまうよ
という大久保君の言葉が胸に染みました
耳たぶには大切な神経が通っているかららしいです
迷信かもしれないけれどこの考え方いいなぁと思います
主人公は最後にはピアス穴を開けてしまうけれど
孤独か~は双子のおはなし
最後の
茜を一緒にもらってくれないかな?
という言葉にじーんとしました
双子って普通の兄弟や姉妹より結びつきが深いらしいですね
「ソウルケージ」にはすごく共感する部分がありました
自分の感情や観念を放り込んでおくもの
人間誰しも我慢が必要で
自分だけが我慢してるわけじゃないんだと頭では分かっているけれど
どうしても自分中心にしか考えられない部分もあって
そんなときにはソウルケージに自分の思いを放り込んでしまえばいい
私は美緒ほど苦しんでいるわけじゃないと思うけれど
生きていれば誰しもがソウルケージが必要なのかもしれない
5篇すべてが何かしら死が関係していて
誰かの死は自分から何かを奪っていくものとして認識していたけれど
自分に何かを与えてくれるものでもあるかもしれないと思うようになりました